■監督:やまざきかずお
■1985年
■55分
2022年の秋…
あの『うる星やつら』が…
36年ぶりに再びテレビアニメ化される!
このニュースを聞いた時「やったー!」…とは、正直なところあんまり思わなかった。
『銀河英雄伝説』の再アニメ化の時も思ったことじゃけど、80年代にすでに一度、あんなに優れたアニメ化がされとるのに、なんでまた同じモノを最初からやるんじゃろ?
どうせアニメ化するなら他のにすればいいのに!
まだ一度もアニメ化されとらんマンガで、みんなが観てみたいのいっぱいあるじゃん!『メタルK』とか!『はじけて!ザック』とか!」
まさか『うる星やつら』っちゅう、若い方はもちろん、原作マンガや旧作アニメのリアルタイム世代のファンの視聴も確実に見込める、ヒット間違いなしの強力な《るーみっくブランド》を使って、語尾に常に「グフフ♥」とつけるタイプのキモせつない孤独な昭和アニオタでしかも最近老年太りでポッチャリ下腹の厚みが増してきてしもーたワシのうっすい財布を狙っとるんじゃなかろうな!?
まんまとその手に乗ってたまるかーい!
…というのが正直なところであった。
そんなめんどくさい昭和老GUYの私が観た令和版『うる星やつら』の感想は「すみぺのラムちゃんかわいい。番組途中でCMしとったBlu-ray ボックス買っちゃおうかな?なんなら すみぺの写真集も買っちゃおうかな?グフフ♥」というものであった。
他の女性キャラたちもみんなキラキラかわいかった。
80年代の雰囲気を再現した美術設定もオシャレトロで懐かしイイ感じだった。
原作マンガだけでなく、なんとファミコン画面までもピコピコにぎやかにコラージュした、昭和世代へのサービスも抜かりなく満点な、今っぽいだけじゃないオープニング&エンディングも、名曲ぞろいの《昭和版うる星ソングス》に負けぬ、クセになる度の高いものであった。
ちなみに作品全体としても『昭和版うる星』より、なにげに原作準拠のような気がした。
「どんな作品でもそうだけど、マンガのギャグのタイミングをアニメで表現するのってなかなか難しいな。」とはちょっとは思ったが、そんなこんなで毎週なかなか楽しく観させて頂いている。グフフ♥
このOVA『うる星やつら 了子の9月のお茶会』は、昭和の頃にあったファンクラブのイベントで上映するために特別に作られた作品とのこと。
あたるのライバル、面堂終太郎の妹にして、冗談ではすまないレベルのイタズラが趣味の冗談みたいにチャーミングなスーパーお嬢様 了子が退屈をもてあまし、友引町のみんなをお茶会に招集!
今までに起きた想い出の出来事を順番に聞いていく。
そして最後には了子が密かに仕込んだ「ある不吉なイタズラ」がまんまと大成功!
友引高校が、その名にふさわしい大ヘンな大騒ぎになるというもの。
お茶会のシーンが新作。想い出の出来事のシーンがテレビ版のダイジェスト。
つまり総集編的な趣きの作品である。
オープニングには『殿方ごめん遊ばせ』が使われている。
定期的に行われる新曲のお披露目がいつもワクワク楽しみだったテレビ版主題歌の第6弾。
ラムのさわやかセクシーが毎度スパークする《昭和版うる星ソングス》の中でもひときわ挑発的で悩殺度の高いナンバー。
ブラウン管の前の殿方たちを悶絶させた名オープニングである。
エンディングは『GOOD LUCK 〜永遠より愛をこめて』。
こちらはテレビ版エンディングの第9弾。
大切なダーリンの住む地球を包みこむような、大きな愛を感じさせる It’s so Wonderful な歌。
画面中央の地球に映し出されていく暖かなパステルアニメも、波のように繰り返される命の誕生と躍動を感じさせてとてもエキサイティング。
両曲とも作画はもちろんこのかた!
『うる星やつら』や『めぞん一刻』はもちろん、他にも数々のテレビアニメ主題歌や『NHK みんなのうた』を手がけられた、みんなのスペシャルアニメーター南家こうじさんである。
そしてエンディングの後にはオマケ特典として、これまでにリリースされた『うる星やつら』のレコード&ビデオのジャケットを紹介したミニコーナー「ジャケットで見る『うる星やつら』ヒストリー」を収録!
