■監督:岡村豊
■1989年
■30分
『ラムのラブソング』
あんまりソワソワしないで
あなたはいつでもキョロキョロ
よそ見をするのはやめてよ
…と言われずとも、毎週水曜の夜7時半にブラウン管に映し出されるこの作品からよそ見をしたアニメファンは昭和には存在しない!
そう!
それが宇宙で一番のSFラブコメアニメ『うる星やつら』である!
4年以上の長きに渡るテレビ放映がファンに惜しまれつつも終了した時点で、高橋留美子先生の原作マンガのほうはまだまだ大人気のまま連載中。
そのため未アニメ化となっていたエピソードをOVAとして景気よく8本リリース!
その5本目が本作『ヤギさんとチーズ』!
テレビ版の一番最初のオープニングにして、数ある《うる星ソングス》の中でもきっとみんな「一番好きよ」な、あの『ラムのラブソング』で久しぶりに開幕!
これはまたしても「よそ見をするのはやめてよ」と言われずともよそ見できない!
マンガみたいに広大すぎる面堂邸内の丘にたたずむ謎のヤギの像…
それは「真ん中で写真に写ると死ぬ」という迷信を恐れた面堂の曽祖父に、むりやり真ん中に並ばされ、イヤイヤ家族写真を撮られてしまった「飼いヤギ」の魂の供養のためのものであった…
しかしそれ以来、この場所で写真を撮ると、いるはずのないヤギの姿が写り込み!
夜になると、どこからともなくそのヤギの霊が現れ写真を喰らい!
そこに写っていた者たちはみんな死んでしまったという!
…という『リング』も真っ青の恐るべき心霊システムを聞く前からすでにその場所で「はい、チーズ」されてしまっていたあたるたち。
面堂の父が撮ったその写真にはウワサ通りヤギの姿が写り込んでいた!
さすがあの了子の親っぷりを全開で見せる面倒な面堂の父のせいでヤギさんとチーズしてしまい恐れおののくあたるたち。
やがて夜の帳が下り、暗闇の奥から不気味な謎の足音がせまりくるのであった…
監督は岡村豊(岡村天斎)さん。
後に大友克洋さんによる名作オムニバス映画、あの『MEMORIES』の第2話「最臭兵器」を監督される方だ。
そんな超実力派が、原作33巻に収録の粋なホラーコメディ回をおもしろ怪奇ムード満点で演出!
勢いあまって『恐怖新聞』のパロディーまでお届け!観たら大切な寿命が一日縮むほど笑い転げる危険あり。
ヤギの呪いの因縁が語られる時のサイレント映画風の画面効果や、原作には出ない温泉マーク先生が湧いて出て昔話をするシーンの絵物語風の演出などもこだわりの凝りっぷり。
原作には出ないキャラが湧いて出ると言えば、突然どアップのチェリーはもちろん、コタツネコやテンちゃんも登場!
このOVAシリーズおなじみのうれしい「人気キャラ総動員方式」でにぎやかさをボリュームアップ!
そして原作をボリュームアップと言えば本作、なんとクライマックスで突然「ホラーコメディ」から「怪獣モノ」にハイパー巨大化!
「急にエリア88が始まってしまった!」と勘違いしそうなリアル作画の戦闘機部隊とゴジラ級にメタモルフォーゼした巨大ヤギ怪獣が、夜空を地獄の花火のような爆炎で彩る迫力満点のバトルを繰り広げたのち、脱力満点の「あのオチ」に見事に着地するのだ!
さすが、マッドハウス仕込みの岡村天斎さん。
なんでもありの『うる星やつら』らしい楽しさがマッドに爆発しまくった1本!
- オススメ度…67/100
- 無料動画の配信…Youtube(ロシア語?)
- 有料動画の配信…なし
- ソフトのレンタル…なし
- ソフトの販売…Blu-ray BOXあり!また『OVAカルテット』というDVD2巻に収録あり!
■OVA版『うる星やつら』の一覧です(作られた順)
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