■監督:鳥海永行、押井守
■1983年~1984年 各話30分
・第一部 リメンバー・バーソロミュー
・第二部 ダロス破壊指令!
・第三部 望郷の海に起つ ACT1
・第四部 望郷の海に起つ ACT2
80年代。録画&視聴機器がまだビデオデッキの頃。
そしてそのビデオデッキもまだ各家庭に普及しきっていない頃。
ポツリポツリと「ビデオレンタル屋」というものができ始めた。
私の住んでいた地域では、あるとええねがブチある広島人の心の止まり木「ポプラ」というコンビニの一角にビデオレンタルコーナーが出現!
「餓鬼魂」「うばわれた心臓」「溶解人間」などなど…なぜか私好みの魅惑の変なタイトルが並ぶ中にこの「ダロス」もたしか置いてあったと思う。
しかし、その時は借りなかった。借りれなかった。
なぜなら、まだお店も「ビデオレンタル」という商売に関して試行錯誤の頃で、レンタル料が《1本千円!》などという中学生の財布に大ダメージの、価格破壊ならぬ破壊価格、ムチャクチャな料金設定だったからだ。
「昭和のビデオレンタルあるある」はともかくこの「ダロス」。
月に住む労働者階級と地球に住む支配階級の確執、闘争を描いたSF作品。
監督は鳥海永行さんと押井守さんの超豪華師弟コンビである。
後の押井作品に見られる難解さはまだ影を潜めており(共同監督のせいかもしれないが)親切なストーリー展開。キャラ立ちも完璧。池田秀一さんや鵜飼るみ子さん、榊原良子さんなど声優も豪華。
悲壮な旋律を奏でる音楽も印象的で素晴らしく、作画も安定して美しい。
特にアクションシーンはいい。画面を埋め尽くす無数の薬莢や、腕がもげてもなおピクピクと動くロボットの指など、こだわりのディテールがインパクト大。
さらに特に第4話ではキレのいい集団ロボットバトルが爆裂!最終巻にふさわしい盛り上がりを見せてくれる。
そして…月に住む人々にとっての神であり、故郷〈地球〉の象徴、破壊されても自己修復をするミステリアス極まりない謎の人面型巨大建造物〈ダロス〉!その秘密が今ついに解き明かされ………ない!ズコー!
そう!この作品、全4話もあるから完結してるのかと思ったら、長い物語のほんの序章なのである!そしてもちろん続きはない!ズコー!
…というワケで、とても見応えのある作品だが「キチンと完結する」と思ってみるとズコー!となるので注意されたし。
しかし、80年代OVAの百花繚乱の萌芽はここにあり!なぜならこの「ダロス」が「世界で初めてのOVA」だからだ。歴史的にとても重要な記念碑的作品である。リメンバー・ダロス!