■監督:四分一節子
■1989年
■30分
マンガって絵柄がどんどん変わっていくものだが、高橋留美子先生が宇宙一のスーパースター漫画家に昇りつめた驚異の連載デビュー作『うる星やつら』もしかり。
全34巻の中で描かれた時期によってキャラの顔立ちがずいぶんちがう。
そしてこれは昭和アニメ版『うる星やつら』もしかり。
1981年に始まったテレビシリーズと数々の劇場版を合わせると5年以上!
冷めることのないファンの熱狂を受け、長きに渡って作られ続けたその時期によってずいぶんちがう。
もちろんそれぞれイカすが皆さまはいつ頃のラムが誰より一番好きよであろうか?
個人的にかなりインパクトがあったのは、10代の時に観た映画の中でハンカチがしぼれるぐらい一番泣いた涙腺破壊ムービーの超名作『うる星やつら 完結篇』のラムである。
なじみのあった高田明美さんバージョンとはちょっと別人のような顔立ちのラムに妙にドキドキしたものだ。
このキャラクターデザインをなさったのは、四分一節子(しぶいち せつこ)さん。
本作を監督した頼れる確かなアニメ職人、スーパー出崎ブラザーズのお兄様、出崎哲(でざき さとし)さんの奥様である。
そんな四分一ラムの魅力をめいっぱい楽しむことができるのが、テレビ版の放映終了後に作られ、未アニメ化の原作エピソードを補完していったOVAシリーズだ。
四分一さんは4本目のこの『月に吠える』まで、キャラクターデザインと、そして自ら監督も勤められた。
友引町の時は春。
満開の桜の樹の下、愛しのレイに手作りの桜餅を食べさせているラン。
「ランちゃんしあわせ」なのを見てうらやましく思ったラムは、自分もあたるといい感じになるべくさっそくクッキング。
できあがった桜餅を食べてもらいながら2人でロマンチックな夜の花見ができて大満足のラム。
しかしその翌日、あたるの体に異常が発生!月に吠える狼男に変身!
ラムがいつも通り調理をミスっており、24時間以内に解毒剤を飲まねば完全に永遠に狼になってしまうのだ!
そうとは知らず、あてつけに行方をくらますあたる。
解毒剤を飲ませようと必死で追うラム。
かくしてこのたびもまたまた2人の追いかけっこが始まった!
『月に吠える』は原作の連載終盤、単行本の33巻に収録されているエピソード。
いつものドタバタギャグに爆笑しつつ最終的にはラムの一途さとチラリ垣間見えるあたるの本当の想いにホロリとする、『うる星やつら』に時々ある、うるせイイ話な一篇。
このOVA版ではそんな原作のテイストを、旦那さまの出崎哲さんにも負けぬ職人技できちんとキープしつつ、OVAならではのたくさんの楽しいアレンジをプラス。
わずか16ページの原作には出てこなかったランやレイ、サクラ、そしてチェリーなどなど、おなじみの人気キャラたちが、ファンは思わずニヤリのおもしろ見せ場を持って追加出演。にぎやかさがよりアップ。
また、図らずも狼男の身体能力をゲットしてしまったあたるが披露するキレキレのアクションや、ワケあって同じ体になってしまった温泉マークとのドタバタ人外バトルは、アニメ版『うる星』ならではの面白さ。
そして、原作にはなかった「24時間以内に解毒剤を飲まないと完全に永遠に狼になってしまう」という設定もハラハラとサスペンスを盛り上げるのに効いている。
あたるを必死で追いかけるラムが流す美しい透過光のキラキラ涙に観てるこちらもホロリ必至!
- オススメ度…63/100
- 無料動画の配信…Youtube
- 有料動画の配信…なし
- ソフトのレンタル…なし
- ソフトの販売…Blu-ray BOXあり!また『OVAカルテット』というDVD1巻に収録あり!
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