■監督:中村孝一郎
■1989年
■25分
スリリングかつ甘酸っぱい極上の青春ラブコメ展開と、とびっきりフレッシュな美少女度の高さで、当時の全少年ジャンプ読者に毎週毎週ひゃっほう歓喜のジャンプをさせた『きまぐれオレンジ☆ロード』。
まちがいなく黄金期の《週刊少年ジャンプ》を代表する…というよりはもう「80年代のマンガ」を代表する作品の一つである。
当時『きまぐれオレンジ☆ロード』が巻き起こした、童貞ならずとも男子全員なぎ倒された凄まじい胸キュン大旋風。
それに関しては、以前、笑顔が消えた恐ろしいパラレルワールドに迷いこんでしまったかのようなエグい傑作異色OVA『あの日にかえりたい』の紹介記事の中でも書かせて頂いた。
この大旋風は当然マンガ界だけにとどまらず、爆速でテレビアニメ化決定。
脚本界の駆け込み寺こと寺田憲史さんによる優れたストーリー、原作マンガの絵と親和性バッチリな高田明美さんのキャラクターデザイン、それに躍動感を吹き込んだスタジオぴえろの美しい作画などなど…すべてがうまくはまり、テレビアニメも大成功!
幸福な終わりを迎えた後も人気は終わらず、約1年後、原作11巻に収録のエピソードを元に、再び作られたのがこのOVA『白い恋人たち』である。
恭介と まどかは、きっとたぶん本当はお互いに両想い。
しかし、まどかのかわいい後輩、ひかるが「ある勘違い」をきっかけに恭介にゾッコンLOVE!押しかけ彼女状態になってしまう。
ピュアなひかるは、恭介とまどかが魅かれ合っていることに気づいていない。
もし2人がくっついたりすれば、まどかを姉のように心底したっているひかるを傷つけてしまう!
かくして、優しい彼氏を演じる恭介、妹分思いのお姉さんキャラを演じるまどか、いちずに恭介にベッタリのひかる、この3人の危うい恋のトライアングルがめでたく完成。
そんな100点満点のラブコメシチュエーション真っ最中のこと。
恭介たちはみんなで、おじいちゃん夫婦がやってるスキー小屋へ来ていた。
そこで「このスキー場でイチャついたカップルは、なぜかいつもマッパで遭難する!」という、恐るべき「スッポンポン伝説」なる言い伝えを聞かされる。
「だから好き合ってる恋人同士は、絶対に一緒にゲレンデにいてはいけない!」と警告を受ける恭介たち。
半信半疑ながらも念のため、ひかるは泣く泣く恭介と別行動。
一方、まどかと一緒でニコニコドキドキの恭介。
しかし!
雪崩に巻き込まれ、2人は洞窟に閉じ込められてしまう!
そこで目にした目を疑うような光景とは?
「スッポンポン伝説」の驚くべき真相とは?
オープニングはテレビシリーズの第3期と同じ『鏡の中のアクトレス』。
80年代セルアニメの必殺奥義「回り込み背景動画」を駆使しまくった、チャレンジングな驚異の1カット作品。
このオープニングはいま観ても本当に凄い。曲のテンポに合わせてグルグル回ってガンガン動いてムチャクチャ気持ちいい。
本編は、恭介のまどかへの思いを試すべくハードなイベントが次々と襲い来る、教訓めいた昔ばなし的サスペンスを軸に色んなサービスを満載して展開。
雪山に不吉に響き渡る童謡、ロメロ映画ばりのゾンビの群れ、アグレッシブな雪女のような怨霊などなど、ホラー要素がうれしい。
また、女子更衣室をのぞく中二目線な まどかの脱衣シーンや、「きゃー!のび太さんのエッチ!」的な入浴シーンなどのお色気サービスもうれしい。
特に閉じ込められた洞窟の中で、あの まどかがバンバン服を脱ぎ、大胆に恭介を誘うシーンは原作以上のかなりのナイス露出。少年ジャンプの まどかの水着ページを切り抜いたことがある方は、つまり全昭和男子は必見。
テレビアニメだったらオレンジならぬイエローカードを食らうレベルの、まるで夢のようにうれしいお色気シーンになっている。
想いを口にすることが許されぬ禁断の恋のトライアングルの中、トラブルが起こり、それを何とか乗り越えた先に、言葉にせずとも通じ合えたような幸福な瞬間が訪れ、甘酸っぱい後味を残す。それが『きまぐれオレンジ☆ロード』の胸キュン黄金パターン。
このOVA『白い恋人たち』は、そんな『きまぐれオレンジ☆ロード』らしい、とっても理想的な、「きまぐれオレンジ☆ロード・オブ・きまぐれオレンジ☆ロード」と言える仕上がりっぷり。
観たらきっとゲレンデがとけるほどの熱い恋がしたくなる、真冬のベストエピソードになっております!
- オススメ度…70/100
- 無料動画の配信…dailymotion
- 有料動画の配信…なし
- ソフトのレンタル…なし
- ソフトの販売…Blu-ray BOX、DVD BOXに収録あり!
※『きまぐれオレンジ☆ロード』のOVA一覧です(製作された順)↓