■監督:角銅博之
■1986年
■20分
不思議な作品である。
ストーリーらしきものはない。
マネージャーと共にアメリカを訪れたアイドルの卵っぽい女の子の、現地の人との交流やレッスン&レコーディング風景。
『ドラキュラ』『キングコング』『ターザン』などなど…映画オマージュ満載で作られた、その女の子のミュージックビデオらしき映像。
コンサートの前の不安、孤独。
そして、大観衆を前についに幕が上がったステージ。
この4つのシーンがゴリゴリのアイドルソングに合わせて映し出されていくのである。セリフもほぼ無し。
これは何なのか?
なかなかカワイイ作品であるのは間違いないのだが、若干ポカーン感は否めないかもしれない。
つまりこれは、ジャケットに『アニメヒロイン桐田裕美子デビュー 憶病なヴィーナス 』と書いてある通り!
「架空の二次元アニメアイドル桐田裕美子たんのミュージックビデオ」という作りのOVAなのである。
リン・ミンメイのように本編に登場するアイドルのミュージックビデオではなく、最初からアニメアイドルを作り上げようとする秋元康さんもビックリのチャレンジングなプロジェクト。
その新しいアニメヒロイン役に挑んだのは『魔法の妖精ペルシャ』のオープニングを歌っておられた岡本舞子さんである。
か…かわいい!
もちろん、作中の歌唱もすべて本人。この作品の企画意図は、岡本さんを売り出すためのプロモーションでもあったらしい。
歌っている当時の姿をYoutubeなどで見ることができるが、堂々たる正統派80年代清純アイドルっぷり。もっと売れてもおかしくなかったと思う。
ちなみに作中で歌われる珠玉の4曲はすべて、シンガーソングライターの尾崎亜美さんが作曲。
キャラクターデザインは『くりいむレモンPART4 POPCHASER』やBOØWYの『Marionetto』のミュージックビデオなどでおなじみ、北久保弘之さん。かなりの豪華スタッフだ。
岡本舞子さんは早くに引退されてしまったし、桐田裕美子たんもミンメイばりに大ブレイクというワケにはいかなかったが、混沌の80年代OVAの世界らしい、面白い試みだったと思う。
「てへぺろ」も炸裂する冒頭からのお茶目アイドルモードとは打って変わり、哀しみを湛えた顔で孤独に街をさまよい、救いを求めるように教会に立ち寄る切なさに満ちた三幕目。
そしてついに始まった四幕目のコンサートで、満を持して歌われるのは、作品タイトル曲『臆病なヴィーナス』!
作中のお客さんたち同様、なぜか何だか妙にテンション萌えブチ上がり、応援&アンコールしたくなることまちがいなし!
不思議な作品である。
- オススメ度…52/100
- 無料動画の配信…Youtube
- 有料動画の配信…なし
- ソフトのレンタル…なし
- ソフトの販売…中古のVHSがたまに…ない!