ファンにはうれしなつかし貴重な資料となっている。
了子からの手紙で集められたキャラは下記の通り。
ラムと、いとこのテンちゃんと、そのマブダチのコタツネコ。
たいへん女の子らしい見た目からの豹変っぷりで毎度爆笑をさらうランと、たいへん男の子らしい見た目の竜之介。
あたるの元カノ しのぶと、そのしのぶにゾッコンLOVEのキツネ。
異常な男性恐怖症で、ごっつい甲冑が普段着の異常なブラコン怪力美少女 飛鳥。
そしていつも通りなぜか突然湧いて出たチェリー。
このおなじみのみんなから語られる想い出のエピソードは6つ。
了子が牛車に乗ってゆるやかに初登場し、そのお嬢様なたたずまいからは想像もできぬトンデモやばいキャラっぷりをしとやかに披露する「ザ・面堂兄妹!」。
その了子とのキスを賭けた超巨大クリスマスツリーの登頂レースが、楽しいハチャメチャアクションで繰り広げられた後、驚きのオチが盛大に打ち上げられる「面堂家サマークリスマス」。
しのぶに胸キュンして、なんとか想いを遂げようとするその可愛いじらし過ぎる姿にみんな胸キュンした 超人気キャラ、キツネの初登場回「キツネのかた想い 恋すれどせつなく…」。
のちにOVA版『炎トリッパー』『ザ・超女』『笑う標的』の監督も勤められることになる高橋資祐さんが絵コンテを担当し、間違いない面白さで藤波親子を初登場させてくれた「竜之介登場! 海が好きっ!!」。
火消しにすべてをかけるテンの母が初登場!
放火魔ばりにふだんは火を吹きまくっているテンのいい子ぶりっこがバレるかバレないかサスペンスギャグでさんざん笑わせてくれた後、ちょっぴりホッコリと感動させてくれる「火消しママ参上!」。
そしてリアルタイムで観てた時、劇場版ばりのハイクオリティーな作画で展開する いつもとは違う本格ミステリーホラーな雰囲気にひたすら引き込まれ、なにげに本当に怖かった、アガサ・クリスティー風のテレビ版オリジナルエピソード神回「そして誰もいなくなったっちゃ!?」。
どのエピソードもファンには想い出深いものばかり。
その他に個人的に心に強く残っているのは、『うる星やつら』のラブストーリーとしてのシッカリとした感動がたぶん初めて披露された「ときめきの聖夜」。
あたる役の古川登志夫さんのラストのあの絶妙なセリフ回しにラムちゃん同様ときめいた。
また、名作と誉れ高く、多くの方が「昭和版うる星感動回ナンバー1」としてあげている「君去りし後」は言わずもがな。
他には押井守監督の「あの作家性」がゴールデンタイムのお茶の間で『ビューティフルドリーマー』ぐらい火を吹いてしまった怪奇幻想カルト問題回「みじめ! 愛とさすらいの母!?」も凄かった。
この回は、兄と一緒だったから良かったものの、もしも水曜の夜7時半というあの時間に1人で観てたりしたら恐怖で失神してたと思います…
また、なぜか教室にいたケンシロウがコタツネコと本家『北斗の拳』も真っ青の神作画バトルをとつぜん繰り広げる、《80年代アニメ奥義スタッフ悪ふざ拳》が炸裂した「またまた純情キツネ!しのぶさんが好き」なども強烈に心に刻まれている。
このように昭和版『うる星』は名作&迷作&怪作回が星々のごとくたくさんまたたく大ヘンな宇宙。
このたびの令和版『うる星』がファーストコンタクトの若い方も、機会があればぜひこちらの星も訪れてみてはいかがだろうか?
- オススメ度…67/100
- 無料動画の配信…Youtube(オープニングとエンディング、そしてオマケはなし)
- 有料動画の配信…なし
- ソフトのレンタル…なし
- ソフトの販売…Blu-ray BOXに収録あり!または、中古のVHS、レーザーディスク、DVDなど
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