■監督:やまざきかずお
■1986年
■30分
ぼくはだれ?
ここはどこ?
なにをしてるの?
あたるとラム。
そして2人を取り巻く、全員キャラ立ちまくりの毎度おなじみうる星やつらが、心がはじけて夜空へ飛び出す大ヘン楽しい大騒ぎを日々くり広げる友引町。
その様子をジッと見つめながら自問自答を繰り返す謎の巨大メカがいた…
オイルも流れりゃパルスも走る「彼」の正体とは?
その謎が解けた時…
面堂終太郎はおたけびをあげる!
バニーガールコスをしたラムの、心ウキウキ飛び跳ねるさわやかに色っぽいダンスで幕を開けるこのOVA『うる星やつら メモリアル・アルバム アイムTHE終ちゃん』。
本作は『うる星やつら 了子の9月のお茶会』と同じく、ファンクラブのイベント用に作られた作品とのことである。
なのでコンセプトも同じく、熱心なうる星ファン向けの総集編的な内容。
友引町を観察する謎の巨大メカの視点を通して、テレビシリーズ『うる星やつら』の想い出の名場面が紹介されていくという、タイトル通りのメモリアル・アルバムである。
紹介されていく名場面はテレビシリーズの主に前期のもの。
約4年半の長きにわたり放映された全195話の中の106話まで。
つまり、ゴールデンタイムのテレビアニメだからといって守りになど入らない押井守さんが、熱狂的な信者を生むことになるカリスマあふれる「あの作家性」を開花させ、チーフディレクターとして大暴れしまくっていた頃のものである。
その前期の名場面を、間違いない原画マンとして うる星ファンから絶大な信頼を受けておられ、かつ後期のチーフディレクターをなさった やまざきかずおさんが監督として総集編にまとめた作品になっている。
私はテレビシリーズを、あの頃の週の真ん中水曜の夜、リアルタイムでたぶん全話観たと思う。
しかし、私の『うる星やつら メモリアル・アルバム』を開いてみると、不思議とそこにあるのは押井守さんがチーフディレクターをなさっていた頃の前期エピソードの想い出が多い。
後期よりも古い記憶のはずなのに。
きっと、押井守さんの、イキりインテリオタクの中2魂全開しゃべくり芸+『ツィゴイネルワイゼン』も真っ青の幻想ホラー風味+なんか難解でテーマが深そう+実は正統なわかりやすいストーリーテリングもやればお茶の子さいさいという強靭な「あの作家性」が強烈すぎたのだと思う。
本作では、その押井節が全開で炸裂する106話「死闘! あたるVS面堂軍団!!」の名シーンも収録されている。
事故で記憶を失くし、面堂邸にかくまわれたラムを、主役のあたる、そして押井版『うる星やつら』のメイン名脇役 メガネとその仲間たちが取り戻しに行くというオリジナルストーリー。
愛しのラムを救うため、一国の軍隊ばりの兵力を持つ恐るべき面堂邸へ殴り込みをかける決意を固めたメガネ。
遺書をしたため、自作の俺ジナル・プロテクトギアに身を包み、夜道を1人征く。
死地に向かう彼に、途中で待っていたパーマ、カクガリ、チビのいつもの仲間たちが1人、また1人と加わっていき、全員並んで「ワイルドバンチ歩き」をキメる!
ファンの間でも非常に人気の高い伝説の回である。
この「自分に酔ったモテ度の低いオタクたちがめいっぱいカッコつけてがんばる感」がみなぎる《道行き》シーンに、モテ度の低いオタクだった私も高く燃えるようにテンションがアガったのを覚えている。
神回にして、押井版テレビシリーズ『うる星やつら』の最終回とも言える、とびっきりの面白さなので興味のある方はぜひ!
ちなみにメガネ役の千葉繁さんは、この後、押井守さんの初の実写映画『紅い眼鏡』で主演を務められ、メチャクチャかっちょいい、あの《プロテクトギア》を着ることになるのは言わずもがな!
そんな想い出の名シーンや迷シーンの数々で綴られたこのメモリアル・アルバムOVA。
オープニングとエンディングは、うる星主題歌の中でも屈指のアイドルソング度の高さを誇る『パジャマ・じゃまだ!』の成清 加奈子(なりきよ かなこ)さんが担当。
また、「フォーク歌手のあがた森魚さんが実はボーカルだった!」と後で知ってドギモを抜かれたゴリゴリのテクノユニット《ヴァージンVS》によるテレビシリーズ第3期エンディング『星空サイクリング』も挿入歌として作品内を駆け巡る。
このコズミックテクノ史に残る名曲に合わせ、すべての登場キャラクターたちが手をつなぎ、輪になって延々ひたすら踊りまくるシーンはちょっと異常な興奮度の高さ。
うる星ファンならきっと心踊らずにはいられない!
- オススメ度…59/100
- 無料動画の配信…なし
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- ソフトのレンタル…なし
- ソフトの販売…DVDあり!Blu-ray BOXにも収録あり!
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