『県立地球防衛軍』オタク界隈のワイワイ感あふれる大ヘン楽しいOVA!

■監督:早川啓二
■1986年
■50分

 

『陸軍中野予備校』!
『巨乳ハンター』!
映画、特撮、サブカルなどなど、わかる人にはわかる、わからない人もなんか面白いのはわかる、思わずニヤリなパロディー&小ネタをギッシリ詰め込んだ、オタク界隈のワイワイ感あふれる楽しい作品で80年代に登場し、ガッシリとマンガファンのハートをハントした安永航一郎(やすなが こういちろう)先生。
そんな先生の代表作の一つ『県立地球防衛軍』のOVA化である。

 

「過去の悪の組織はいきなり東京から攻めて失敗した。だから我々はまず地方から征服するのだ!」という、かしこせこい理由で九州某県の県庁に公衆電話で宣戦布告してきた悪の秘密結社《電柱組》(でんちゅうぐみ)。
恐るべき事態に県知事は、部員2名とマネージャーしかいなくてヒマこいてた県立今津留高校(いまづるこうこう)の野球部を招集!
《県立地球防衛軍》として《電柱組》の野望を阻止すべく指令を下す!
「なさけなき挑戦者」「魔の店へ飛べ」「散歩する迷惑」などなど…
毎回タイトルが『ウルトラセブン』のパロディーになっているウルトラ凝りようだが、さもありなん。
モロボシ・ダンとメトロン星人ばりに、防衛軍メンバーと電柱組幹部がちゃぶ台はさんで談話したりする、ゆるゆるかつ、ジャンルもルールも無用のハチャメチャな戦いが毎度毎度繰り広げられることになるのであった…

 

 

OVA版も原作に負けぬハチャメチャっぷり。
「銀河旋風ブライガーが始まってしまった」と勘違いするような、金田アクションの正統継承者、田村英樹さんによるオープニングからしてものすごい。
サイオニクサーのような防衛軍メンバーと、敵メカ軍団との星々をバックに繰り広げられるスペースアクションに度肝を抜かれることまちがいなしだ。

 

 

オープニングだけでなく、随所に炸裂する、80年代セルアニメの必殺伝統芸「背景動画」を駆使したグルグル動きまくるドタバタアクションも必見。
悲劇のインド人サイボーグ高校生、カーミ・サンチンがたびたび乱射するミサイルも、バラダギ様ならずとも「人間ファランクスが!」と叫びたくなるぐらい『超時空要塞マクロス』とも一戦可能なぐらいすごい。

 

 

そしてオープニングテーマ、挿入歌、エンディングテーマをガッツリ担当なさなったのは、あの忌野清志郎さんである。
「清志郎さんとアニメ」というのは異質な組み合わせのように感じられるかもしれないが、このセッションは最高大成功!
ハイクオリティな作画と楽曲が完全に愛しあっており、バッテリーはビンビン!テンション上がることまちがいなし!

 

 

声優陣も全員主役級で超豪華。
古谷徹さんVS池田秀一さんという宿命のライバル対決はもちろん、鶴ひろみさんのお声がハマりまくった我らがバラタキさんのさわやかなお色気はちょっと原作越えかもしれない。
炉縁(ろべり)や盛田(もりた)ならずともクラクラすることまちがいなしである。

 

 

全体の構成は、原作の中から特においしいエピソードをつまんで、わずか50分の中に3話もギッシリ詰め込んだ豪華幕の内仕様。
そして、清志郎さんのシットリした歌に合わせて盛田(もりた)とバラダギ様がイイ感じになるエンディングもムード満点でイイ感じ。
…と思ったらエンディング後に、赤貧フードファイターでもあるバラダギ様の食欲が火を吹くオマケの第4話がスタート。まさかのミニおかわりサービスに満腹。

 

 

…と、このように原作にも負けない、もしかすると『うる星やつら』にも負けない、大ヘンなにぎやかで楽しい作品になっている。
海外でしか円盤化しておらず、国内では正規のルートで視聴がなかなか困難な未確認物体になってるのが不思議なくらいである。
それも含めてこれぞ80年代OVAだ!

 

 

  • オススメ度…85/100
  • 無料動画の配信…Youtube
  • 有料動画の配信…なし
  • ソフトのレンタル…なし
  • ソフトの販売…中古のVHSかLD、または海外版DVDがたまに!