『超獣機神ダンクーガ GOD BLESS DANCOUGA』テレビ、OVAに続いて映画版(?)もやってやるぜ!

■監督:大庭寿太郎
■1987年
■79分

 

あまたの名作が生まれ人気を奪いあった80年代アニメ界。
そんな弱肉強食の熱いジャングルで「やってやるぜ!」と猛々しく咆哮!
まんまとワシらのハートをわしづかみにした、「ワシ」「ヒョウ」「ライオン」「マンモス」型メカの猛獣合体巨大ロボ!
そう!
『超獣機神ダンクーガ』!

 

 

その強力なパワーでブラウン管の前のアニメファンのハートをバーニング・ラブさせ!
最終決戦を圧巻の作画で描いたOVA『失われた者たちの鎮魂歌』もクオリティ&セールスともに大勝利!
そして…
ついに全人類待望の完全新作劇場公開用映画もやってやるぜ!
…となるはずだったOVA。
それがこの『超獣機神ダンクーガ GOD BLESS DANCOUGA』である。

 

 

宇宙の果てでムゲ帝王との最終決戦に勝利したダンクーガ。
おかげで地球には平和が戻ったかに思えた。
しかしそれも束の間、黒づくめの謎の武装集団《バンディッツ》が出現!あちこちで激しいテロ行為を繰り返していた。

 

 

いっぽう、無事に帰還した獣戦機隊の4人はそれぞれの日常に戻っていた。
忍とイイ感じになりそでならず、結局ケンカばっかの沙羅は、士官学校時代の旧友で、今は都市を管理するお偉いさんになった小百合(サユリ)と再会。

 

 

忍のほうは夜のお忍びBARを経営する謎めいた麗しの美女、麗美に出会う。

 

 

また、亮は愛する人のいるメキシコへ。

 

 

雅人は確執のある父親との対話へ。

 

 

そして『ダンクーガ』の癒し系ロリータ、ローラはそんな獣戦機隊の4人が危機に陥る悪夢を見ていた…

 

 

その時!
街のど真ん中に謎の巨大ロボ怪獣が出現!

 

 

忍たちは勇敢に立ち向かうも、敵の不可解な自爆により街は壊滅。
その責任を問われ、獣戦機隊の4人は理不尽に監禁&拘束されてしまう。

 

 

しかし、そんなみんなを救い出したのは、なんとあの《バンディッツ》!導かれたアジトは麗美のBAR!
そしてそこには「ある意外な人物」も待ち受けていた…

 

 

麗美の正体とは?
《バンディッツ》の目的とは?
そして、昔のおとなしく優しかった性格が一変、今はなぜか無双ハイテンションな小百合に秘められた忌まわしき謎とは?

 

 

今…すべてが明らかになり、驚くべき恐るべき真の敵がついにその姿を見せる!
立ち向かうべく再び合体した我らがダンクーガに神のご加護はあるか?
GOD BLESS DANCOUGA!

 

 

『ダンクーガ』が好きで、本作をワクワク観始めて、「あれ!?」と思った方がもしかするとおられるかもしれない。それはもしかすると私かもしれない。
正直を申し上げると本作、大変失礼ながら「あれ!?」と思う所が大変多い気がした。

 

忍と沙羅の微妙な関係…
雅人の父との確執…
若手隊員たちの、亮たち古参に対する反発…
麗美の、そして悲しきヒロイン小百合の想いなどなど…

 

 

ストーリー上にせっかくまかれたたくさんの種が、そのままあまりていねいなケアを受けず、カタルシスとなってきちんと美しく昇華していかない気がどうもするのである。

 

本作は劇場公開用映画として製作が始まったが、最終的にはOVAとしてリリースされた。
私がラストの忍と違って「やったぜ!」とは正直あまり思えず、ちょっと感じてしまったこの大ざっぱなとっちらかり感は、やはり『ダンクーガ』の生みの親である奥田誠治さんの不在が大きいのではないかと思う。

 

 

奥田誠治さんは、白黒の『鉄人28号』のころアニメの現場に飛び込み、動画、原画、デザイン、演出などなど様々な仕事をこなしまくり、描いた絵コンテの数はなんと800本越え!
人呼んで「絵コンテの鬼」!

 

奥田誠治さん

 

ハードな日本アニメ道をタフに歩き抜いてこられた、まさに伝説のお人である。
このサイトで激推しさせて頂いた80年代OVA界の麗しの看板娘『ドリームハンター麗夢』や、インディ・ジョーンズも真っ青の世界ふしぎ発見アドベンチャー・オカルト・アクション『禁断の黙示録 クリスタルトライアングル 』なども奥田さんの監督作品だ。

 

「ドリームハンター麗夢」 今なお麗しい夢のような美少女っぷり!
皆さんは「80年代ビキニアーマー美少女四天王」をご存じであろうか? 「幻夢戦記レダ」の陽子! 「夢幻戦士ヴァリス」の優子! ファミコンゲーム「アテナ」のアテナ! 「アウトランダーズ……
『禁断の黙示録 クリスタル・トライアングル』『インディ・ジョーンズ』ミーツ『妖怪ハンター』なOVA!
■監督:奥田誠治 ■1987年 ■86分 手にした者は全宇宙を支配することもできると言われる、神のメッセージが込められた禁断の黙示録「裏十戒」。 ナポレオン、ヒトラー… 古来より時……

 

