恐慌により人心は荒み、やがて来たるべき大災厄の予感に震える近未来の日本。
すべての国営事業は民営化。
刑務所も「刑務所産業」略して「JP」と呼ばれ(JTみたいに言うな)、囚人を使い捨ての奴隷のごとく使って利権をすするブラック経営陣が何でもやりたい放題!
悪徳と暴力が支配するそんな地獄の吹き溜まりに、手に六芒星の傷を持つ、謎の怪力男子《力王》が入所!
「首輪を欲しがる狼がどこにいる!」と、けして暴力にひるまず、何物にも縛られず、次々に襲い掛かる悪党を木っ端みじんに粉砕!『北斗の拳』ともタイマン上等の血肉の華を咲かせる!
殺しの決めゼリフは「お前のカルマは俺が地獄へ運んでやる。往生しな!」だ!
果たして力王とは何者なのか?そして彼の真の目的とは…?
何せ目次を見て頂いてわかるように毎回の話数が「その1」「その2」とかじゃなくて「VIOLENCE1」という風に表記されるのである。
そしてその通り、「かんなで顔面けずり」や「アゴを突き抜け口からゲンコツ飛び出しアッパー」などなど、毎回毎回『バイオレンスジャック』も真っ青のバラエティーに富んだバイオレンスが炸裂!
本サイトは《80年代OVA》を紹介する場ではあるが、猿渡哲也先生のこのうれしいやりすぎバイオレンス巨編の映像化作品を語る上で、やはりあの作品を避けて通ることはできないであろう。
香港で映画化された『実写版 力王』である。
もはや伝説。
今さら私が言うまでもない、ハイパー・ゴア・カンフー・アクション・バイオレンス・スプラッターの金字塔的カルト作品だ。
未見の方のために、見どころをまとめた映像がYoutubeにあったので載せておく。↓
原作は先述したモノ凄いバイオレンスがまだまだ序の口で、他にも「切腹して飛び出した腸で首絞め!」「切断された手の健、ひとりで繋げるもん!」など劇中登場の悪モノキャラたちならずともドン引き必至のシーンが毎回景気よく炸裂する。
しかしこの香港映画版『力王』、驚くべきことにこれらのグロバイオレンスをホントに全部、丁寧に、心をこめて実写で再現してるんである!
特にクライマックスのあのミンチマシーンのシーンの完全に振り切った凄さときたらもう…
猿渡先生はインタビューで「見て気分が悪くなりました」と言っておられたようですが、先生の原作をラン・ナイチョイ監督が愛を込めて凄い情熱で忠実に誠実に再現しようとした結果だと思います…
グロ耐性が全然ない方とグロリア・イップちゃんのファンの方はマジで閲覧大注意ですが、昨今だとイタリア発のバイオレンス・スプラッター職人集団《ネクロストーム》が巻き起こしている嵐に喜んで巻き込まれまくっているようなイカす方は、後で絶対Amazonでポチってしまうだろう!(なんかなぜかDVDがめっちゃ安いし)↓
好き者必見の実写版のお話はともかく、2本作られたOVA版を紹介させて頂く。
監督は2本とも出崎哲さんである。
力王 RIKI-OH
『力王 RIKI-OH 等括地獄』
■監督:出崎哲
■1989年
■45分
実写版と同じく、力王がムショで大暴れして自主出所するまでをOVA化。
しかし正直なところ実写版にヤラれた後では、ちょっと物足りない感は否めないかもしれない。
見どころであるはずのゴア描写がほとんど寸止め表現になっているのである。
あの腐れボンボンも出てこないし、その父親であるラスボス所長のフリーザもビックリの戦闘体形へのトランスフォームもない。(実写版ではあり!マジでビックリ!)
