『笑劇 新選組』 お笑い新選組血風録!

■監督:野田拓実
■1989年
■30分

 

今なお熱狂的なファンを持ち、ドラマ化や映画化がされるたびにブームを巻き起こし、あちこち色んな媒体で特集やイベント企画が組まれたりする、日本の歴史上、最強のアイドルグループ・新選組!
幕末をはかなくも熱く駆け抜けたこの人気者たちを、貪欲な80年代OVA界が放っておくはずはない!
ミスター・アーネストボーグナインこと富田耕生さんが史実通りに出来事を読み上げていくシリアスでシブいナレーションに合わせ、史実から徹底的にはみだしたおふざけデフォルメされた幕末スターたちがハチャメチャに暴れ回る「お笑い新選組血風録」としてアニメ化!

 

 

とにかく各キャラクターたちの二頭身に縮められたとんでもデザインが観ていて楽しい。
「薄幸の美剣士」イメージが定番で女性人気ナンバー1の沖田総司は下ぶくれのブサイクな変態剣士。

 

 

ほっぺに「か」と描き込まれた桂小五郎は光GENJIばりにローラースケートをはいて修羅場と化した池田屋から脱出。

 

 

幕末嫌われキャラナンバー1の芹沢鴨にいたっては、怪獣のようなデザインで口から火炎放射!
史実には書いてなかったが、あの悪名高き「大和屋放火事件」はこうして行われたらしい!

 

 

他にも「ウルトラマン」「タケちゃんマン」「赤影」などなど、隙あらば小ネタをねじ込み、音楽もそのつど円谷特撮っぽいアレンジの曲を流したりと、徹底的に気合の入ったふざけっぷり。

 

 

冒頭とクライマックスの池田屋大乱戦で「ここぞ!」のタイミングでかかるオッフェンバックの『天国と地獄』も運動会ばりにテンションをアゲてくれる。(ちなみにこのシーンの沖田の殺陣まわりは、キャラとのギャップ萌えで妙なカッチョ良さあり!あの喀血も意外な形でちゃんと描かれている!)

 

 

富田耕生さんのナレーションが最後に告げる通り、この先の新選組の運命を想うと、ちょっと切なくもあるのだが、結成から「池田屋事件」までの彼らの黄金期を独自の大胆なアプローチで誠実に笑劇化した、誠に楽しい作品になっております!

 

 

 

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