『湘南爆走族6 GT380ヒストリー』チームのかくし味、桜井信二の主役回!

■監督:西沢信孝
■1990年
■52分

 

「オレ達、不良とかそんなヒサンなモンじゃねえよ」
暴走族だけど不良じゃない、まるでマンガみたいな最高のチーム、湘南爆走族!
そのOVA第6弾!
湘爆メンバーの中で特に肩書きがなく、もっとも地味で目立たないと言われることもあるが、実はもっともシブくてかっこいい!
「チームのかくし味」こと桜井信二の主役回である。

 

 

「湘南爆走族結成記念ツーリング」が近づいてきた。
しかし大切なその日を前に、信二キュース!
桜井の愛車GT380が動かなくなってしまったのだ。
信二を尽くして天命を待つべく、サンパチ復活のため奮闘する湘爆メンバーたち。

 

 

そんな中、桜井は花屋で働く美少女、「朝顔の君」こと、かなえちゃんに出会い、お互い惹かれ合う。

 

 

しかし、実は彼女は「ある理由」で暴走族やツッパリを深く憎んでいるのであった…
地元最強の暴走族、湘爆の桜井。
それを知ってしまった、かなえちゃん。
はたして2人の恋の花は咲くのか?
それとも散ってしまうのか…?

 

 

このOVAは、原作コミック7巻収録の「朝顔の君」と、最終16巻収録「FUNKY BIKE HISTORY」を元に構成されている。
「朝顔の君」は、ファンの人気も高いシブい恋バナ。
ケンカ最中のアキラがカツアゲから助けたシャバ僧を怒鳴り散らすシーンの暴力的インパクトなどもなにげに凄まじい。

 

「FUNKY BIKE HISTORY」は、湘爆メンバーのピュアな友情や、「想い出の品物って、できる瞬間はあっけねーなー…」という吉田聡先生節なクサいいセリフなどがカンカンカンと心温める名作。
「やさしそうなキャラがブチギレてスジ目がカッと見開いたらめっちゃ恐い人でしたシーン」の最恐が拝読できる話でもある。

 

ベテラン西沢信孝監督は、こうした原作のいいパーツをきちんと組み込みつつ、ちょいちょい粋にカスタマイズ。
アバンタイトルの集会シーンでのサンパチの不調や、朝露に濡れる朝顔。
かなえちゃんがかたくなに「ツッパリだけはイヤ!」という主張にツッパるのも大納得な、冒頭の壱軸冠蝶の下痢クソ迷惑な暴走行為など、丁寧に伏線が追加されている。

 

 

瀬島もとまどうぐらい原作とちょっとちがう地獄の軍団の正義の味方っぷりや、原沢の「マジかよ?」な怒涛の怪腕描写もチャーミング。

 

 

夜明け前のパープルハイウェイに流れるテールランプの赤い光、接写されるチョークレバーやキックペダル、もうもうと吹き出す白煙など、バイク描写も今まで以上に細いこだわりを感じさせる。

 

 

特に、鈴鹿レースのピットクルーばりに専門用語を淡々と連発しつつの江口のメンテナンスシーンは必見。

 

 

メカ作画の美しさはもちろん、クールだけど暖かさを感じさせる塩沢兼人さんの静かな演技がすばらしい。
桜井といっしょにジッと見守ってしまうことまちがいなしだ。

 

 

作画チームも羽山淳一さんや本橋秀之さんなど、最強メンツが参加。
オープニング曲に起用されたアーティストが、ナメて観るのは絶対ヤンピコンピにしたほうがいい青春映画のさわやか名作、実写版『湘爆』で江口洋助を演じた江口洋介なのもニヤリ!

 

ところで本作の元となった「朝顔の君」は、連載終了後、なんとおよそ20年後に続編が2作も発表され、ファンを驚かせた。
今は『湘南爆走族ファンブック』という公式ガイド本に、3部作としてまとめて収録されているのを読むことができる。(セリフの書きこみなどが確認できる、興味深く貴重な生原稿バージョン!)

 

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巨匠となった吉田聡先生と共にシブさや深みが爆増したような桜井信二の驚くべきカッコ良さに、きっとこう思うだろう。
男子の皆さまなら、永井くんならずとも「こんな男らしくなりたい」と!
女子の皆さまなら、飯村さんならずとも失恋の涙を流すため背中を貸して欲しいと!

 

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湘爆のスピンオフ。全2巻。江口たちと同じ時代、場所で青春を過ごす、ツッパリではないフツー男子たちの日常