『マドンナ気持ちいい事して下さい。』気持ちいい事して下さいシリーズの第2弾！

■監督：島谷陽一郎
■1985年
■30分

80年代を代表する怪作エロアニメーカー《レッツ》が、超ヘン大正ロマンポルノアニメ『姉＆妹気持ちいい事して下さい。』と、ほぼ同時にレッツリリースした「気持ちいい事して下さいシリーズ」の二発目！
それがこの『マドンナ気持ちいい事して下さい。』である。

ヒロインは「マドンナ」と呼ばれる美しい（？）女性。
父親の部下のマジメな青年を紹介され、2人はつつがなく結ばれる…かに見えた。
しかし実は彼女には秘密があった。
学生時代、夜の山で、見知らぬ男にレイプされたという過去を持っていたのだ。
そのことで彼女は今も…という、魂の殺人「レイプ」についての重いテーマが語られる…かに見えた。

しかし、そこは信頼の《レッツ作品》。ご安心あれ！
70年代から80年代にかけて一時代を築き上げた《日活ロマンポルノ》でも、何度も同様のストーリーが語られ、レイプ問題に関する深い考察や強いメッセージを持つ数々の名作が生まれたものだが、この『マドンナ気持ちいい事して下さい。』は、それらの骨太な作品から骨を完全に抜き取ったかのような脱力フニャチンアニメに見事に仕上がっている。
ヒロインも「レイプきっかけでセックスの喜びに目覚める」という、昨今の「Me Too運動」に取り組んでおられる方々の目にふれたら炎上必至の堂々たるひどいキャラ設定になっており、重々しさはほぼ皆無。ご安心あれ！

喰いちぎられそうなド迫力

だいたい上記で本作のあらすじを紹介させて頂いたが、実は正直なところ、ビックリするぐらい話は無し！
『タイガーマスク』『空手バカ一代』などの梶原一騎原作アニメのような、80年代というより、70年代ワイルドタッチで描かれたエロヒロインが次々に挑んでイク、プロレス感あふれるパワフルなセックスシーンが、30分間ほぼひたすらえんえん繰り広げられるだけという、シナリオのルール無用のシンプルかつ力強い構成。

ちなみにこのヒロイン。
父親にも「マドンナ、ちょっとこっち来なさい。」とか呼ばれていたので、あだ名じゃなくて本名がマドンナなのかもしれない。ルックスは完全に純日本劇画風だが！
途中に裸エプロン披露のサービスがあるのだが、プリントされているつづりがどう見ても間違ってる雑さもイカす。

マドナ

そしてレッツ作品名物「スタッフクレジットにメカニックデザインとあるのに作品内にメカが出てこない問題」。
今回もクレジットにしっかり「メカニックデザイン　スチーブ・ニクソン」とあり！

誰なんだスチーブ・ニクソン！

そして今回は本編にもメカ！出てました！
野外で景気よく放尿するマドンナ感皆無のマドンナの黄金水を顔面いっぱいに浴びながら崖下から登場し「いいオシッコしてんなぁ！都会の女はよぉ、女子大生はよぉ、オシッコもケツもどこも違うぜえ！」と最高のゲスセリフを垂れ流しながらビショビショのまま襲い掛かる完全に最低な田舎っぺレイプ大将。

あっという間にコトを終えたこの早漏レイプ犯が飛び乗って去って行くバイク。
おそらくこれが本作のメカであろう。今回はちゃんとメカ出てました！しっかり2秒ぐらい！

メカ（デザイン：スチーブ・ニクソン）

…と、まあこのような感じの本作。
はげしいセックスシーンにオーバーラップする川のせせらぎ…水のしぶき…
常に誰かに抱かれるマドンナに束の間おとずれる休息で、ふいにインサートされるどんよりと曇った物憂げな街並み…
そしてラスト…
絶頂を迎えたマドンナが永遠に忘れ去られた遊星のように一人クルクルと舞う無限の宇宙…

原始の衝動にかられ、飽くことなく繰り返される行為を通し、すべての生命が持つ哀しみ、切なさ、絶対の孤独を、宇宙的な広がりや深みを持って感じさせ…ない完全におかしな確かなレッツ作品になっている。レッツご安心あれ！
この『マドンナ気持ちいい事して下さい。』を観て、あなたもぜひ気持ちいい事して下さい…って、できるかいな！