■監督:西森明良
■1985年
■全2巻 各巻45分
VOL.1『モームの夢』
VOL.2『超時空アテナ』
テレビ放映が始まるやいなや全宇宙のアニメファンを熱狂させ、映画化&シリーズ化し、マクロスケールな超大ヒットとなった『超時空要塞マクロス』!
その後番組として、同じく「毎週日曜の午後2時」という、アニメとしては変てこタイムにテレビ放映が始まった『超時空世紀オーガス』!
この作品の第一話のファーストシーンの衝撃たるやそれはそれはもう…ゼントラーディ人ならずとも悶絶必至の凄まじいものであった!
まずは問題のそのシーンをチラ見して頂こう。 ↓
…と、このようにこの作品。何と主人公の桂木 桂(かつらぎ けい)が「夜這い」をするシーンからおっぱじまるのである!
先述した通り放映時間は「日曜の午後2時」。
オトンもオカンも居間のテレビの前にいる可能性大。なのに「夜這い」。もうみんなビックリクリクリ!
そしてこの『超時空世紀オーガス』。
問題の第一話だけでなく、全話通してなぜかなんだか異常にラブシーンが多い作品であり、私の記憶に間違いがなければ、アニメ誌のインタビューなどでスタッフの方も確かそれを公言しておられたように思う。「毎回ラブシーンを入れます!」と!
アニメ誌と言えば、ちょうど当時の《アニメージュ》で、この問題の「オーガス第一話 夜這い事件」のシーンを表紙に突っこんできた、確信犯的な、一発やったれGO!GO!GO!号があった。
そのあまりにもあんまりなアハーン♥感に当時のアイアンチェリーボーイの私はガビーン!
子どもの頃に読んだ雑誌の表紙を、子どもがいても全然おかしくないが子どもどころか嫁はんもいないおかしなオッサンになった今でも鮮明に覚えている。これって珍しい。よほど衝撃だったのだろう。
このたび気になったので「アニメージュ 表紙 オーガス」という、ネット広しと言えど私しか打ち込みそうにない超時空ワードで画像検索!
するとなんと!
問題のあの表紙が時を超えPC画面上に続々時空転移!
オークションに出品されていたり、思い出系アニメブログなどで紹介されてたりする模様。
私だけではなかった!
あのアハーン♥感にガビーン!だった方が、当時やはりきっとたくさんいたのであろう。重大な使命を帯びて研究に没頭する博士の顔でこんなことばっか真剣に調べたりしているからきっと嫁はんがいないのであろう。
ちなみに先ほどから問題にしているこの第1話の「夜這いシーン」。
さすがに服を着ているが、物語終盤の第31話、ヒロイン・ミムジィと結ばれるシーンに至っては、ついに完全にスッポンポンになっていた。何度も言うが日曜の午後2時のことであった。
…と、こんなポイントについてばかり語っていると、本作を未見の若いアニメファンの皆さまが「グフフ…この『オーガス』っていう昔のアニメ…どうやらなかなか…ようガス♥」と『To LOVEる -とらぶる- ダークネス』を観る時の顔で動画サイトの再生マークをクリクリクリックしてしまうかもしれない。
あいや!待たれい!
この『超時空世紀オーガス』。
「軌道エレベーター」「平行世界」「相剋界」「混乱時空」「時空転移」「特異点」「デバイス」などなど…青背のハヤカワ文庫ばりに本格SFワードが普通にバンバン飛び交う、なかなかにマニアックな異世界モノなのである。
そう!変形メカは出てくるが下半身が変形してしまうエロアニメでは断じてない!私の紹介手順が完全に間違っていたが!
ストーリーはだいたいこんな感じ。
未来の地球。
天をつらぬく《軌道エレベータ》の所有権をめぐる戦いのさなか、主人公の桂木 桂(かつらぎ けい)は、独断でデンジャラスな破壊力を秘めた《時空振動弾》を作動!
その凄まじい衝撃で、平行世界(パラレルワールド)の境界線がクラッシュ!時空大破壊!
世界は多種多様なパラレルワールドがごちゃごちゃ同時に存在する《混乱時空》となってしまう。
世界を元に戻す鍵となる存在《特異点》とみなされてしまった桂は、様々な勢力から狙われ、4段階変形ロボ・オーガスに乗って戦い、仲間となった異世界の種族、エマーン人たちと共に、ジプシーのように旅を続ける。
目指すはすべての始まりの場所《軌道エレベータ》!
その頂上《大特異点》で待つ、驚愕の結末とは…?
本作の見どころは先述した「なんかめっちゃ多いラブシーン」はもちろん、他にも多々あれど、まずは何と言っても、ケーシー・ランキンさんを起用した主題歌がすばらしい!
オープニング、エンディング共に、昭和アニソン史に軌道エレベータのごとく高くそびえ立つ永遠不滅の金字塔である。
オープニング曲は『漂流~スカイハリケーン~』。
おだやかな朝のまどろみのようにゆったりとした始まりから、サビに向けて曲調がガラッと変形!
眠りから覚め、翼を広げ、舞い上がり、大空を駆け抜けていくようなアップテンポに変わる展開にこちらのテンションもアップ!
