『妖魔』 楠桂先生の凄すぎる10代の作品をアニメ化!

■監督:安濃高志
■1989年
■上の巻 38分  下の巻 39分

 

 

80年代。
マンガ&アニメファンの間で、楠桂(くすのき けい)先生は、アイドル的な大人気であった。
可愛すぎるお母さんマンガ『八神君の家庭の事情』など、大ヒットした数々の作品の面白さはもちろんのこと。
「楠先生って、まだぶち若いらしいで!」
「実は双子の姉妹で、お姉さんもマンガ家らしいで!」
「ほいで2人とも、ばりカワイイらしいで!」
「ホンマね!? ばりスゴイね!」
などなど、ワシ界隈はもう大騒ぎ!
作品だけでなく楠先生ご自身についても、目をキラキラさせて熱くしゃべりまくったものである。

 

楠桂先生(左)とお姉様の大橋薫先生(右)

 

そして、個人的にゾクゾクうれしかったのは、楠桂先生がホラー作品も精力的に続々描いておられたことだ。
特に好きだったのは『楠劇場』という、ホラーや幻想モノの短編集。
その最初に収録されている、たぶん『夢童』という、たった数ページの作品だったと思う。
実家に帰省した学生の夢の中に、ロリコンならずともデレデレ間違いなしのカワイイ童女が「お兄ちゃん、わたし小鬼だよ♥」と出てきて、毬をついたり、飛んだり、跳ねたり。
主人公の兄ちゃんと同じくほほえましい顔で、目尻を下げて読んでると最終ページで全身の血の気がドン引くという、見事すぎる超短編ホラーであった。楠先生の思惑通り!マンマとあざやかに殺られてしまった。

 

この『妖魔』も、そんな楠先生の、ホラーサイドの作品。
時は戦国、忍びの里。
緋影(ひかげ)は、兄弟同然に育った幼なじみの魔狼(まろう)に、ある日、突然、目を傷つけられてしまう。

 

 

逃げた魔狼を追い、緋影も里を出る。
そして旅の先々で、禍々しいモノノケたち《妖魔》に襲われる。
戦い、傷つきながらも旅を続ける緋影。
なぜ、魔狼はあの時、緋影を傷つけ、里を去ったのか?そして彼の正体とは?…という和風おどろモンハン漫画。

 

 

文庫版のあとがきによると、楠先生は本作を製作時わずか19歳。
専門学校に通いつつの連載。
そして「今、読み返してみると目をそむけたくなるほどつたなくて」とのこと。
………。
いや!
んなこたぁない!全然つたなくない!
デッサンのシッカリした確かな画力で描かれた凛々しく美しいキャラクターたち。
少年マンガにも負けぬダイナミックなアクション。丁寧に描き込まれた背景。
絵!めっちゃうまい!全然つたなくない!

 

そして「魔獣海皇子(まじゅうみのみこ)」「鬼陸皇子(きくがのみこ)」などのネーミング。
また「禍神のしくんだ魔縁といえよう」とか「鬼神はあはれと思い 邪神は高々に笑うであろう」などの古文感みなぎるセリフ。
そして劇中、何度も出てくる印象的な「ひとつ 一夜の恋ならば ふたつ 二人で地獄へと みっつ みなを殺しても…」の あの悲哀に満ちた数え歌…
19歳で、こんなカッチョいい単語、セリフ、歌を思いつくだろうか?つかない!全然つたなくない!
高校のハゲたイヤな怒りんぼの先生に「ひとつ ひっどいハゲがある~ ふたつ不快なハゲがある~」という ひっどい不快な替え歌を、もうチビッ子でもないのに陰でシャウトしてた私とえらい違いである!怖い!楠先生の才能が!
このたび久しぶりに読み返して「どんな世界でも、才能のある人間はたいていデビューも早い。」という、昔どこかで聞いた、どなたかの言葉を、あらためて思い出し、思い知らされました…

 

このOVAは、そんな楠先生の凄すぎる10代の作品を、『魔法のスター マジカルエミ 蝉時雨』で魔術師のような手腕を見せてくださった安濃高志監督がアニメ化。
原作にも負けぬ麗しいキャラクターデザインと、作画監督もなさったのは『銀河英雄伝説』の奥田万つ里(おくだ まつり)さん。

 

 

脚本の會川 昇(あいかわ しょう)さんは、原作のちょっとコメディータッチのかわいいシーンは徹底的に排除。よりダークでシリアスでハードな物語が展開。

 

 

そして…
あの数え歌にメロディーが!
当時、劇場公開されたのも納得の、非常に見応えのある作品になっている。
そうそう!その劇場版の予告編も、雰囲気がなんかメッチャ懐かしい感じで良いですゾ!

Curse Of The Undead Yoma (sub)

 

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