『きまぐれオレンジ☆ロード　思いがけないシチュエーション』安定の三角関係にハリケーン再び！

■監督：森健
■1991年
■25分

原作マンガやテレビシリーズが終了しても、きまぐれじゃない一途な熱望を受け続け、次々と新作アニメが作られた『きまぐれオレンジ☆ロード』。
そんな80年代最高萌の美少女ラブコメのOVAシリーズ、第3期の1作目！
それがこの『きまぐれオレンジ☆ロード　思いがけないシチュエーション』である。

次作『ルージュの伝言』と同時収録版のジャケット

優柔不断な恭介、押しかけ彼女のひかる、恭介のことを限りなくLoveに近いLikeなのに、妹分のひかるを思いやって優しいお姉さんキャラを演じ続けなければならないまどか…
このスリリングでこわれもののような三角関係に、必殺の変身能力を使っていらぬおせっかい！いつも嵐を巻き起こしてしまう恭介のいとこのあかねが、OVA第2期の『ハリケーン! 変身少女あかね』に続いて再上陸！

ある夜のこと。
恭介は、いとこのあかねにせまられる「夢精まちがいなし！」なほどのエロ予知夢を見る。

目覚めると、あかねが本当に部屋に来ており「友だちに見栄をはって、彼氏ぐらいいる！と言ってしまった。今からそれを証明しなきゃならない。一緒に来て彼氏のフリをして欲しい。」と頼まれる。
しぶしぶ承諾し、友だちの前でいつわりのボーイフレンドを演じるべく、あかねと出かける恭介。

しかし、その場に現れたひかるに、変身能力を使って恭介に化けたあかねが、ちょっとシャレにならぬレベルの大暴言！
またまたやっぱり嵐の予感！
傷ついたひかるを思いやるまどかも絡み、事態はどんどん思いがけないシチュエーションに…

原作は3週に渡って掲載され、その間、まどかとひかるの2人のヒロインがまったく出てこないというちょっと珍しい長編エピソード。
このOVAでは2人をうまく絡め、トラブルメーカーのあかねの相手だけでも大変な恭介にとってよりハードで気の毒なおもしろ展開を描き出している。

その恭介を演じる古谷徹さんはさすがの名演。
コメディもシリアスもしっかりとこなす、声優界の永遠のエースパイロットっぷりを余すところなく披露。
やりすぎ女子高生たちを諭す終盤のシーンでは『逆シャア』のアムロぐらいクールで凛々しいお声を聞かせてくださる。
ちなみにこのシーン。
「なぜ酔いや色気にクラクラせずにクールでいられたのか？」がわかるオチの切れ味はちょっと原作越えかもしれない。

さらにちなみに、途中でひかるが受けるひどい仕打ちは、『きまぐれオレンジ☆ロード』のいつものお約束ラブコメロードからちょっと外れるレベル。
問題作として名高い異色名作OVA『あの日にかえりたい』に匹敵するほどの胸の張り裂け度。
演じた原えりこさんの、ラストのかわいすぎる激おこぷんぷんボイスに心の底からホッとしよう！