「麻雀飛翔伝 哭きの竜」 原作同様カリスマ充分!竜の極道たらしっぷりがモノ凄い

■監督:出崎哲
麻雀飛翔伝 哭きの竜(1988年 52分)
麻雀飛翔伝 哭きの竜2 翔竜編(1989年 40分)
麻雀飛翔伝 哭きの竜3 竜狼編(1990年 43分)

私が初めて能條純一さんの作品と出会ったのは確か中学の頃。「週刊モーニング」で連載が始まった「翔丸」であった。

いじめられっ子の高校生・翔丸がある夜、カッターナイフで己の頬に傷をつけたことでなぜか悪の天才、カリスマとして覚醒!自分を虐げていた不良グループはもちろん、ヤクザ組織、政治家までも問答無用の謎のチャームで次々魅了&傘下に治め、たったの3巻(現在読める文庫版だと上下2巻)で日本を手に入れるというヒトラーもビックリのモノすごいカリスマンガ。
かっちょいい名セリフの数々、写真から起こしたっぽい独特な背景や絵のタッチ、カメラアングル、人物のダブついたアゴのライン、なんかチョークみたいなタバコ、やたらフェラやらされてる女性たちなどなど…
初めて出会った独特極まりない能條節に私も作中の男たち同様「ふっ」という間に魅了され、毎週夢中で読んだ。誰かを遊び仲間に誘う時などはもちろん「翔丸組に入るんじゃあ~!」と叫び、白い目で見られ、1人でファミコンしてたものである。

おっとっと…時の刻みは私だけのものじゃない。「翔丸」はともかく、OVA版「哭きの竜」の話をしなければならない。
原作は麻雀マンガをメジャーへ一気に飛翔させた、言わずと知れた役満級の大ヒット作。
哭きまくり、まるでマンガみたいな勝ち方をする謎の雀士・竜と、彼のカリスマ、運を手に入れようと群がってくる侠(おとこ)たちの人間模様を描いた作品。
とにかく翔丸同様、マンガ界1かっこいいピッチリ七三分けこと竜のカリスマ、極道たらしっぷりがモノ凄い。
「竜、お前の運をワシにくれや~!」とか「竜、ワシのものになれや~!」とか叫びながら、彼の取り合いで極道たちが次々血の海に沈んでいく。男だけどほとんどファムファタール。

その哭きの竜の妖しい魅力を、まだ岡田斗司夫さんが在籍していた頃のガイナックスがなかなか見事にアニメ化。


能條先生の独特なタッチのキャラを崩すことなく美しく動かし、キャスティングもピッタリ。竜を演じた池田秀一さんの声がカンチャン待ちばりにカチッと見事にはまっておりカリスマ充分。すごくカッチョいいけどよく聞くと意味はサッパリわからない、しかし死ぬまでに絶対一度は使ってみたい「あンた、背中が煤けてるぜ」などの、おなじみの数々の名セリフが文句なく次々とキマる!
セックスの時のマグロ男子っぷりもすごい。あれで女の人に怒られないのがすごい。
小林清さんのナレーションも実録ヤクザ映画みたいでシブい。

原作で「牌が光って見える」と言われる竜の闘牌シーンは、80年代セルアニメの必殺技術・透過光を駆使してホントに牌がピカリ!竜が哭くたびにビカビカ雷光が炸裂し、雷神の化身のような竜の姿となり(竜だけに)、アンギャーと雄たけびを上げ、勝利への牌をド派手に喰っていく。
「BSマンガ夜話」の「哭きの竜」の回で岡田斗司夫さんが言っておられたが、この演出には原作者の能條先生も喜ばれたらしい。

竜の主戦場となる新宿の背景も原作同様、リアルで見事。また1巻はエンディングがOVAでは珍しい演歌なのも世界観へのこだわりを感じる。

ただ原作通りに話を進めるのではなく、エピソードをダイジェストにして途中で挿入したりする作りなので、もしかするとちょっと人物の関係や話がわかりにくいかもしれない。
それと、パート3まであるが完結せずに途中で終わってしまう。
原作のラストは中島みゆきさんの歌が効果的に使われた感動的な幕切れ。それがなかったのは残念だ。このクオリティーで、できれば最後まで観てみたかった。(この後、東芝から「哭きの竜 飛竜之章」が発売されるが、そちらも途中で終わる)

ナヌ!「完結してないのか。じゃあ観ない。」ですと!そりゃあまりにももったいない。ここぞという場面でおいしい牌が出たのに哭かないようなもの。あンた、背中が煤けてるぜ。

  • オススメ度…70/100(1巻) 60/100(2巻、3巻)
  • 無料動画の配信…Youtube(3話ともあり)
  • 有料動画の配信…バンダイチャンネル Amazonビデオ
  • ソフトのレンタル…なし
  • ソフトの販売…中古のVHS
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