■監督:西久保瑞穂
■1988年
■30分
篠原千絵先生の大ヒットマンガ『闇のパープル・アイ』。
恐怖や怒りでヒョウに変身してしまう少女の、親子2代に渡る苦悩と愛を描いた少女マンガ版キャットピープルだ。
兄が少女マンガも読む人で、当然、篠原先生のこの代表作、ホラー度高めな戦慄のサスペンス・ロマンも本棚に並んでいた。
私も借りて全12巻を、あっという間に夢中で読んだ。
悲劇のヒロイン・倫子(りんこ)を次々に襲う篠原先生必殺のホラーテクがとにかく容赦なく凄い。
『悪魔のいけにえ』『オーメン2』などのクラシック映画はもちろん、数々のホラー作品で使われる「必死ですがったこの人も実は…!」「信用してたこの人が実は…!」の鉄板恐怖シーンでたびたびヒロインを絶望の底にガーンと叩き落とし!
クロロホルムで眠らせて拉致監禁!
超音波、電撃、水責め、生コン責め!
レイプ魔の不良グループはもちろん、毒ヘビ、毒グモ、犬までけしかけるという残虐フルコース。
特に、ヒロインの愛する幼き妹への、あの犬の使い方は…
「嫌な犬の使い方映画」ナンバー1、ジョニー・トー監督の黒社会映画『エレクション 死の報復』も尻尾を巻いて逃げ出すような凄まじいエグさだ。む…むごい!
そして、何と言ってもヒロインを2代に渡ってネチネチと襲い続ける最恐女教師・曽根原先生である。
冷酷、残酷、陰湿、狡猾。三白眼でVの字口。笑い方はもちろんクックック!
「こんな女教師は嫌だ!」のベスト回答のようなこの悪役の大活躍は「倫子ちゃん、そこだ!今だ!変身だ!喉笛を喰いちぎれ!」とページに向かって絶叫応援したくなること間違いなしの素晴らしさ。トラウマになった女子の皆さまも多いのではなかろうか。
そんな100点満点の悪モノに狙われ続け、数々の悲劇に襲われ、運命に翻弄されても、愛に生きようとするヒロインたちの決意とひたむきな行動に号泣必至。
泣きすぎてパープル・アイならぬレッド・アイになること間違いなしのクライマックスが、親子2代2部構成のこの物語においてキッチリと2度訪れる。(いや!人によってはもっと泣くかもしれない)
特に第2部のラスト。ただでさえドラマチックな「空港」という舞台が、最高に効果的に感動飛翔装置として機能!夜の滑走路に光る瞳がキラリ!白黒マンガだが、あなたにもきっとハッキリと紫に見えるだろう!
ところでそんな『闇のパープル・アイ』。
グラビアクイーンとして大活躍、日本全男子の視線を胸の谷間に吸いつけておられた雛形あきこさん主演で90年代に実写ドラマ化。
これはやはり「女豹のポーズ」だけに雛形さんだったのだろうか?
私も若い頃はヤンマガのグラビアが雛形さんだと「ワシは別に雛形あきこの水着が見たいワケじゃあないんよ。不定期連載の攻殻機動隊が今週は載っとるけえ、それを読みたいSFファンなんよ。」の顔でいつもは立ち読みで済ますヤンマガを購入、部屋に帰って勃ち読みしたものである。
ちなみに原作はデビルマン方式で、ヒロインの倫子たんは豹変するたびに服がビリビリと破れ、人の姿に戻ったらいっつもマッパという、何気にヌー度高めな作品。
これをあの頃の雛形さんが?
私はこのドラマ版は未見だったのだが、別にさすがにもうええ歳こいて全盛期の雛形あきこさんのオッパイを見たいわけではなく、80年代OVAについて詳細に渡り解説することを趣旨とする当サイトの本記事を書く上で避けて通れぬ事項であるし、90年代のテレビドラマにおいて変身シーンをどのように実写で豹現したのか特撮史の観点からも重要なファクターであるため「闇のパープル・アイ 雛形あきこ オッパイ」で検索。
なぜかソフト化はされてないようだがニコ動にて確認。特撮シーンはさておき、凄い残念ながらさすがにやっぱりオッパイは見えぬもののけっこう大胆に美しいヒナボディを披露しておられた。ボディダブルかもしれないが!
なんだか前置きでいっパイになってしまったが、このOVAは、原作の大ヒットによりリリースされたイメージアルバムに映像をつけたもの。ストーリーはないミュージックビデオである。
神OVA『エリア88』でも血潮を熱く燃えさせてくれた新田一郎さんによる音楽、哀しみと愛の物語を誠実に詩で紡いだ歌、篠原千絵先生の原作シーンや美しいイラストにアニメを合成するという試み、背景動画を駆使したヒョウの都市疾走シーンなどなどなど…ファンならきっと非常に興味深く観れる作品。最後の篠原千絵先生のメッセージにも深くうなづくことだろう。
そしてきっとこう思うに違いない。
いつか完全アニメ化されるといいのにな!
- オススメ度…68/100(ファンの方向け)
- 無料動画の配信…Youtube
- 有料動画の配信…なし
- ソフトのレンタル…なし
- ソフトの販売…中古のVHSがたまにオークションなどに出回るのみ