■監督:高橋資祐
■1988年
■48分
ピンキーポンク・ミラクルファッション!
ファッション ララに素敵に変身!
80年代、セイカノートさんが展開した女の子むけファンシー玩具『魔法のデザイナー ファッション ララ』のアニメ化作品。
製作は数々の魔法少女を生み出したスタジオぴえろである。
知ったげに書いたが、当時、女の子でもなく、オカンが買ってきた「どこのメーカーやねん的ダサい服」を疑問ゼロで常時フル着用していたファッションセンス・ゼロの私はもちろん、このファッション ララさんのことをよく知らない。
しかしよく知らずに観ても全然問題なし!ひとつのアニメ作品としてすごく丁寧にシッカリ作り込まれており、そしてメッチャ面白い。
とある港町に住む少女ミホは父親が海外勤務中。
やな感じの叔母と3人娘の住む家にあずけられ、いじめられ、こき使われている。
そんなミホの心のなぐさめは服のデザインをすること。
しかし…町をあげてのダンスコンテストにむけて全力で作った服が!叔母によってズタズタに切り裂かれてしまう!
失意の底に沈むミホの前に現れたのはなんと!…という、スタジオぴえろの魔法少女版シンデレラ。
『うる星やつら』などのテレビアニメはもちろん、『炎トリッパー』『ザ・超女』『笑う標的』など、OVAでも数々の良作を手がけた高橋資祐(たかはし もとすけ)さんが監督。
その高橋さんと共に、小規模だが頼もしい動画制作のお宅《スタジオドオタク》で活躍しておられたアニメーター山本直子さん、遠藤麻未(えんどう あさみ)さんによる作画が美しい。
レオタード姉ちゃんズによる華麗なダンスが披露されるオープニングでもうすでに『キャッツアイ』もビックリの魅惑のハイクオリティ。
ミホの現実逃避シーンで繰り広げられるマグリットの絵みたいなシュルレアリスム的表現も面白い。
多才&アンチエイジングの魔法少女 小森まなみさんの歌う名曲『トワイライト・ドリーム』に合わせてスケッチ画が色づいていくエンディングも凝っており、作品の最後まで、細部にいたるまで気合がみなぎっている。
強力なベテランアニメーターによって命を吹き込まれ、美しく動き出した岸義之さんのキャラクターたちが住む港町の風景も、すべて1枚の絵画作品として額縁でお城に飾られてよいレベル。
少女たちの永遠のあこがれ「シンデレラ・ストーリー」を土台に「ぴえろの魔法少女シリーズ」として物語を組み立て、王子様の父親の愛人問題などアダルトな要素もチョイ入れし、ドカンと爆発的に盛り上がるクライマックス(…っていうかホントにハーバーライトが爆発の炎に変わります…)と幸せな夢のようなカタルシスを用意した寺田憲史さんの脚本もさすが。(見よう考えようによってはちょっと怖いラストと言えるのかも…?)
『小公女セーラ』級のふびんな屋根裏ヒロイン・ミホを、思わず同情せずにはおれない いたいけさで演じたのは山本百合子さん。ファッションララに変身すると大人っぽい声にガラッと変わるプロフェッショナルなボイスチェンジもお見事!
…と、このように非常に見応えのある美しい魔法のような50分。
しかし著作権のゴタゴタで封印作品となってしまったもよう。スタジオぴえろの作品リストからも抹消。DVD化、配信などももちろん無し。ガーン!力作なのに!
もっと多くの方にぜひ観て頂きたい不遇の魔法少女です!
- オススメ度…84/100
- 無料動画の配信…youtube
- 有料動画の配信…なし
- ソフトのレンタル…なし
- ソフトの販売…中古のVHS