■監督:鹿島典夫
■1987年
■50分(2話収録 各話25分)
「あらゆる揉めごと、解決いたしまぁす♥」
依頼を受けて、星から星へ。
宇宙を股にかけて活躍するトラブルコンサルタントの美女2人、ケイとユリ!
コードネームは《ラブリーエンジェル》!
しかし2人が呼ばれ、トラブルを解決すべくがんばった結果、宇宙船はブチ落ち、街が消え、地殻は変動し、星が砕け、数千万単位で人が死ぬ。
毎度毎度いつも「思ってた解決とちがう…(泣)」な大惨事に。
だから彼女たちを《ラブリーエンジェル》などと、かわゆい名前では呼ぶ者はこの宇宙に存在しない。
悪人も、善人も、人々は皆、青い顔をして彼女たちのことをこう呼ぶ!
そう!
《ダーティペア》と!
高千穂 遥(たかちほ はるか)先生の大ヒットSFギャルアクション小説『ダーティペア』。
毎巻毎巻ラブリー極まりない表紙&挿絵はもちろん安彦良和(やすひこ よしかず)先生である。
本作が初めてアニメ化されたのは、同じく高千穂(原作)&安彦(監督)ペアによる1983年の劇場用アニメ『クラッシャージョウ』の「作品内で上映されている映画のシーン」だったと思う。
「宇宙が熱い!」の名キャッチコピーでおなじみ、ホントに宇宙一熱いこのスぺオペアニメの神名作の中でチラリと映る「映画内映画」が『ダーティペア』だったのである。↓
メインストーリーとは別の、ぷちファンサービスとしてブッ込まれたシーンだが、この突然のダーティペアの大乱入にみんな大興奮!
満員の映画館がさらに熱くなったのをあの時ハッキリと感じた。宇宙が熱い!
その2年後。
あまたのパワフルな作品がしのぎを削る80年代テレビアニメ戦線にダーティペアの大参戦!
全24話が放送された。
原作ではケイとユリの2人はワル者を容赦なく景気よく山ほど殺しまくるが、そのへんはやはりテレビ向けにマイルドに。《キングスマン》もビックリの血まみれ必殺ガジェット、あの《ブラッディカード》も封印。「千里眼」の超能力も封印。
また《ダーティペア》と呼ばれてしまうゆえんである、事件を丸く解決しようとするたびに星が丸ごと一個壊滅したりするブラックユーモア的要素もオミット。
しかしだからと言ってけっしておとなしい作品というワケでは全然ない!
土器手 司(どきて つかさ)さんがキャラデザインしたケイとユリは、安彦良和先生バージョンとはまた違うタイプの80年代ナウいアニメ感な、そして今なお1ミリも古びていないという驚異の抗いがたい凄まじい魅力!
ケイ役、頓宮 恭子(とんぐう きょうこ)さんのサバサバしたボーイッシュな演技と、ユリ役、島津 冴子(しまづ さえこ)さんの、あのちょっと鼻にかかるセクシーなお声もたまらん!
テレビアニメ版ダーティペアは、そんな全然おとなしくないデンジャラスなかわいさをブラウン管から夜の7時のお茶の間に向けて容赦なく放射!
男子たるもの、ナニかしらがおとなしくしておれないウキウキワクワク悶絶状態にさせ、問答無用で人気獲得!ダーティペアの大好評となったのであった。
あの頃、全宇宙の男子は「ワシ、ケイ派。グフフ。」「ワシ、ユリ派。グフフ。」と二つの派閥に別れていたのである。
ちなみにワシ、ケイ派。グフフ。
もちろん、昭和アニソン史に残る、あのにぎやかで、さわやかにエロかっこいい2人の魅力が爆発したオープニングの素晴らしさは言わずもがなである。(ちなみに私は「エクスタシー」という言葉をこのオープニングで知ったのであった。月曜の夜7時に!)
このテレビアニメ版『ダーティペア』は、基本的に「一話完結方式」なので、どの回から観ても大丈夫。
そしてどの回も間違いなく面白い。
あえて挙げるのであれば、導入として作画も脚本も申し分ない第1話「コンピューターの殺し方教えます」、燃えるラストがカッチョいい第8話「やるっきゃあない!恋は女の起爆剤」、密室ミステリーとしても見事な第17話「出てこい出てこい!暗殺者」などが個人的にはオススメ。
そしてこのたび紹介させて頂くOVA『ラブリーエンジェルより愛をこめて』は、実はテレビ版の25話と26話を収録したもの。
放映当時、脚本はできていたけれど、もろもろの事情で結局、製作されなかった「幻の回」を、数年後にOVAとして愛をこめてリリースしたのである。
25話、26話ともに、テレビよりはじっくり作れるOVAならではのフルパワー神作画!
いつもにも増してチャーミングなダーティペアの大活躍に、ハラハラドキドキとりこにされることまちがいなし!
この2人のことを知らなかった方も鑑賞後は「ワシ、ケイ派。グフフ。」「ワシ、ユリ派。グフフ。」とつぶやき始めてしまうだろう!
観るんだったら、そう!覚悟を決めて!
『ダーティペア ラブリーエンジェルより愛をこめて』
「ひええっ!洋館の坊やはターミネーター」(25話)
休暇中のダーティペアに「ニセ札事件」解明の任務が下る。
厳重かつヘンテコな警備システムをかいくぐり、アジトとされる洋館に潜入するケイ。
そこには意外にも知的で上品な老夫婦が住んでいた。
しかし2人には暗い秘密の影が…
お化け屋敷的ホラーサスペンスと、タイトル通りのターミネーター的アクションを合わせたような贅沢な面白さがT-800ばりに作中何度も起動!
捕らえられてしまったケイの股間に危険がせまるシーンは手に汗必至!
ワケあって世間を混乱に陥れてしまった老夫婦の悲しみが、わずかばかりでも浄化されるように粋に計らった《ダーティペア》に「よっ!ラブリーエンジェル!」と、ホントのコードネームで呼んであげたくなることまちがいなしのさわやか好篇。
- オススメ度…78/100
- 無料動画の配信…なし
- 有料動画の配信…Amazon Prime Videoなど
- ソフトのレンタル…なし
- ソフトの販売…Blu-ray あり!
「ホ、本気!?美女にキャノン砲は脱出のキーワード」(26話)
ケイとユリが所属する本部《WWWA》の研究所が警備隊に乗っ取られるという事件が発生!
犯人たちは、一撃で都市を破壊できるほどの恐るべき新兵器《ゴッドキャノン》を突きつけ、金銭を要求!
人質となった上司を救うべく《ダーティペア》の2人は潜入を試みるが…
キャラクターデザインを担当した土器手 司さんご自身が作画監督をなさったハイパー眼福最終回。
シリーズでも屈指の美しい作画で見応え満点のサスペンスアクションが展開!
また、お色気度もいつもより明らかにグンと高め。
ケイのパンチラ全開で始まり、そのまま『ポップチェイサー』が始まりそうな勢いで、最後の鼻血ブー大サービスを見せまくってくれる。
「♪ケイとユリ、仲良くケンカしな♪」なラストにもニッコリ。
- オススメ…80/100
- 無料動画の配信…なし
- 有料動画の配信…Amazon Prime Videoなど
- ソフトのレンタル…なし
- ソフトの販売…DVD、Blu-ray あり!
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