しかしなんか食い足りないのは、あの実写版が特別に豪華ゴアフルコース過ぎたせい。
出崎哲さんが監督なさったこの作品も充分にバイオレンスを堪能できる安心なボリュームのOVAだ!(OVA=俺ジナル バイオレンス アニメ)
- オススメ度…62/100
- 無料動画の配信…youtube
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『RIKI-OH2 滅びの子』
■監督:出崎哲
■1990年
■48分
「お前の悪業(カルマ)は俺が地獄へ運んでやる!」
あまたの実力あふれる修羅のごとき男たちが、生き残りをかけ日々シノギをけずる劇画界。
その恐るべきリングで長きに渡りタフに剛腕をふるい続ける巨匠、猿渡哲也先生のゴア・マッチョ・バイオレンスのOVA第二弾!いや!VIOLENCE2!
物語は前回の続き。
看守が囚人をミンチにしてオカズに出すような気ちがいプリズンの壁に、力を込めたグーパンチで大穴を開けて自主出所した力王。
幼き日に行き別れた弟を探すべく「岬」と呼ばれる地に向かう。
しかし、そこはあの気ちがいプリズンが保育園に思えるぐらいのさらに気ちがいな暴力の地であった!
「岬」を中心として進行しつつある、ナチスもドン引きの恐るべき「神の計画」とは?
また、すべてを裏であやつる「十二家族」とは?
謎と陰謀が渦巻く中、力王はついに弟と再会を果たすが…
この「VIOLENCE2」では、バイオレンスかつミステリアスな力王の秘められた過去が少し明かされる。
幼き日の弟との別れのシーンは、チビッ子の頃、かくれんぼの鬼をしていて「もーいーかーい?」とか言ってる間に、ニヤニヤ示し合わせた他のみんなに帰られてしまい、冬の公園に一人ポツンと置き去りにされた過去を持つ私は「泣いても、もーいーかーい?」と胸がつぶれるほど切なかった。
そんな哀しみを怒りに変え、マッチョな鉄雄みたいなおそるべきサイキックソルジャーとなって大暴れする力王の弟、那智。
また、ミヤコさまみたいな霊能力を持つ謎のイタコオババや、呼吸で顔面のメタルパーツが曇る細かい描写が素晴らしいロボ、またまた「キチガイに刃物!ベガに妖刀!」ぐらい危ない、岬のボスキャラ、鷲崎などなど、個性的なキャラたちが楽しい。
ちなみにこの鷲崎、原作ではホントに途中で気が狂ってしまい、OVA版でもチョイ見せされていたが、顔の両側に角のように懐中電灯をおっ立てた大量猟奇殺人鬼の正装、都井睦夫コーデで大暴れ!
狂気の雄たけびは「ファーへへへへ!」だ!
そんなアクの強い悪役たちと力王との激突バイオレンスが「これでもか!」と連続で描かれ、アニメ版『北斗の拳』でもおなじみのアニメーター、須田正己さんも作画に参加なさっておられるのでYOUはショックまちがいなし!
ただ、原作の3巻から5巻のエピソードを48分にまとめるため、切り捨てたキャラ、エピソード、シーンなどもあり、当然しかたないとは思うものの、個人的には少し物足りないところもあった。
例えば原作だと「首輪を欲しがる狼がどこにいる!」と落合信彦スピリット全開で全然言うこと聞かない力王を縛るため、手術で腹部に埋め込まれたリモコンで作動する激痛装置を、鎌で自分の腹を切り裂き、グニョグニョと手づかみで取り出し、金網を破って針金をのばし、糸のかわりにして傷口を縫合!2頭のライオンとコロシアムのリングで戦いながら…という「アンタ何言ってんの?」と思われるかもしれない、ちょっとどうかしてるモノ凄いシーンがあるが、OVA版にはない。
これは個人的にはちょっと物足りなかった。
ナヌ!?
「そんな地獄のようなゴアシーン観たがるなんて、あんた気が狂ってるよ。」ですと!?
なんと!
今ごろお気づきでしたか!ファーへへへへ!
- オススメ度…64/100
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- ソフトの販売…中古のVHS