■監督:上村修、池上誉優
■1986年
■PART1 筑波篇50分 PART2 鈴鹿篇55分
マガジンに大人気連載中だった、しげの秀一先生のバイクマンガのアニメ化。高校生の巨摩 郡(こま ぐん)がライバルの秀吉と共に、鈴鹿4時間耐久レースに挑む。
テーマソング&天然ヒロイン・歩惟(あい)の役は荻野目洋子さんである。
クオリティーはPART2の「鈴鹿篇」のほうが圧倒的に高い。しかし話は完全にPART1の続きなので続けて観よう!
それか2篇をまとめて再編集をほどこした劇場公開版を見てもいい。そう!映画館で公開されたほど、このOVAのクオリティーは高いのだ。(なのにDVDなどのソフト化、公式の動画配信なども一切無し。何か版権的な問題でもあるのだろうか?)
ちなみにレーシングチームを持つほどのバイク好きで、後には「風、スローダウン」というバイク映画を監督、今はご自身も芸能活動をスローダウンなさった島田紳助さんも、本作を「泣きますよ」と激賞していた。
このOVAが連続で発売された当時、「鈴鹿篇」のあまりの熱さに完全にやられ、病気のように何度も観た。
バイクにまったく興味も縁もない、バイクの運転と言えば「エキサイトバイク」ぐらいしかしたことのないファミコンライフを送っていた私も、主人公グンの名セリフ「ここで燃えなきゃウソだ!」に熱く燃え「あの世で鬼でもぶっちぎれ」に号泣。
某キャラの妨害によって、いったん絶望的な状況に。しかしそこから不屈の精神ではい上がり、勝利を収め、登場人物たちのわだかまりやこだわりが解消する…というカタルシス発生の黄金パターンを踏まえたプロフェッショナルな作りにうなる。(ただ原作を知らないとちょっとわかりにくいところもあるかも。上記の妨害キャラ・高根沢がなぜグンたちを憎むのか?が描かれていないのはミスだと思う)
作画もいい。特にレースシーン。
以前、しげの秀一先生のもう一つのぶっちぎりの大ヒット作「頭文字Ⅾ」がアニメ化された時のこと。どなたかが「動いてるアニメよりも、止まってるはずの原作のほうがスピード感がある」と言っておられた。確かに!
また、同じマガジンで同じ青春バイクマンガ「あいつとララバイ」を連載なさっていた楠みちはる先生が「しげの秀一は天才」と言っておられた。確かに!
しげの秀一先生はモーターマシンのスピード表現の天才。あの独特のギザギザした絵、効果音、なんかほぼ全コマに常に飛び散ってる謎の粉「しげのパウダー」などが激しくスパーク!しげの先生にしか表現できない超スピードの世界を生み出しているのだ!
それに比べるとアニメ版「頭文字Ⅾ」のあのCGのレースシーンは失礼ながら確かにちょっとモッサリしていた。
しかしこのOVA「バリ伝」は大丈夫!
素晴らしいセルアニメーターの皆さんの職人技で背景をグングン動かし、細かいクラッチ操作、ブレーキングなどを差しはさむ見事な編集&カット割りで原作ともデッドヒート可能なスピード感を生み出している!
そして「ここぞ!」というタイミングでかかる音楽も最高にアガる!特にあのクライマックス。追い続けた相手の姿がゆらめく陽炎の向こうについに見えた時の興奮ときたら!
ここで燃えなきゃウソだ!
- オススメ度…90/100
- 無料動画の配信…Youtube(筑波篇) YouTube(鈴鹿篇) YouTube(劇場版)
- 有料動画の配信…なし。
- ソフトのレンタル…なし。
- ソフトの販売…中古のVHSがヤフオクなどで出回るのみ…