「作品タイトルを主題歌の中で言うべし!」という昭和アニソンの鉄の掟を守った「オーガス!」のシャウトもうれしい。
エンディング曲『心はジプシー』は激シブ。とにかくシブい。
もしも「シブいアニソンエンディンググランプリ」が開催されたならば、アニソンの歴史長しと言えどやはりこの曲ははずせない。
夜空の下、炎を囲み、楽器を奏で、歌い踊るジプシーたちの姿がゆらゆらと心に照らし出される昭和アニソン ミーツ 民族音楽なこの名曲は、きっと今なお上位に踊り出るであろう。
そんな架空のグランプリを隙あらば真剣に脳内開催しており、現実生活に居場所が全然ない、さまよえる私も心はジプシー!
キャラクターデザインは前作『マクロス』で一躍ミンメイばりにアニメ界のスーパースターとなった美樹本晴彦さんが連続オンステージ!
男性キャラも女性キャラもみんなキラキラ麗しい。
作画も『マクロス』の時よりは安定した回が多かったと思う。
時々はやはり「あんた誰やねん」なマクロスいトランスフォーメーションを見せてくれていたが!
主役メカ《オーガス》のデザインは『マクロス』で主に敵のゼントラーディ軍を手がけておられた宮武一貴さんによるもの。
「現実には絶対無理」とみんな思ってた「ファイター」「ガウォーク」「バトロイド」の3段階変形をまさかの完全再現してみせ、みんな「んなバカな…」とビックリ仰天、子供も大人もキューンキューンとオモチャ屋に飛んで行かせた、昭和オモチャ史上最大のミラクル『1/55 バトロイド バルキリーVF-1J』をリリース&マクロヒットさせたタカトクトイス!……は、次の『オーガス』のオモチャが売れんで倒産したらしいで…とウソかホントかあの頃みんな言っていた。
しかし、私は宮武一貴さんがデザインしたこの主役メカ《オーガス》のデザインは、ゴリゴリの軍事兵器感あふれる《バルキリー》とは違い、ちょっとオーラバトラーチックに生物的でとてもかっこいいと思う。
今もゲームに登場したり、完全変形を再現したオモチャが新しく発売されているのにも大納得だ。
ただ、作品内の戦闘シーンは『マクロス』にくらべると少し地味な印象があった。
これは板野一郎さんの不在が大きいのではなかろうか?
…と、このようにこの『オーガス』。
『マクロス』の巨大な影に隠れてちょっと地味な印象を受けがちかもしれないが、なかなか見所満載。物語終盤の盛り上がり感も相当なものである。
おっとり指揮官シャイアによる感動的な演説で、かつて敵対してきた者同士があらためて心を1つにし、手を結び、桂(けい)を《大特異点》に送りとどけるべく敵軍が待ち受ける軌道エレベータにみんなで特攻!
ア・バオア・クーでのホワイトベースでもおなじみ「愛着のある我が家のような母艦の撃沈」という最終回作劇の必勝メソッドも見事に炸裂!ファイナルムードがドラマチックにマシマシになる中、一つ屋根の下で苦楽を共にしてきた仲間たちの命がけの協力、「あるキャラクター」の自己犠牲などに助けられつつ、軌道エレベータを上に上に上がっていく《オーガス》の姿にこちらのテンションも爆上がり!そして………!
実は私。
本作の「最後に起こるある出来事」の意味が、リアルタイムで観た当時、今はさすがにそんなことないが、あくまで当時、さっぱりわからんちんのチンプンカンプンだったのである。
最終回翌日の月曜、学校でアニ友のY君にラストの意味を聞かれ、答えられず、バカと思われるのが心の底から怖く、「きのう『オーガス』終わったねえ…でもスエちゃん、あれ、最後、どういう意味なん?」という、やっぱり来た質問に対し「ああ…あれはちょっとSFにくわしくないと確かに難しいかもしれんねえ…あれはつまり…うーん…説明も難しいんよ。わからんでも気にせんでええんよ。」と、うまいこと会話も最終回にさせたのを今でも覚えている…
みなさんはどうでしたでしょうか?
それはともかく本作は『超時空世紀オーガス メモリアル』と題して、『モームの夢』と『超時空アテナ』の2本のOVAがリリースされた。
『VOL.1 モームの夢』は、本作のマスコット的ロリキャラ、医療用アンドロイドのモームを主人公にし、桂たちの空飛ぶ家《グローマ》の中で起きる恋愛模様に焦点をあてたもの。
桂と一緒に視聴者も号泣必至の最期をむかえることになる我らがモームたんの「在りし日の幸福な夢」を、新作カットの挿入や本編のセリフの一部変更などを行い、優しく描く。
『VOL.2 超時空アテナ』は、「桂の娘」である本作屈指の超時空美女、アテナに焦点を当てつつ、終盤のクライマックスをまとめたもの。
OVAというよりは総集編のような構成。
正直なところ2本とも、テレビ版本編を未見の方には、総集編としてもちょっと微妙な構成。
あくまでも『超時空世紀オーガス』という作品のファンに向けて贈られたサービスOVAである。
現在は視聴も難しい。
なので、興味のある方には、テレビ版本編の鑑賞をオススメさせて頂く。
全35話。そんなに長くないのでぜひ。
ナヌ!?
「最終回まで観たけど、あれ、最後、どういう意味なん?」ですと!?
ああ…あれはちょっとSFにくわしくないと確かに難しいかもしれんねえ…
あれはつまり…うーん…説明も難しいんよ。
わからんでも気にせんでええんよ。
- オススメ度…65/100(オーガスのファン向けの作品)
- 無料動画の配信…なし
- 有料動画の配信…なし
- ソフトのレンタル…なし
- ソフトの販売…『超時空世紀オーガス×超時空世紀オーガス02 Blu-ray BOX』に収録