『ふたりの恋のレパートリー』懐かしい名シーンでいっぱいのミュージック・ビデオ・OVA

音楽

2022.05.102022.06.13

■監督：福与雅子
■1988年
■34分

80年代テレビアニメというものはたいてい、新しいクールに入った時や主役ロボが交代した時などに、オープニング＆エンディングが変わる。
その時って「今度はどんな歌で、どんな絵なんじゃろ!?」と、いつもめっちゃワクワクしたものである。
特に『うる星やつら』は放映期間が長かったため、この、心がはじけて夜空へ飛び出すような大ヘンなワクワクを、週のドンヨリど真ん中水曜の夜に何度も何度もありがたく与えてくれたものである！

その『うる星やつら』と同じ《スタジオぴえろ》が製作したテレビアニメ『きまぐれオレンジ☆ロード』。
この大ヒット作も全48話の4クールに渡って放映されたので、オープニング＆エンディングが変わるあのワクワクを週のドンヨリど頭月曜の夜に何度か与えてくれたものである！

このたび紹介させて頂く『ふたりの恋のレパートリー』は、テレビアニメで使用されたたくさんの主題歌や挿入歌に、数々の名シーンを編集した映像を合わせ、まどかを演じた鶴ひろみさんと恭介を演じた古谷徹さんの、ここでしか聞けないオリジナル・ナレーションを吹き込んだ、MVOVA（ミュージック・ビデオ・OVA）である。
収録曲は次の通り。

NIGHT OF SUMMER SIDE
夏のミラージュ
オレンジ・ミステリー
危険なトライアングル
悲しいハートは燃えている
サルビアの花のように
この胸にONE MORE TIME
Again
ブレイキングハート
ジェニーナ
鏡の中のアクトレス
ダンス・イン・ザ・メモリーズ

個人的には『夏のミラージュ』と『鏡の中のアクトレス』がぶっちぎりでお気に入り！
『夏のミラージュ』は《アメトーク》の「昭和アニソン芸人」の回で、オタクの女神にして、天元突破Youtubeクイーンのしょこたんも激推しておられた、「♪呪文ふり～かけいてい～♪」でおなじみ、第一期エンディングテーマである。
本心を言えばたちまち壊れて、大切な妹分のひかるを傷つけてしまう危険な恋のトライアングルの中で、優しい姉を演じつつ、いつまでも待ち続けなければならない、まどかの秘めた心の中を覗いたような切なさと愛しさに満ちた歌詞。
そして和田加奈子さんの深い想いをたっぷり吹き込んだため息のようなアダルト＆ムーディーな歌声。
恋の痛みとトキメキをのせた感動の波が押し寄せて、何度聞いても胸がいっぱいになる。
ちなみにテレビ版は、平野俊弘さん＆垣野内成美さんの最強アニメーターご夫婦が担当なさった作画も神！今も変わらぬ驚異の美しさ！まどかさんのひとりぼっちなたたずまいが切なイイ！

『鏡の中のアクトレス』は最終第3期のオープニングテーマ。
歌うのは『ダーティペア』の主題歌にして、何度聞いてもクセになりそなエクスタシーを感じさせてくれる昭和アニソン史上屈指の麻薬的名曲『ロ・ロ・ロ・ロシアン・ルーレット』でおなじみ、中原めいこさん。
切ない歌詞をのせた軽快なアップテンポの楽曲と、めいこさんのロケンローな歌い方に問答無用でぶちアガる！
ちなみに別の記事でも書いたが、こちらの曲もテレビ版は「驚異のしりとり1カットアニメ」になっており必見である。

このOVA『ふたりの恋のレパートリー』では先述した通り、これらの数々のすばらしい楽曲に、テレビアニメの名シーンを編集したものを合わせ、シャッターを切ったり、写真をクリップボードに貼り付けたり、フィルム状にして流したりする、遊び心に満ちたカメラマン的おもしろ処理を加えている。

基本的には、テレビアニメ版のファンに向けて作られたサービス作品。
あのスリリングかつオレンジばりに甘酸っぱい恋のトライアングルにドキドキ＆キュンキュンした方は、ぜひこの懐かしい名シーンでいっぱいの『ふたりの恋のレパートリー』に、また耳を傾けよう！