■監督:奥田誠治
■1986年
■88分
『超獣機神ダンクーガ』!
ウルトラマンAを超くるしめた《超獣》!
機械の神たる《機神》!
漢字で書くと《断空我》で「我を空にして煩悩を断つ」という意味を持つカタカナ《ダンクーガ》!
これらのストロングな語感みなぎるワードが合体してるモノ凄いタイトル『超獣機神ダンクーガ』!
この、どう考えてもとにかくとんでもなく強そうな名を持つ合体巨大ロボットアニメは、どう考えてもとにかくとんでもなく弱そうな私がドンヨリした青春をションボリすごした広島では日曜の夕方に放送されていた。
イケてない男子のエリートのような私でも『ダンクーガ』を観れば闘志まんまん!
圧倒的なラスボスのごとく ヤな感じで無情にせまりくる《月曜》に対して「やってやるぜ!」…という気持ちにはさすがになれなかったものの、観てる間はそのパワフルさで日曜の終わりの憂鬱をちょっと忘れさせてくれていた気がする。
そんなたいへん頼もしいロボットアニメ『超獣機神ダンクーガ』のストーリーはこうだ!
ある日、宇宙の彼方から《ムゲ帝国》が襲来!
地球は壊滅的な打撃を受ける。
もはや完全に支配されるのは時間の問題。
しかし!
地球人は残された兵力と科学を結集し《ムゲ帝国》に抵抗するための特殊部隊を結成する。
その名は《獣戦機隊》!
人類の最後の希望の牙となるこの部隊に配属された4人の若者は、それぞれ「鷲」「マンモス」「豹」「ライオン」の姿に変形するメカに乗りこみ戦う!
しかし…
《ムゲ帝国》の中には《獣戦機隊》の紅一点 沙羅(サラ)の恋人 シャピロの姿があった!
「尊敬する人はナポレオン!」という上昇志向の権化のようなシャピロは「宇宙を支配する」という野望にとりつかれ、《ムゲ帝国》に寝返っていたのだ!
4人の若者は悩み、傷つき、時には大切な人を失いながら戦い続ける。
しかし、そんな中、戦局に重大な変化が訪れる。
彼らが乗るメカには「ある驚くべき秘密」が隠されていたのだ!
今…
日本ロボットアニメ史に残る、未曾有のじらし変形合体の時がやっと来た!
…と、こんな感じの話である。
主人公たちが乗るメカは、パイロットの怒りや闘志があるレベルに達するとそれを感知して猛獣の姿に変形。まさに野生に目覚めた獣のごとく凶暴にパワーアップ!
そしてネタバレになってしまうが、そこからさらに、より細やかな戦闘が可能となる人間型ロボットに変形するのだ!
全38話の中でその秘密がわかるのが11話!
そしてそこからさらにさらに4機が合体して、ついに巨大ロボ《ダンクーガ》になるのはなんと第16話!お…遅い!
しかも、その前の15話とじっくり2回に分けての前編後編合体!
今…
日本ロボットアニメ史に残る、未曾有のじらし変形合体の時がやっと来た!
しかし、じっくりじらされたぶん、この時のエクスタシーたるや格別である!
負けん気が戦闘機に乗ってるようなキャラで、「やってやるぜ!」が決めゼリフで、ケンカっ早さをいつもぜんぜん忍ばせない主人公 忍(しのぶ)が「ある人」の死をきっかけに覚醒!
それに呼応し4機のマシンがオモチャメーカー泣かせの超複雑合体を開始!
獣を越え、人を越え、そして今…神に!
究極のマシン《超獣機神ダンクーガ》となり、勇者パースでそびえ立つその巨大な雄姿をついに見せてくれた時の超興奮ときたら!
ここぞのベストタイミングでかかり、荘厳なパイプオルガンの前奏から獣の咆哮のようなエレキの演奏に入る音楽も神々しくも狂暴で最高!テンション爆アガり!
「私はきっとこの時のためにこの作品を…いや!アニメというものを観続けてきたのだ!」と、アニメファン人生最高の待ちに待ちすぎてました感を堪能できることまちがいなしである!
ちなみに、この『超獣機神ダンクーガ』という作品は、絶望的な戦局からの始まり、ヒロインの元カレが敵という愛憎渦巻くドンヨリメロドラマ、何人も命を散らしていく主要キャラたち…と、けっこうハードな物語であるにもかかわらずオープニング曲が、けっこうゴリゴリのアイドルソング!↓
歌ったのは、後にセクシー・グラビア・アイドルグループ《C.C.ガールズ》のメンバーとなり、Cなど知る由もない鋼鉄童貞たちを悩殺しまくった藤原理恵さん。
この時はまだ乙女な15歳。
本作のマスコットガールであるローラを、とびっきりヘタかわいく演じられた藤原さんが歌うこのオープニング曲の清々しいぐらいの本編との関係無さにみんな度肝を抜かれたものである!
