■監督:竹内啓雄
■1987年 ■57分
私の兄はウィリアム・ギブスンの「ニューロマンサー」とか、フィリップ・K・ディックの「ヴァリス」などの難しげな作品も、普通に読みこなすインテリSFファン。
昔なつかし80年代。その兄の本棚に、星野之宣先生のSFマンガ「2001夜物語」が並んでいた。
「ヴァリス」と言えばビキニアーマーの女子高生が剣を持ってなんかウロウロするファミコンゲームしか思い浮かばないSF(スーパーフール)な私は「なんか難しげなマンガじゃのう…」と思いつつ「2001夜物語」を手にとった。
ページを開くとそこには無限の宇宙が広がっていた。
それまで自分が読んだことのない、本格的なSF・科学考証がなされ、センス・オブ・ワンダーに彩られた珠玉のSF短編が星々のようにキラキラとまたたいていた。
例えば…
核戦争の緊張が高まる冷戦下の世界。宇宙空間で謎の積み荷の運搬を命じられたスペースシャトルの乗組員たち。周りにはキラー衛星がウヨウヨ!ちょっとでも変な動きをすれば、あっという間に星になるのは間違いなし!
そしてどうやら謎の積み荷は「人間」らしい!その正体とは!?
事故によりたった1人、宇宙空間で孤立してしまった男。
救助のシャトルが来るまで10時間。しかし酸素は7時間しか持たない!帰還すべく彼がとった奇策とは!?(描かれたのは映画「ゼログラビティ」より20年以上前である)
などなど…
私のようなSF弱者でも、門前払いすることなく、心地よく星の夜の世界へと引きずり込んでくれるスリリング&ミステリアスなストーリー。
「シブい!」「お見事!」と思わずうなる美しい着地。
そしてその上質な物語を描き出す圧倒的な画力…
気づけば私もこの宇宙に夢中。時間を忘れて読んだ。
1985年に発表され、けっして衰えることのない輝きを持つ、SFマンガ史上永遠不滅の星「2001夜物語」。そのOVA化作品である。
原作の中から、時間と空間を越えつつも関係を持つ「ロビンソン一族」にまつわる物語をチョイス。3話構成のなかなかシブいSFオムニバスに仕上がっている。
星野先生の美しい絵も高クオリティで再現。
しかし現在は多くのOVA同様、中古のVHSか、某動画サイトでナイショで観るしかない。
せっかくだからキレイな絵で観たい。(特に1話目のオチが画面がキレイじゃないとちょっとわかりにくい気も?)
DVD化を星に願おう!