■監督:吉永尚之
■1991年
■25分
今なお人気のエバーオレンジな原作マンガから抽出されたテレビアニメ版&OVA版『きまぐれオレンジ☆ロード』!
それは、どのエピソードもオレンジロード果汁100パーセントの甘酸っぱい、驚くほどハイクオリティな作品だった。
鶴ひろみさん、古谷徹さん、原えりこさんの名演。
原作エピソードを巧みにアレンジしてアニメ枠に落とし込んだ寺田憲史さんの脚本。
まつもと泉先生の絵と抜群の親和性を持つ高田明美さんのキャラクターデザイン。
その美しさを崩さずキープした《スタジオぴえろ》の作画。
あの小林七郎さんも参加していた、驚愕の「空気を描く美術」などなど…
すべての要素がハイレベルにそろったアニメシリーズだった。
ちなみにOVAのジャケットはいつも高田明美さんが手がけておられた。
当時、この美しいジャケットをゲットするためだけでも、ビデオを買う価値アリだったと思う。
OVA『ルージュの伝言』は、この奇跡の座組による最後の作品である。
家族旅行で置いてけぼりをくらった恭介が1人「こんな時、突然、鮎川が来てくれたりしないかなあ…」などといつも通り思っていると、ワケあってルージュの伝言を残して家出してきた まどかさんがホントにコンバンワ!
新妻のごとく食事をふるまった上、お泊り宣言!
「1人で寝るのはさみしいの…」と恭介の部屋をノックするという、童貞の夢のようなドキドキ・ワンナイト・エピソード。
まどかさんの家出の理由が原作では「両親からのアメリカ移住の提案」だったが、このOVAでは「父親の浮気疑惑」に変更されている。
「男の人ってみんなそうじゃない?」と怒りをにじませ、2人のヒロインの間で揺れっぱなし優柔不断主人公の恭介を困惑させるまどかさん。
長い三角関係の中、秘め続けてきた彼女の苦しみ、イラ立ち、孤独が思わずにじみ出てしまうような切ない展開。
しかし「浮気疑惑の真相」が他ならぬ恭介からチェーン・アギにキスする時のアムロの声で優しく告げられ、「男の人ってみんなそうじゃない。優しい人はいつも優しいと信じてみてもいい。」と悟るまどかさん。
父親の呼びかけにとびっきりの笑顔で答えるその姿に、とびっきりの笑顔になれるさわやか好編に仕上がっている。
ところで、このたび『きまぐれオレンジ☆ロード』のOVAシリーズを集中して紹介させて頂くにあたり、参考のため、まつもと泉先生の原作マンガも全18巻、久しぶりに通して読んでみた。
あらためて、その凄さに驚いた。
今なお古びぬアンチエイジングな絵。麗しいヒロインたち。
基本的に一話完結方式で、いつもラストに甘酸っぱいオチがつく巧みなストーリーテリング。
クリスマス、バレンタイン、サマーキャンプなどなど青春マンガの必須イベントもきちんと完クリ。
本当に80年代最嬢キュンのラブコメだった!
危うい三角関係をキープしつつお話が進むこのオレンジロードに、ひかるちゃんのためにインパクトが超えぐかったシリアス展開な加筆45ページを加え、恭介には土下座をさせ、キッチリと決着をつけたゴールもお見事!
まつもと泉先生は、長い間ずっと《脳脊髄液減少症》という病気で苦しんでおられたとのこと。
病を抱え、週単位で、黄金期ジャンプの厳しい編集の元で、このクオリティの作品を描き続けるというのは、本当に想像を絶する大変な仕事だったと思う。
かげがえのないときめきを毎週届けてくださった まつもと泉先生のご冥福をお祈りいたします。
時代が流れても、きっと繰り返し読まれ続けるに違いない「永遠の夏」がここに!
このときめきは……忘れない!
- オススメ度…61/100
- 無料動画の配信…Youtube
- 有料動画の配信…なし
- ソフトのレンタル…なし
- ソフトの販売…Blu-ray BOXに収録あり!
※まつもと泉先生の公式サイトです!↓
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