『さすがの猿飛 キャラ・グラフティ―』恋の呪文はスキトキメキトキス!

■監督:佐々木皓一
■1984年
■45分

 

私が細野不二彦先生の作品を初体験したのは小3の頃。
父が脱サラして始めた小さな喫茶店に《週刊少年サンデー》が置いてあり、ちょうど、あのエロ…いや、「エッチ」という言葉のほうがあの作品のノリにはふさわしいだろう。マッドドクターがおかしな発明をしては珍騒動を巻き起こすエッチコメディー、細野不二彦先生のあの『どっきりドクター』がちょうど連載中だったのである。

 

 

岡田斗司夫さんは「細野不二彦の登場以来、新人マンガ家の条件として『可愛い女の子が描けるかどうか?』はほぼ絶対の条件になった。」とおっしゃったそうだが、まさに!
それまで見たことがないぐらい、ずばヌケる衝撃的に可愛い女の子たちのパンチラ&ヌード満載で連載されていたこの『どっきりドクター』にチビッ子の私は思いっきりどっきり!
家族が近くにいる時は「ワシは池上遼一先生の『男大空』を読むのが楽しみな男なんよ」の顔でとばしていたが、1人になったら「今週はまた、エロいのあるかのう?」と《大人の特選街》を手にしたオッサンの顔で『どっきりドクター』のページを開くのがワクワク楽しみでしかたなかった。

 

チビッ子のリビドーもガッシリつかむ、そんなさすがの細野不二彦先生の大ヒット作『さすがの猿飛』は父の店に置いていない《増刊少年サンデー》のほうに連載されていたので、私の場合はアニメから入った。
忍者を養成する高校に転校してきた、スケベでデブでチビで大食いなのになぜかとびっきりの美少女・魔子ちゃんにぞっこん惚れられている猿飛肉丸くんの大活躍を描くドタバタラブコメディである。

 

 

原作はわずか7巻なので、アニメオリジナルのエピソードも多く、SF、時代劇、ファンタジーなどなど、大胆に舞台をぶっ飛ばした番外編満載の『うる星やつら』ばりに何でもありな自由で楽しい作品になっていた。
肉丸くんを演じた三ツ矢雄二さんの変声演技も最高。
島津冴子さんが演じる魔子ちゃんも、一途でピュアな魔的魅力全開でキュン死必至。

 

 

また、この頃は「ゴールデンタイムにテレビでオッパイ」がゆるゆる許されており、本作も「神風の術」によるパンチラを始めサービスカットの嵐!日本中の男子たちを毎週ドッキリさせていた。
作画も、背景動画を駆使した廻りこみ演出や、金田伊功さんっぽいアクションなど、80年代アニメの良さが満載で今観てもすごい。

 

 

ところで、今回紹介させて頂くこのOVAは、サブタイトルに「キャラ・グラフティー」とあるように、作品に登場する全員ぜんぜん忍ぶ気がない個性あふれるキャラクターたちにスポットをあてた名場面集である。

 

 

ストーリーはなく、田中真弓さんのノリノリ演技が楽しい忍豚(にんとん)の司会進行で、「恋編」「怪獣編」「アクション編」などなど、ジャンル分けされたさまざまな名場面が紹介されていく。
完全にファン向けの特殊な作品で、配信などもされていないため、フルで視聴するのは困難かもしれない。

 

 

ところでアニメ版『さすがの猿飛』といえば、何といってもやはり!あのオープニングだろう。
このビデオにはノンクレジット版で収録という、ファンにはうれしいサービス付き。
今なお様々なアーティストによってカバーされまくっているこの100点満点の完璧に素晴らしい昭和アニソン『恋の呪文はスキトキメキトキス』は、これからも無敵の忍術のごとく多くの人を永遠に魅了し続けるに違いない!

 

 

 

  • オススメ度…65/100(ファンむけの作品)
  • 無料動画の配信…ニコニコ動画(一部のみ)
  • 有料動画の配信…なし
  • ソフトのレンタル…なし
  • ソフトの販売…中古のVHS(本編はDVDなどあり!)