■監督:笹川ひろし
■1987年
■30分
80年代。
相原コージ先生のギャグマンガは大ブームを巻き起こしていた。
学校での男子の回し読み率もトップクラス!
授業中にコッソリ読んでは、先生にバレて没収されてるヤツもいた。なぜバレるかというと、その面白さゆえ、ニヤニヤ笑いがこらえられないからだ。
あの頃、みんな、広辞苑はめったに開かなくても、コージ苑はしょっちゅう開いてたものである。
そんな相原コージ先生の代表作の一つ、大ヒット動物マンガ「かってにシロクマ」。
当時、マンガ好きの ある女の子が
「倉井くん、『かってにシロクマ』って、よくあるただカワイイだけの動物マンガじゃないんだよー!あのねー、お母さんが、主人公の○○を食べちゃうんだよー!」
…と、未読だった私に驚きの表情で教えてくれたのをよく覚えている。
また、この件に関しては、たしか小学館の「オレのまんが道」というマンガ家インタビュー集の中で、相原先生ご自身も触れておられたと思う。きっと読者の反響が大きいエピソードだったのだろう。
「これは…、ただの動物マンガだと思ってた『かってにシロクマ』という作品の中で、何かただならぬことが起こってるに違いない…」と感じた私も、遅ればせながら読み「あっ!みんながビックリしてたのってコレかー!」と、何が起こるのか聞いて知ってたのにビックリ!
つまり動物マンガ史に残る、あの有名な「ちょしちゃん事件」である。
作中のシロ同様に号泣必至のズルいくらいに感動的なラストや、その後のキョトンな真のラストも含め、ギャグ、残酷、下ネタ、実験的試みなどなど、相原コージ先生ならではの魅力が詰まった作品だった。
そんな、サルでは描けない名作マンガを、タイムボカンシリーズでおなじみの笹川ひろし監督がOVA化!
脚本は相原コージ先生ご自身がオリジナルストーリーを書き下ろし。
他にも、美術=小林七郎さん(天使のたまご)、デザイン=夢野れいさん(メガゾーン23)、シロの声優&主題歌=なぎら健壱さんと、超豪華スタッフが集結して贈る濃密な30分!
細かい注釈で笑わせてくれる動物観察ギャグ的な原作のテイストを、前半では見事に再現。
ウリ坊の可愛さには原作以上に萌えること間違いなし。小原乃梨子さんが演じられたお母さんもハマっている。
そして「オープニングの妙な壮大さはダテじゃなかった」と思える、原作にはない、後半のオリジナル展開にビックリするべし!衝撃の「ちょしちゃん事件」にも匹敵するブラックギャグも炸裂!
カワイイ動物アニメだと思ってお子さんに見せてたらドン引き必至&トラウマになる可能性あり。
しかし、それでいてしみじみ深みも感じさせてくれる、スンバラシー『熊の惑星』です。
- オススメ度…70/100
- 無料動画の配信…Youtube
- 有料動画の配信…なし
- ソフトのレンタル…なし
- ソフトの販売…中古のVHSもめったになし?