「トップをねらえ!」 80年代OVAのトップ!

■監督:庵野秀明
■1988年~1989年(全六話 一話が約30分 各巻に二話づつ収録されていました)

1巻
第一話「ショック!私とお姉様がパイロット!?」
第二話「不敵!天才少女の挑戦!!」

2巻
第三話「初めてのときめき☆初めての出撃」
第四話「発進!!未完の最終兵器」

3巻
第五話「お願い!!愛に時間を!」
最終話「果てしなき、流れのはてに…」

80年代の終わりごろ、「トップをねらえ!」がビデオレンタル屋に並んだ時、私は断固として借りなかった。
学園ヒエラルキーのトップ!…とは真逆のアンダーをはいずり回る、ファミコンとマンガとそしてアニメだけがすべてのような青春だったのに、なぜか?
なんか、たぶん、カッコつけてたんだと思う。
「こんなタイトルも内容もヒット作のパロディーの寄せ集めで、レオタードのお色気美樹本キャラが主人公で、ロボットが夕日をバックにランニングしたりするなんてふざけすぎ!いくらなんでもあからさまに売り上げトップをねらいすぎ!ワシはもうオトナじゃけえこんなのには見向きもせんよ!」
…というようなガキんちょ極まりない大変カッコ悪いカッコつけをしてたのだと思う。

観たのは数年後。二十歳を過ぎてからだ。
先輩が「スエくん、あの〈トップ〉を観てないの!?じゃあビデオ貸すから!頼むからダマされたと思って観てくれ!絶対に最終回、第六話のラストで泣くから!」と言われ、ロボットの腕立てとか腹筋を「フン…」と鼻で笑いながら観て、第一話のラストで号泣していた。
クラスメイトたちに「全滅娘!」とか心ない罵詈雑言の集中砲火を受け、イジメられ、学園ヒエラルキーのアンダーをベソかいてはいずり回るノリコちゃんとのシンクロ率ハンパなかった。

またそれからさらに数年後。実家に帰省した時のこと。
ヒマだったので近所のもうビデオはほとんど置いていないビデオレンタル屋へ行くと、VHSからDVDにトランスフォームしていた「トップをねらえ!」を発見。久しぶりに観てみようとレンタル。
家に帰り再生し始めると後ろから兄の声。
「あれっ!?お前〈トップ〉観よんか!ちょい待ってくれ!コーヒー淹れるけえ!ワシも観るけえ!」とのこと。
新妻みたいにウキウキと台所で動くなんか明らかにうれしそうな兄のコーヒー待ちの後、いい歳こいて独身のオッサン二人で仲良く並んで鑑賞。アスカならずとも「気持ち悪い」と言いたくなる光景だったかもしれんが知らん。

第四話まで観終わった後「いや~!やっぱりオモロイねえ~!」と気持ち良く感想を述べ、兄のほうを向いてビックリ!いつもはインテリ&クールな兄が、エンディングで流れる「アクティブ・ハート」というのりピーの歌に合わせてノリノリ!アクティブに体を揺らしリズムを取り、シャブがガンギマリした人みたいにHigh High High!マンモスたのピーになっているではないか!
だが無理もない!
私が今さら言うまでもないが「トップをねらえ!」とは、そういう凄まじいパワーを持った作品なのである!

この作品の凄さや見どころを書くとキリがない。
くりいむレモン」などのエロアニメでも観たことがなかったハイクオリティな、リイクニのレイプ未遂シーンばりの乳魂の作画で随所にボインボイ~ン!と連打され銀河全男子の胸はずませた「乳ゆれ」や、「女だらけの水泳大会」もビックリなポロリ。ポロリどころじゃないモロ長い入浴シーンなどなどのお色気ムンムンサービス。


ストーリー上のかなめでもある「ウラシマ効果」や、「重力に引かれて曲がるレーザー砲」など、わかる人はきっと「あのシーンのアレはね…」と自慢したくなる本格的SF考証がなされたマニアニヤリな数々の描写。

「ナウシカ」や「宇宙戦艦ヤマト」のポスターがベタベタと貼られた、まるで〈トップ〉を観てる80年代アニメファンの部屋そのものみたいなノリコの部屋のディテール。

そしてなんと言っても第四話!
個人的には一番好きな、庵野監督ご自身も「あそこの高揚感が〈トップ〉という作品のピーク。あのカッコ良さが作品のすべて」と言い切っておられた、田中公平さんの音楽も雄々しいガンバスター登場シーン!あの「腕を組んでいる」のがしびれる!たまらん!


ノリコとカズミを演じた日高のり子さん&佐久間レイさんがデュエット合体した歌と合田浩章さんの超絶作画がスパーク!みんなの胸に眠るスーパーロボット魂を否応なく震わせまくる第五話の合体シーン!良くってよ!
そしてもちろん最終回第六話のラストのアレ…

クールで突き放したような発言をされることも多いが根本的にはたぶんサービス サービス♥な人、庵野秀明さんの対オタク過剰おもてなしまごころがバスターミサイル連射のように炸裂しまくった、間違いなく80年代OVAのトップに君臨する、果てし無き流れのはてにおいても不滅の超力作。
一万二千年後のアニメファンもきっと泣く!

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