『超獣機神ダンクーガ』は、そんな奥田さんがある日プロデューサーに呼び出され、応接室の机の上にごっつい超合金ロボをゴトンと置かれ、「テレビ枠も主題歌の新人アイドルも決まってる。でも他は名前も何も決まってない。なんとかなりませんか?」と驚きの依頼をされ、初めて初めから作品を作り上げることができる喜びに突き動かされ、スタッフ不足などの最悪の環境の中、最大の情熱をこめて生み出した作品なのである。

 

 

その奥田誠治さんの著書『アニメの仕事は面白すぎる』をご存じだろうか?
奥田さんが実際にずっと見てこられた日本アニメ界の黎明期から今にいたるまでの現場のリアルを記録した本である。

 

 

中にいた方が書いておられるので、外から見たのではまったく知り得ない驚くべき情報が毎ページ満ちあふれており、アニメレビューなどをされる方には義務教育にすべき必読度。
ウィキペディア情報というものがいかにまちがいまみれであるか、あらためて思い知らされて背筋がシャキッ!
出崎統、高畑勲、富野由悠季、安彦良和などなど…名だたる大物たちとの出会いや繫がりや確執についても忖度なく書かれており興味津々。
特にあの川内康範氏にダイヤモンド・アイで睨まれて呼び出しをくらったくだりのドキドキハラハラ感といったらもう…
青春私小説としても面白すぎる!『アニメの仕事は面白すぎる』は面白すぎる!

 

 

その中で、奥田さんがなぜこのたび『ダンクーガ』の指揮官の席を離れ、ハンドリングがグラグラとなった危うい本作が、劇場用映画からOVAでのリリースに変更となったのかについてもズバリ書かれている。

 

テレビ版とOVA版の成功により、ソニー・ピクチャーズからついに映画版の依頼!
脚本家の武上純希さんとプロットを練り、そのアイディアも「これはウケる!泣ける!」と上々な感触!
「やってやるぜ!」と燃えておられたところ、作業に入る寸前でプロデューサーから呼び出し。
「監督の名前だけ貸して下さい。作業はすべて葦プロでやります。奥田さんだと経費もスケジュールもかかるし安く上げたいんです。」と、耳を疑うような話を持ちかけられる。

 

スケジュールを破綻させぬため何よりも自分の時間をけずり、スタッフの皆さんの不満などもすべてご自身でかぶり、自己犠牲をテーマとした『ダンクーガ』という作品に対して文字通り命を捧げて来た奥田さんに対して信じがたいこの仕打ち。
「誰の指示なのか?」問い詰めるも答えは返ってこず、奥田さんは映画版を降り、監督名義料を受け取ることも辞退。
それを聞いたソニー・ピクチャーズ&エピック・ソニーも撤退。
仁義ある獣戦機隊の声優陣も「それなら自分たちも降りる!」と宣言。
奥田さんは、ヒーローボイス界のエース矢尾一樹さんを始めとする皆さんのヒロイックな行動に嬉しさを感じつつも、残るように説得したとのことである。
そして、この章の最後を次のように締めておられる。

 

その後、葦プロは独自路線で別の「ダンクーガ」を作った。
それは予算も含めて劇場版にはなり得ないレベルだった。
私のダンクーガは虚しく終わった。

 

そんな、神のご加護を受けることができたとはちょっと言いかねるかもしれぬ本作『GOD BLESS DANCOUGA』ではあるが、決して「つまらない」というワケではない!

 

 

作画監督を務められた羽原信義さんの色合いが強く出たマシンロボいキャラクターたちはとても麗しい。
特に女性キャラたち。

 

 

その中でも本作オリジナルの悲劇のヒロイン小百合たんの不憫な可愛さには私ならずとも「最後でもっとちゃんとフォローしてあげてくれいっ!」と画面が倒れるぐらい雄たけびをあげたくなること必至。

 

 

またバトルシーンの作画には、大張正己さんと合田浩章さんが合体したアニメーター界のサイコアーマー合張浩己さんも参戦!
戦いを繰り広げるロボットたちのあふれ出るパワーで金属が筋肉のようにムキムキと膨張するような言わずもがなのバリ凄い迫力が画面にみなぎっている!

 

 

状況に応じて臨機応変に変形を細かく繰り返しつつのバトルも面白い。《ダンクーガ》という巨大ロボの複雑なギミック設定が充分に活かされている。

 

 

「あなたたちバトルしてばっかでバンドなんて今まで全然してなかったでしょ!」と、若い人にもわかりやすいたとえで言うと『NON STOP!恭平』の最終回と同じぐらい「うっだらー!」と突っ込みシャウトしたくなる唐突かつノリノリのライブシーンも、これはこれで楽しいサービス。
主演声優の皆さまで実際に結成しライブを行った《獣戦機隊》の「豪華アニメ版MV」のような味わいがある。

 

 

と、そんなワケでここまで読んでくださったダンクーガ愛あふれるイカす皆さまはぜひこう叫ぼう!
そう!
「奥田誠治さんの映画版が観れなかったのは確かに残念だけど…今までとはちょっと雰囲気の違うバリエーションが楽しめるっぽいこの『超獣機神ダンクーガ GOD BLESS DANCOUGA』の視聴もやってやるぜ!」と!

 

 

  • オススメ度…51/100
  • 無料動画の配信…なし
  • 有料動画の配信…Amazonプライムビデオ
  • ソフトのレンタル…なし
  • ソフトの販売…Blu-ray BOX1に収録!

 

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