『めぞん一刻 番外篇 一刻島ナンパ始末記』 あの『めぞん一刻』唯一の貴重なOVA!

■監督:四分一節子
■1990年
■30分

 

『めぞん一刻 番外篇 一刻島ナンパ始末記』は1990年の作品である。
厳密に言えば80年代OVAではない。
なので「80年代に作られたOVAの紹介だけにとにかく特化!」というとにかく変なこのサイトの趣旨からちょっとズレるかもしれない。
しかし…
なんといってもあの『めぞん一刻』唯一の貴重なOVA!
なのでこの《80年代OVAのススメ》でオススメさせて頂く。

 

 

あの『めぞん一刻』!
そう!
今さら私なんぞが言うまでもないが『めぞん一刻』は本当にすごいマンガだった。
「今からこの作品が読める」という楽しみを人生にまだ残しておられる幸せな未読の方のため説明させて頂くと、大まかなストーリーはこんな感じ。

 

 

クセがすごい住人ばかりが住むボロアパート一刻館。
ある日のこと。
あまりにも勉強に集中できぬため出て行こうとしていた浪人生 五代くんが秒で気を変えるぐらいのどえらい美人がやってくる。

 

 

彼女の名は音無響子。
なんと管理人として一刻館に住むことになったのだ!
ひと目で「響子さん好きじゃああああああ!」となった五代くんの想いは届くのか?
しかし愛しの響子さんには誰かが心に入ってこれぬ「ある秘密」があった…

 

 

「ある秘密があった…」とか気になる書き方をしてしまったが、4話でわかることだし、まあまあみんな知ってると思うのでネタバレするが、響子さんは「未亡人」なのである。
亡くなった旦那様、惣一郎さんのことを忘れられない。忘れるわけにはいかない。新しい誰かを好きになってはいけないと思っているのだ。

 

 

この『めぞん一刻』という作品はとんでもなくチャーミングでスリリングで、日本中のマンガファンが2人の恋の行方をドキドキハラハラ見守ったパーフェクトなラブコメだ。
そして同時に、死者への想いに囚われた1人の女性がそこから解放されるまでを描いた、根本的にはとてもシリアスな作品でもあると思う。

 

以前、ある友人が「響子さんて バリ嫉妬深いし、怒りんぼじゃし、美人じゃけえまだええけど、もしもあれでデブでブスじゃったら最悪じゃね!最初で五代くんが一刻館をすぐ出ていって第1話で最終回じゃね!」と言っていた。

 

 

しかし私は、もしもデブでブスでも響子さんはやはり最高の女性だと思う。
マジメだからだ。
五代くんのことを「好き」と認めてしまえば、亡くなった惣一郎さんへの愛は嘘だったことになってしまうのではないか?
そんな想いに囚われ、きちんと苦しんでいるからだ。
誠実な信頼できる女性である。

 

それにくらべて世の女性たちはどうであろうか?
日々恋焦がれ、悩み、勇気をふりしぼった一大決心のデートの誘いを「家で皿洗いがあるからダメ」という理由で秒で断られた経歴を持つ非モテエリートの私ながら、女性を恨んだり偏見を持ったり「絶対こうだ」と決めつけたりはしないが、たいていの世の女性たちは「彼氏がひどいの…」と毎日泣いて相談し、そのわりにはぜんぜん別れず、別れるのは新しい男が確定してからで、確定すればあっさり別れ、そして別れたらもう100%未練ゼロで、今カレの胸で乳首をクリクリいじくりながら元カレの悪口をボロクソに言い、「好き」だのなんだの腐れうす汚い言葉を簡単に言ってくっついたぶん嫌いになるのも簡単で、すぐまた別れては次々に男を乗り換えるという貪婪な肉食サイクルを今日もせっせと繰り返している絶対。
新しい男とくっつくのに15巻もかかった響子さんを少しは見習ってほしいものである。

 

そんな、エース非モテ男子の私の女性への恨みからくる偏見や決めつけはともかく、やきもち焼きで、早とちりで、泣いたり、怒ったり、だけどその人が微笑うと最高にしあわせなヒロイン 響子さんの魅力が毎回はじける『めぞん一刻』は大ヒット!
『うる星やつら』の後番組としてテレビアニメ化もされた。
週の真ん中水曜日、真ん中ドンヨリな気分を、声優界最高の姫姉さまボイスの持ち主 島本須美さん演じる響子さんに癒されていた方は多いだろう。

 

 

『めぞん一刻 番外篇 一刻島ナンパ始末記』は、テレビシリーズでは作られなかった、原作6巻の巻末に収録されているボーナストラックのような番外篇をアニメ化したもの。

 

 

響子さんと五代くん、恋のライバル三鷹さん、そしていつもの一刻館の面々が無人島(?)に漂着。サバイバル生活&宴会を延々繰り広げるというエピソードである。
キティ・アニメーション・サークル主催の《うる星やつら ファンクラブ大会》で上映され、翌年OVAとしてリリースされた。

 

 

ほぼ原作通りではあるが、ところどころ改変。「四谷さんと一の瀬さんの回想」という形で語られていく。

 

 

また、原作ではちっこいビキニだった響子さんの水着はなぜかワンピースになっている。これは好みが別れるかもしれないが私はもちろんどちらも好みである。

 

 

実は『めぞん一刻』の原作は、青年誌掲載ということもあってか、けっこうエグい下ネタセリフやお色気シーンが時々飛び出していた。
スラリと手足が長く牛にも負けぬ巨乳の響子さんが、水着、ミニスカ、レオタード、下着、真っ裸などを披露してくださるたび尋常じゃなく胸キュン悶絶したものである。

 

 

本作はそんな響子さんがほぼずっと水着で出ており、掃除したり四つん這いになったりしてくれるという眼福仕様。
五代くんが『ボディジャック 楽しい幽体離脱』の主人公の声でよからぬ妄想にふけってしまうのも無理もないというもの。

 

 

シャマラン監督もきっとビックリなラストの「あの見事なオチ」の切れ味は原作に軍配が上がると思うが、エンディングでテレビ版オープニングのあの名曲『悲しみよこんにちは』がこんにちはするのはやはり否応なくアガる!
長くけわしい恋路における束の間の夏休みのようなこの番外篇。
ファンの方はぜひ!

 

 

  • オススメ度…61/100(『めぞん一刻』のファン向け)
  • 無料動画の配信…Youtube
  • 有料動画の配信…なし
  • ソフトのレンタル…なし
  • ソフトの販売…中古のVHS、DVD、Blu-ray BOXにも収録!

 

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