『もしも明日が…。/めだかの兄妹』アニメーション作家、南家こうじさんの凄まじい超絶スキルがほのぼの炸裂!

■監督:明日川進 南家こうじ 時岡敬
■1984年
■13分

 

昭和に青春を過ごしたアニメファンで「想いでのアニメーターは?」と聞かれ、南家こうじさんの名を挙げぬ者は この地球上に存在しない。
たとえば…
宇宙的マクロスケールな歌姫、飯島真理さんの声がみんな好きよ『スプーンおばさん』。

 

 

おニャン子クラブの大合唱でどんより日曜の夕方を束の間 甘いワクワク気分にさせてくれた『あんみつ姫』。

 

 

これら昭和アニソン史に残る名オープニング&エンディングの他に、アニメーション作画担当数の最多を誇る、数え切れぬ数々の『みんなのうた』などなど…
人それぞれ想い出の激推し南家こうじ作品があると思うが、私の場合はもう何と言ってもぶっちぎりでこちら!
アニメ史に大ヘンにぎやかに輝き続ける星『うる星やつら』のオープニング&エンディングである!

 

 

『うる星やつら』は かなりの頻度で定期的に主題歌が新しくなった。
そのアニメーションの多くを南家こうじさんが担当しておられ、私はいつも「今回の南家さんの新作はどんなんかのう?」とワクワク楽しみでしかたなかった。

 

 

独特のカクカクした動きからの「ポンッ!」とはじけるようなアクション。
音楽とぴったりシンクロした、観てるこちらも心躍らずにおれぬ魅惑のダンス。
キャラクターの大胆なデフォルメ。
フォントをコラージュしたり、パステル画を挿入したり、遊び心に富んだアートな試みなどなど…
ワクワク待った新しいオープニング&エンディングはいつも、南家さんならではのクセが凄イイ、間違いのない、とびっきり楽しい作品だった。
本編の作画には参加なさらないのも、孤高のカリスマ感や、特別なポジションにいるスターアニメーター感がありキラリ輝いててカッチョよかった。
そんな南家こうじさんが担当なさった『うる星やつら』のオープニング&エンディングは、下記の通り。

 

《オープニング》
・ラムのラブソング
・DANCING STAR
・パジャマ・じゃまだ!
・殿方ごめん遊ばせ

 

《エンディング》
・宇宙は大ヘンだ!
・心細いな
・星空サイクリング
・I, I, YOU & 愛
・夢はLOVE ME MORE
・恋のメビウス
・GOOD LUCK 〜永遠より愛をこめて

 

もしも「うる星やつら 主題歌総選挙!」なる最高のコンテストが行われたならば!
おそらくみんながウフフン一番好きよなのは『ラムのラブソング』であろう。
私ももちろん一票を投じるのにやぶさかではないが、みなさんがそちらを選ぶのであれば!
あえて私はこちら!
『パジャマ・じゃまだ!』を推す!

 

 

天真爛漫かつコケティッシュなラムのダンス。
高田明美さんの美麗なパステルイラストとのコラボ。
リズミカルにコラージュを見せていくキレキレの編集。
そしてそんな南家さんの極上アニメはもちろん、シンプルに歌もアイドルソングとして胸キュン破壊力抜群!
メガネや面堂ならずとも「あたるのヤツ、こんなにかわいいラムちゃんに夢の中まで追いかけられてうらやましい!」とモンモン悶絶、パジャマがじゃまで眠れなくなること間違いなしの名オープニングである。
未見の方はぜひ!

 

「うる星愛」をぶちまけてしまい、前置きがうるさくなってしまったが、今回紹介させて頂くのは『もしも明日が…。/めだかの兄妹』。
昭和バラエティーの先駆者にして覇者、欽ちゃんのお茶の間コント番組『欽どこ』から生まれた、女の子3人組の大人気ユニット《わらべ》のミュージック・ビデオである。

 

 

すべてアニメーションで作られており、2曲目の『めだかの兄妹』が南家こうじさんの作品なのである。
ちなみに作曲は石川さゆりさんの『津軽海峡冬景色』から『アンパンマンのマーチ』まで幅広い三木たかしさん。
作詞は五木ひろしさんの『そして…めぐり逢い』から『ラブ・ラブ・ミンキーモモ』までこれまた幅広い荒木とよひささん。
そして編曲はなぜか坂本龍一教授という超豪華スタッフである。

 

『もしも明日が…。』は《Muu&Mii》という文房具が発売されそうなぐらいファンシーな猫キャラの2人が、これまた ふりかけが発売されそうなぐらいファンシーなキャラ《なみだ天使》をキューピットにして出会い、寄り添い、共に歩き始める感動的なストーリーが、わらべの優しい歌声に合わせて描かれる。

 

 

子供の頃はあまり気づかなかったが、荒木とよひささんの歌詞がすごくいい。
ピュアで悲しいほど切実な想いが胸にそっと刺さる。
たくさんの方にカバーされてるのも納得の名曲だとあらためて思った。

 

 

『めだかの兄妹』は、わらべの3人娘《のぞみ》《かなえ》《たまえ》のソックリかつ可愛いSDキャラが、歌に合わせて踊り、色んな生き物に変身し、おっとりぽっちゃり担当の《たまえ》がいつもデブかわいいオチをつけるというコントな構成。

 

 

南家こうじさんのアニメーション作家としての凄まじい超絶スキルがほのぼの炸裂!
これを観たら たとえ大量殺人鬼でも、まだ幼く危なっかしい天使のような愛娘の一生懸命なお遊戯を見守る切ないお父さんの顔になってしまうだろう!

 

 

  • オススメ度…68/100
  • 無料動画の配信…Youtube(もしも明日が…。 めだかの兄妹
  • 有料動画の配信…なし
  • ソフトのレンタル…なし
  • ソフトの販売…中古のVHSがごくたまに

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