『酎ハイれもん LOVE30S』ハートフル・ハードボイルド・80年代OVA!

■監督:小泉謙三
■1985年
■45分

 

60年代の洋楽ヒットナンバーをBGMにしておくる、ハートフル・ハードボイルド・80年代OVA!
それがこの『酎ハイれもん LOVE30S』(ちゅうハイ れもん ラブサーティーズ)である。

 

 

ちょっと おキャンが過ぎるけど、明るくて根っこはピュアな女子高生マキ。
ちょっと堅物過ぎるけど、男気が警察手帳持って歩いてるような頼れるオッサン豪腕デカ、辰巳(たつみ)。

 

 

ひょんなことで知り合った2人は「オジン!」「メダカ!」と、お互いをののしりつつも魅かれ合い、いつの間にかいつも一緒にいる、友達以上恋人未満の歳の差コンビに。

 

 

そんなある日、辰巳に恨みを持つ腐れ暴走族の男が襲撃!
マキといい感じのムード真っ最中で油断した辰巳は背中を刺されてしまう!
犯人は明らかだが証拠がない。逮捕できない。
倒れた辰巳のため、マキはたった一人で暴走族のアジトに潜入。
お色気作戦で犯人の男をホテルに誘い出し、まんまと証言をゲット!

 

 

しかし警察にチンコロしようとした直前、あと一歩のところで正体を見破られてしまう!
「死ぬ間際の痙攣っていうのがまた最高だって言うじゃねえか!こいつは楽しみだぜぇ!」という最高のゲスセリフを吐いて襲いかかる最低暴走族ヤロウ。
果たしてマキの運命は!?

 

 

原作は《ヤングマガジン》に連載されていた人気マンガ。
ストーリーは史村翔さん(武論尊)、作画は しのはら勉さんの強力バディ作品である。

 

 

各話のタイトルは60年代の洋楽ヒットナンバーになっており、歌詞にちなんだストーリーが展開。そしてラストでいつも歌が流れるという粋な趣向の一話完結スタイル。

 

 

この「60年代洋楽ヒットナンバーしばり」の中で、思わずホロリな人情噺を毎週作り続けた史村翔さんの手腕がすごい。
その確かな脚本を、劇画タッチながら柔らかさと暖かさが感じられる画力で表現した しのはら勉さんもすごい。

 

OVA版では、映像作品である強みを活かし、60年代洋楽ヒットナンバーを劇中で実際にオンエア!
『雨にぬれても』『ダイアナ』『君は我が運命』などなど、若いみなさんの耳にもきっとおなじみの永遠の名曲が効果満点で流れまくる。

 

 

声優はヒロインのマキが平野文さん。
そして主人公の辰巳はなんとあの世良公則さんが担当!
ステージで鳴らした魅惑のハードボイルドボイスで、辰巳というキャラクターの男らしさを見事に表現。女子高生のマキちゃんが恋に燃えるいい女になってしまうのもやむなし!

 

 

そのマキちゃん役の平野文さんがさすがなのは言わずもがな!
ホレてしまった辰巳を何とかダーリンにすべく、一途につきまとう女子高生おしかけ女房を大変チャーミングに演じておられる。

 

 

作画のクオリティーは、同時代の最良の作品に較べると大変失礼ながらちょっと荒いのは否めないかもしれない。
しかし、焼酎を炭酸で割っただけで見栄えも印象もよろしくはないが、飲んだらきっと好きになる酎ハイのような本作には、ちょっと荒いぐらいのこの作画が、味わいがあって合っているような気がする。
この『酎ハイれもん』。
じゅうぶん酔えると思います!

 

 

  • オススメ度…60/100
  • 無料動画の配信…Youtube
  • 有料動画の配信…なし
  • ソフトのレンタル…なし
  • ソフトの販売…中古のVHSがたまに

※巻末に第二話の予告が収録されていますが、製作会社の《ワンダーキッズ》倒産のため、作られることはありませんでした。