『ビートショット！』あの岡田斗司夫さん企画製作のセクシーゴルフアニメ！

■監督：秋元孝志
■1989年
■30分

子供の頃、父がやっていた小さな喫茶店の雑誌コーナーに《週刊プレイボーイ》が置いてあった。
そこに、表紙はどうやらゴルフマンガっぽいのだが、中を見るといつも主人公らしき兄ちゃんと色んな姉ちゃんたちが「19番ホール」とか「夜のゴルフ」とかばっかやりまくっている、童貞なら読んだだけで触れずともフィニッシュ可能なぐらいエロいマンガが載っていた。
今にして思うとそれが『サーキットの狼』でスター漫画家街道のトップを爆走した池沢さとし先生の『ビートショット！』だったのである。

プレイボーイとはほど遠いアイアン童貞の当時の私にとって《週刊プレイボーイ》はゴリゴリのエロ本。
バックナンバーとなった雑誌を、親が店から家に持ち帰ってくれるのだが《ジャンプ》とか《サンデー》とかと違って家族の前では手に取れず。
大風邪ひいて学校休んで家に誰もいないラッキーデイとかにたまに読めるだけだった。
このたびAmazonで購入して、きちんと読ませて頂いた。
そしたら主人公は、タイガー・ウッズもビックリなぐらいセックスだけじゃなくゴルフもどっちもガンガンに一生懸命やっていた。

池沢さとし先生のこのセクシーゴルフ漫画を、なんとガイナックスがアニメ化！
製作は当時のガイナの社長にしてオタキングにしてモテモテ絶倫王のあの岡田斗志夫さんである。

名門、華青大学のゴルフ部に、野生児ゴルファー、流石今日一（さすがきょういち）が入部。
安定感に欠けるものの、ケタ外れにパワフルな必殺の「ビートショット」で、キメる時はキメるスリリングなゴルフを披露。マスコミや女の子の視線を釘付けに。

いっぽう同じくスター候補で、天才の名も女の子も欲しいままにしているイケメン、風祭明彦（かざまつりあきひこ）も入部。

２人はライバルとしてバチバチ火花を散らす。
スパークする勝負の中、明彦は、今日一の「ある重大な弱点」に気づくのだった…

まずオープニングがすばらしい。
記録フィルムのようなオシャレトロな処理がされたモノクロのゴルフシーン。
打たれたボールが女性のナイスエロボディにナイスオン！
「ゴルフ＆セックス」という作品のイメージを集約するようなカッチョいい、ナイスショットな第一打である。

作画もさすがのガイナックス。非常にハイレベル。
特にゴルフシーンはお見事！
ボールやクラブの先にGoPro取り付けたみたいなド迫力アングルや、80年代アニメの必殺テク「背景動画」を駆使。
プレイヤーが激しく動き回ることのないゴルフという競技を、ダイナミズムあふれる見事なアクションとして演出している。

そして、そのハイレベルな作画で描かれる本作のもう一つのかなめ。
そう！
「セックスシーン」である！
主人公の今日一は、その野性的な魅力で「出会った女とすべてヤレる」という男の夢のようなキャラ。
なのでゴルフと同じぐらいとにかく腰もスイングしまくり撃ちまくる。

観ていて「あれ!?なんだこれ18禁作品だったのか！」と思い、ジャケットを手にするも、どこにも「成人指定マーク」なし。まごうかたなきチビッ子も観れる一般作。でももしもチビッ子が観てるのを見たらパパママパニック必至！そのぐらいエロい。
タップ～ンとゆれるやわらかオッパイ、フェラチオしながらのオナニー、セルフ乳もみ、糸をひくヨダレなどなど…

『うろつき童子』もフルチンで逃げ出すまごころのこもったエロ描写が『くりいむレモン』ぐらいの高頻度で炸裂！
早川愛美さんや、前原祐子さんなど、当時のAVクイーンの皆さまが担当したセクシーボイスもさすがプロフェッショナルでイカす。
どのような経緯でガイナックスが作ることになったのかわからないが、これは完全に勝手な失礼な想像だが、企画・製作を担当なさった岡田斗司夫さんは、作品をご覧になってきっとグフフと大満足だったに違いない。間違いない。

ところで本作のゴルフ対決。
今日一の「弱点」に気づいた明彦が、セフレに頼んでエロずるい策略を使い優位に立つ。
そのことを反省し「正々堂々と勝負するべきだ！」と誓うようなシーンがあれば、ラストの2人の握手がより熱く、さわやかなものになったのではなかろうかとちょっと気になる……かもしれないが、おかげでパンツやオッパイがいっぱい観れたのでそんな細かいことは全然気にならないかもしれない。

原作は全11巻。
「今日一と明彦は実は…」という2人の出生の秘密などもからんでくる長期連載作品。
OVA版の上映時間はわずか30分。どう考えてもこの一発ですべてを語り、きちんと落とすのはホールインワンぐらい難しい。
しかし迫力のゴルフとセックスシーンをぶち込みまくり「かくしてライバル関係成立！そして主人公はヒロインの家に居候！運命の戦いや色エロなことが始まりますよ～！」的なラストに着地。
「長編シリーズの気合満点サービス満点な第一話」のような形にパワフルに落とし込んでいる。
ガイナックスが放ったこのビートショット。
きっとあなたのハートにもナイスオンするにちがいない！