■監督:アミノテツロー
■1988年
■1巻につき2話収録。各話25分
Vol.1
第1話「ジョニー」
第2話「ヘンドリック」
Vol.2
第3話「マリア」
第4話「グレッグ」
Vol.3
第5話「チェレンコフ」
第6話「カルメンシータ」
SF界の巨匠ハインラインの『宇宙の戦士』の映像化作品というと、全宇宙すべての映画ファンを熱狂させた最高のムシムシ大行進映画、ポール・バーホーベン監督の『スターシップ・トゥルーパーズ』をみんな思い浮かべるだろう。
しかしその10年前、日本で、『機動戦士ガンダム』のサンライズによってアニメ作品として映像化されていた。
それが、このOVA版『宇宙の戦士』である。
大企業のおぼっちゃまくんが「友だちや好きなあの娘も志望してたから…」というボンクラ受験生のごとき軽い動機で、なんとなく軍隊へ。
そこで1番3Kな《機動歩兵》に配属されてしまい、過酷なトレーニング、鬼上官のしごきに耐え、友人との衝突、脱落や死のショックを乗り越え、たくましいナイス・ガイに成長していく物語。
この原作を映像化するにあたり、バーホーベンが『スターシップ・トゥルーパーズ』でやったように、昆虫軍に刺されて首や胴が虫けらのごとくもげまくったり、四肢を亡くしてのたうちまわったり、そしてそれが日常風景になっているエグい描写がカウント不能なぐらい炸裂しまくるグロテスク&バイオレンスにもできたろう。
また、キューブリックが『フルメタルジャケット』でやったように、《機動歩兵》になるための訓練シーンは、若者に人間性を無くさせ《機動歩兵》ならぬ《鬼道歩兵》に変貌させるような狂気戦慄の洗脳的訓練描写にもできただろう。
しかし、その方向には行かず、バイオレンスやグロテスクはおさえめ。キャラクターたちが殴り合って友情が深まるタイプの、まっすぐさわやかなアメリカンSF青春白書になっている。
よい子のみんなもおうちに帰って家族と晩ごはんを囲む夕方6時半にテレビ放映されたのも納得のマイルドさだ。
実写映画『スターシップ・トゥルーパーズ』を夕方、家族と晩ごはん食べながら観れるか?無理!虫に腹をぶっ刺されて血反吐を吐く機動歩兵のごとく一家全員味噌汁を噴射してしまうこと間違いなし!
しかし『スターシップ・トゥルーパーズ』をブレイン・バグのごとくあがめる私のような人間には、そこんとこがアッサリしすぎてる気がして、大変失礼ながら正直ちょっと物足りなくもありました。
しかし!
メカニックデザイナーの父・宮武一貴さんがデザインし、加藤直之さんが描き、挿絵が出るたび文庫のページをめくる手をジッと止めさせた、あのパワードスーツが!
映画『スターシップ・トゥルーパーズ』シリーズではパート3でやっと登場した、あのパワードスーツが!
1話目からパワフルにガンガン戦いまくる姿はやっぱりアガる!
ミュージシャンにしてSF作家でもある難波弘之さんのセンス・オブ・ワンダーを感じさせてくれる音楽、お名前の中に星を持つスターシンガー、つのだ☆ひろさんの主題歌も、このOVA版『宇宙の戦士』の世界にピッタリだ。
「ジャブロー降下作戦」ばりに宇宙の戦士たちが散りまくる、生き残れるかは運しだいなクライマックスの敵惑星降下作戦に燃えるべし!