鬼才・ジョージ秋山先生の代表作の1つ『恋子の毎日』は、サブタイトルにもあるように「青春夫婦物語」である。
ただし、夫のサブちゃんのお仕事はヤクザだけど…
ヤクザ屋さんからおまわりさんまで、その天真爛漫さにみんなが恋する可愛すぎる極妻、恋子の毎日を描いたこの『恋子の毎日』。
読者ももちろん恋子に恋して大ヒット!テレビドラマや実写映画、そしてOVAの世界にもシマを広げることになった。
個人的に思い入れがあるのは、大映テレビドラマの顔役こと松村雄基さんがサブちゃんを、そしてアイドルから演歌歌手に転向する前の長山洋子さんが恋子を演じた実写版である。
お二人ともピッタリはまり役!特に松村雄基さんのカッチョ良さときたら!スラリとした長身にロングコートを羽織り、新宿の雑踏の中を颯爽と歩いていくだけで絵になるいい男!(あの冒頭のシーンはゲリラ撮影なのだろうか?)
ワルモノたちのボスキャラも悪役商会の八名信夫さんなので全然こわくなく、なかなかさわやかな明るい恋愛極妻ムービーに仕上がっていた。
スペシャル枠で放映されたテレビドラマ版は、サブちゃんが小林薫さん、恋子が田中裕子さん。
そして恋子にゾッコンの兄貴分、星永は、なんとあのビートたけしさんという強力すぎる構成員。
80年代当時、どのレンタルビデオ屋さんにも置いてあったのだが未見。ジャケットの田中裕子さんがジュリーならずとも「抱きしめたい」と言わずにおれぬほど強烈に可愛かったのをよく覚えている。
DVD化もされておらず、ビデオも高額になっており、今となっては視聴が困難。
アニメばっか観ずにあの時ちゃんと観ておけばよかった!
ところで、アシュラのごとき情念で人間の暗黒面も徹底的に描いてきたジョージ先生が、暗黒社会で生きるヤクザの夫婦を主役に据えたにもかかわらず、本作はコメディータッチで明るい。
まるで恋子の太陽のような明るさに世界全体がサンサンと照らされているようだ。
夫のサブちゃんも最初はモンモン入ってないし、ここで描かれる夜の世界はあくまでヤクザファンタジー。比較的に誰でも気軽に楽しく読めると思うのでぜひ。
終幕にはなんと「恋子が○○になる!」という驚愕の襲名披露が待っている!
そんな極道渡世のステキなラブコメ『恋子の毎日』。OVA版は2本作られた。
以下、簡単ではあるが紹介させて頂く。おひけえなすって!
『恋子の毎日』
『恋子の毎日』
■監督:石黒昇
■1989年
■50分
男が惚れる男、ヤクザのサブちゃんは、ナイショにしてた恋女房、恋子の存在を兄貴分の星永に知られてしまう。
「女に病気で、真珠を5個入れている」とウワサの星永は可愛すぎる恋子にメロメロ。「サブになんかあったら俺が恋子ちゃんの面倒を見る!」と言い出す。
そんな時、サブが舎弟に預けておいた拳銃による発砲事件が起きてしまう…
男なら誰でも一度は「ダーリン」と呼ばれてみたい声優ナンバー1の平野文さん演じる恋子がひたすら可愛い。
「この恋子ちゃんが、まさか星永の手に…」という疑惑のサスペンスに手に汗まちがいなし。
また、都知事に迫害されそうな夜の街の人々を守るサブちゃんもカッコいい。石丸博也さんのお声も凛々しくハマっている。
舎弟のために自らを犠牲にする昔気質のヤクザなサブの男気に、恋子ならずとも惚れてホロリな人情ドラマ。
- オススメ度…72/100
- 無料動画の配信…ニコニコ動画
- 有料動画の配信…なし
- ソフトのレンタル…なし
- ソフトの販売…中古のVHS
『恋子の毎日2』
■監督:石黒昇
■1990年
■50分
恋子がたまたま道で助けたおじいちゃんは、なんとサブの組の会長だった!
そんな時、兄貴分の星永は「なかなか引退しない会長のタマをとっちまえ」と、悪だくみを持ちかけられていた…
愛しの恋子ちゃんが、ゲスヤクザにさらわれたり、薬打たれそうになったり、星永にホテルに連れ込まれたり、危機一髪な展開が三発ぐらい訪れる展開にハラハラ。頼りのサブちゃんは腹を刺されちゃうし。
そのサブが挑む自分を刺したゲスヤクザとのリベンジマッチは、『椿三十郎』のラストの「アレ」ばりの緊張感で見応え満点!
- オススメ度…64/100
- 無料動画の配信…なし
- 有料動画の配信…なし
- ソフトのレンタル…なし
- ソフトの販売…中古のVHS