■監督:川尻善昭
■1988年 80分
全世界のアニメファンだけでなく、ツイ・ハークのような映画人までをも魅了、ヘンテコ実写リメイクを製作させてしまった悪魔のような神OVA「妖獣都市」。
その創造主である神アニメーター・川尻善昭さんが続いて作り上げた新たなる都市!菊地秀行原作モノのOVA第二弾!これで期待するなってのはそりゃ無理!「妖獣都市」を観た中学生がチンチンがビンビンになるのを抑えるのと同じぐらい無理!
…しかし正直なところ、家族同居の方はAVの時の厳戒態勢で観る必要があった「妖獣都市」の超ド級エログロバイオレンスを期待すると、ちょっと肩透かしを食らってしまうかもしれない。オッパイも怪物も暴力もすごく抑えめマイルド。股間から首元まで裂けたビッチャビチャの女性器とかは出てこない。
観た当時「なんかちょっと思っとったのと違うねえ…」と友人に言うと、「ワシはこっちのほうが好きよ。妖獣都市のほうはぶちエロ過ぎるけえ。」と、ええカッコして嘘を言っていた。
しかし世の中、私のようにバイブルが小1の時に読んだ悪魔マンガ「デビルマン」で、好きな映画ベスト10をあげたら1から10まで全部殺し合いの映画になるようなキチガイばかりではない。まっとうな多くの方へのアピール度は「妖獣都市」より「魔界都市 〈新宿〉」のほうが高いのかもしれない。こちらの都市はご家族で見物しても大丈夫!
ストーリーもシンプルで入りやすい。
この世を魔界に変えようとする悪いワルモノ。きゃつの野望を阻止すべく単身敵地に飛び込んだ可憐なヒロインを、秘密パワーを秘めた剣を持ったヒーローが救う!…という冒険アクションの王道。
川尻善昭監督独特の赤と青の妖艶な色調や、アクションシーンでバックがポケモンもビックリなぐらいビカビカする「必殺川尻フラッシュ」も随所に炸裂。作画はさすがの美しさ。荒廃した新宿を描いた背景もリアル。
そしてヒロイン。
双頭のそうとう怖いワンちゃんもアッサリお座りさせ、俊夫くんもドン引きの少女地縛霊も成仏させてしまう菩薩さまのような優しさを持つ純真可憐なヒロイン・さやかを、僕らの永遠のお姉さま声優・鶴ひろみさんが見事に演じておられる。
そりゃ、とぼけた主人公・十六夜京也(いざよいきょうや)も秘めた正義の心をメラメラ燃やして助けに行くし、クールな魔界医師メフィストもおせっかいを焼くってもの!
そうそう、吸血鬼ハンターⅮと並ぶ、菊地秀行さんが生んだクールビューティー、メフィストさんは、脇役ですがやはりメチャクチャ目立ってました。ラストも1番おいしいところ持ってった。その麗しさたるや美青年好きな方は上も下も大洪水間違いなし。
原作に出てくる新宿の住人たちのキャラを一人に集約させたようなチビちゃんも、旅のガイド役としてうまく機能しておりローラースケートもうまかったし良いキャラでした。
このように非常に見所の多い、クオリティーの高い作品。第5回日本アニメ大賞の「オリジナルビデオソフト最優秀作品賞」である。
「80年代OVA」は、今はもう正規の方法で観るのが困難な作品も多いが、さすがの川尻作品!販売、レンタル、動画配信、すべて行われております!