■監督:望月智充
■1987年
■30分
美しい海に囲まれた島にて。
ある女子高生がスキューバダイビング中、海底でカメラを見つける。
中に入っていたフィルムを現像してみると、なんとそこには「見知らぬイケメンと腕を組み、幸せそうにほほ笑む自分」が写っていた!
しかもそのカメラは、まだ発売されていないはずの機種であった!
いったいどゆこと!?
…という見事にミステリアスな始まり方で完全にツカミはOKの時間SF系アニメ。「トワイライトQシリーズ」の第1作目。
ちなみに「トワイライトQシリーズ」とは、タイトルから連想されるように、アメリカ版・世にも奇妙な物語こと「トワイライト・ゾーン」と「ウルトラQ」を景気よく合体させたっぽいミステリアス・オムニバスシリーズ…になる予定だったっぽいOVA全2作。
2作目は、押井守監督の傑作「迷宮物件FILE538」である。
私は2作目のほうを先に観た。
脳髄の迷宮をグラグラとさまようような押井ズム全開のホントに迷宮物件だった。
それとは違い、この1作目「時の結び目」はきっとわかりやすい作品に違いない!…と思い、前述したミステリアスな始まりに引き込まれ、解き明かされるであろう謎の答えにワクワク胸ときめかしつつ鑑賞。
そして、ヒロインを演じた兵藤まこさんの歌がいい感じでシットリ流れるエンドロールをボンヤリ見つめながら私は思わずこうつぶやいた。
「いったいどゆこと!?」
そう!ワシャ、この作品、押井監督作と同じぐらい、話がちょっとよくわからんちんだったのである!
作画は全編本当に見事。
小林七郎さん(天使のたまご)の背景も、高田明美さんがデザインしたキャラクターたちの表情や動きも美しい。
例えば、ヒロインがフィルムが入った袋をゴソゴソと2つとも開ける仕草や、カメラ屋の看板が風でクルクル回っているところなど、ディテール描写にも非常に気合が入っており、作品全体が丁寧な印象だ。
川井憲次さんの音楽もこの頃からもちろん良い。
ジワリとセンチメンタルな気分になり、鼻の奥がツンとしかける良いシーンもたくさんある。
しかしどうもその良いシーンに本当に感動するには、チョイチョイ説明が不足しているような気がした。
特に《時をかける少女&カメラ》について「なんでそーなるの?」と、どうも腑に落ちなかった。
しかし私は映画などを観てて、頭がこんがらがって話が理解できないことがよくある。
本作と同じ、時間SF系の作品だと、大ヒットした国民的アニメ「君の名は。」も観てて「え~と、今は女になってて…記憶はまだ残ってて…隕石は落ちる前で…え~と…」と、入れ替わった主人公たちより混乱。感動ではなく自分の頭の悪さに涙し、最終的にブログに書いた感想が「乳ゆれと乳もみがとても良かった。」という中2男子もビックリの残念な非国民なのである。
なので本作の説明が不足なのではなく、私の知能が不足で、何か大切な所を見落としてるのに違いない。もう一度観て見よう!…と決意。こんがらがった時の結び目を解きほぐすべく再びタイムリープ!そしてやっぱりさっぱり!いったいどゆこと!?
しかしこのサイトは80年代OVA博士の顔でエッヘン書いている。
「このOVAは…ワシャようわからん!\(^o^)/」などと書くわけにはいかない。助手に格下げになってしまう。
なので「賢いインテリの他の人の感想を読んでストーリーを理解し、さも何も難解なところはない感じで書こう…」と、人の研究成果を横取りするタイプの三流ゲス博士の顔で決意&大検索したでゲス。
するとニコニコ動画がヒット!
観てみると「どゆこと!?」「わからん!」「誰か説明してくれ!」「226事件はいったい…?」「何でカメラがタイムリープするの?」などなど悲鳴の弾幕。
なーんだ!やっぱみんなもそのへんのトコよくわからなかったのか!よかった!ワシもようわからん!\(^o^)/
しかしちょっと話が「ん?」となるトコをのぞけば、作画も雰囲気もとても上質な作品。決して駄作なんかではない。
タイムリープした場所で「ある人物」と会うシーンの切ない雰囲気や、美しい島に訪れるカタストロフィーの緊迫感など、それこそ「君の名は。」級だ。30分だし観よう!