『ザ・ヒューマノイド 哀の惑星レザリア』 ヒューマノイドは愛の夢を見るか?

■監督:政木伸一
■1986年
■45分

 

地球から遠く離れた、美しい星レザリア。
そこでは野心に満ちた一人のイケ好かないイケメン総督が、王家にナイショで古代遺跡をコツコツ発掘。その中に眠る巨大宇宙船イクシオン号をゲットしようとしていた。
しかしもし!
イクシオン号が目覚めれば、惑星レザリア自体が発射台にされ、消滅してしまうのだ!
何としても阻止せねばならない。
切迫する事態の中、主人公たちと行動を共にする女性型ヒューマノイド・アントワネットに変化があらわれ始めた…

 

「人間がなぜ泣くのかわかった。俺には涙は流せないが」という、グレートマジンガーでも号泣必至の名セリフを残し、人類を救うため自ら命を絶つ元殺人マシンの活躍を描いた『ターミネーター2』…
他にも『ターミネーター2』など、私の豊富な映画知識を持ってすれば枚挙にいとまがない、いわゆる「冷たいと思ってたマシンが愛を知りましたムービー」(ギンティ小林さん風)。
このOVA「ザ・ヒューマノイド 哀の惑星レザリア」もその系統に属する作品だ。

 

しかし!
本作の美しきメタルヒロイン、ヒューマノイドのアントワネットちゃんは、最初っから水辺で肩に小鳥が止まるぐらいすごい優しい。

 

 

そのため「冷たい、感情の無いマシンだと思ってた彼女が!まさか!」的なビックリ大感動はちょっと薄くなってしまっているかもしれない。
また、感動に結び付けるための色んなドラマを盛り込むには、45分という尺はちょっと短すぎたかもしれない。

 

しかし!
クライマックスで、アントワネットが自らを犠牲にして怒涛の特攻をするシーンは、歌のかかるタイミングも見事にバッチリで、なかなかの名シーン。涙腺を充分グッと押してくれるはずだ。

 

全体的に作画にちょいちょいバラつきがあるが、肝心かなめのシーンでは、やはりバッチリ美しい絵でキメてくれる、さすがのカナメプロクオリティー。キャラクターたちが麗しい。

 

 

そして、これがもしかすると最大のセールスポイントだったのかもしれないが、アントワネットのデザインをなさったのは、数々のセクシーメタル美女のイラストで有名な、世界的アーティストの空山 基(そらやま はじめ)さんなのである。

 

 

アニメやアートにあまり興味のない方でも、空山さんの絵はたぶんどこかで一度は見たことがあると思う。
一世風靡したワンちゃんロボ・AIBOの初代モデルのデザインなども空山さんの仕事である。

 

 

ちなみに先ほど見つけた空山さんのこのインタビュー。↓

 

アーティスト・空山基インタビュー
セクシーロボットのイラストやAIBO のデザインで世界的に知られ、「エアブラシ技法のゴッドファーザー」の異名を持つ日本人アーティストの空山基が、自身のキャリアやフィロソフィー、最新……

「やれば出来るなんていうのは大間違いで、やって出来るのは妊娠くらいです。」

「必死で歯を食いしばって努力しても物にならないなら、早めに諦めた方が良いんです。」

「努力とは無能の証明。好きなことをしていたら、努力なんて感じないでしょ。それを、努力している、苦労しているなんて言うのは二流止まりで、向いていないってことなんです。」

 

…などなど、夢に向かって日々邁進中のみんなのハートにグサグサ刺さる鋼鉄の金言がギラギラ満載!
よろしければご一読を!

 

ところで、ひと昔前。『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』が公開された時。
「ゲンドウはリツコを殺す前、いったい何と言ったのか?」が話題になった。
アニメ史上おそらくもっとも有名な、そして本当に素晴らしい、私も大好きな口パクシーンだ。
しかし、その10年以上前に作られた本作にもすでに同様に、セリフが無音になる、すばらしい口パクシーンがあるのだ。
ヒューマノイドは愛の夢を見るか?
アントワネットは、いったい何と言ったのか?
私はやっぱりズバリ!「○○○○○」だと思います!

 

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  • 無料動画の配信…Youtube
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