特に後期オープニング曲『ほんとのキスをお返しに』は ほんとに魔法少女アニメとかで流れててもおかしくないようなキャピキャピ感。
イカす。
《超獣機神ダンクーガ》のことをふと思い出すと、何よりも先に「♪ほんとの キッスを お返しにぃ~ わたし あなたに あげたいのぉ~♪」と、この歌が脳内ラジカセで自動再生され、道すがら思わず景気よく口ずさんでしまい、すれ違う子連れ美人マダムにほんとの白い目で見られてしまう うっかりオジサンの方もきっといるのではないであろうか?私だけであろうか?
またちなみに、熱血ヒーローボイス界のトップヒーロー 矢尾一樹さんが演じた主人公、忍の決めゼリフ「やってやるぜ!」を、何らかの戦いを前にした時、己に気合を入れるための勝負シャウトとして使ったことがないアニメファンは昭和には存在しない。
さて、ではやっと、このOVA『超獣機神ダンクーガ 失われた者たちへの鎮魂歌』の紹介をやってやるぜ!
本作はテレビシリーズ終了後にリリースされたもの。
その内容は、全38話の物語をまとめた総集編と、気合の入った新作画で語られる最終話の続きを巧みに組み合わせて構成した合体OVAである!
テレビシリーズの最終話でダンクーガは異空間を突き抜け、宇宙の彼方にあるムゲ帝国の本拠地に単身特攻!ファイナルやってやるぜをしかける!
二度と戻れぬ片道切符になるかもしれないと知りながら…
地球を守るため自らの命をささげた4人の若者たちはいったいどのような運命を遂げたのか?
残された者たちと同じく、いつの日か彼らの帰還を星に願わざるを得ぬ、切なくも感動的な余韻をジーンと胸に残し物語は終幕となる。
「打ち切りだった」とのことだが、私はとても好きなTHE ENDであった。
このOVAは、その最終話の続きからスタート!
《ダンクーガ》が不気味すぎるムゲ帝国の世界についに到達。
最後の戦いを前に、忍たちが今までのことを回想するという形でテレビ版の総集編が差しはさまれた後、いよいよ待望の新作パートへ!
羽原信義(はばら のぶよし)さんや大張正己(おおばり まさみ)さんなど、アニメ界の超獣機神の皆さまによるバリ凄すぎる神作画で、テレビシリーズでは描かれなかったファイナルバトルが展開!
『北斗の拳』のザコキャラみたいなイカすヒャッハーコーデのデスガイヤー将軍が乗る生体メカ《ザンガイオー》との、拳法まで飛び出す迫力百満点な巨大ロボタイマン。
80年代OVAの真骨頂「グロ&スプラッター」が景気よく炸裂するグチョグチョ溶解液攻撃や、切り株丸見え真っ二つ描写、デスガイヤー将軍のあべしな死にっぷり。
たちふさがる巨大竜巻、なぜかパワーを出すことができぬ《赤い宇宙》、切っても切りなく再生してしまう生体メカ《ザンガイオー》のやっかいボディなどなど、ストレートなバトルストーリーに緊張感と起伏を持たせる数々の謎。
そしてそれらを打ち破っていくトリッキーかつ大胆な驚きの攻略。
遂に相まみえるムゲ・ゾルバドス帝王の「えっ!?ホントのお顔はそっち!?」と、ドラクエのラスボスたちもビックリ必至な真の姿。
主人公の忍より目立ってた気がしないでもない亮の「心にて悪しき空間を断つ!」という、演じた永遠のクールボイス王子 塩沢兼人さんのSO COOLすぎる決めゼリフが決まりすぎるケレン味全開奥義、名付けて《断空剣》!
そして肉体だけでなく心も蝕んでくるムゲ・ゾルバドス帝王の恐るべき悪霊攻撃で絶体絶命のダンクーガに救いの手をさしのべるのは、戦いの中で死んでいった愛する仲間たち!
そしてその中には「あの人」も…
…と、この新作部分は短いながらも見応え満点!凄まじい満足度!
「ロボットは顔が命!」という大張正己さんのお言葉どおり、ダンクーガのイケメンっぷりもいつもにもマシマシで全開!
ロボットだけど時々お口もちょい全開!
果たして宇宙をゆるがした激しすぎる戦いの結末は?
ダンクーガの運命は?
「こんな風にボロボロになって、何もかも奪われて、私たちむなしすぎるよ…ねえみんな…聞こえないのかい?返事をしておくれよ…」
胸締めつけられる沙羅の想いは届くのか?
忍たち4人を生んだキャラクターデザイナー只野和子(ただの かずこ)さんが自ら手がけた、彼らを愛おしむような優しいイラストと共に奏でられるスペシャルなエンディングに、テレビシリーズをずっと見守ってきたファンは もう号泣必至。
まだぜんぜん未見だという方はぜひこの機会にこう叫ぼう!
「よーし、そこまで言うならこの『超獣機神ダンクーガ』。テレビシリーズ全38話と このOVA『失われた者たちへの鎮魂歌』のコンプリート視聴を…やってやるぜ!」と!
- オススメ度…72/100
- 無料動画の配信…Youtube
- 有料動画の配信…Amazonプライムビデオ
- ソフトの販売…Blu-ray BOX、DVD BOXの2巻に収録あり!
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