■監督:望月 智充
■1988年
■69分
「こりゃ絶対、人気が出て、テレビアニメ化もするじゃろうのう…」
80年代黄金期の週刊少年ジャンプに掲載された『きまぐれオレンジ☆ロード』の第1話を読んだ時、子供心にそう思った。
そして事実、そうなった。
別に目利き自慢したいワケではなく、当時読んでたみんなそう思っただろうし、編集の方々も人気作になることを確信しておられたのではないだろうか?
『きまぐれオレンジ☆ロード』は本当にすぐれたラブコメ青春マンガだった。
主人公の恭介(実はエスパー)と鮎川まどかは、一目会ったその時から、お互いハッキリと言葉には出さずともたぶんほとんど両想い。
しかし、まどかのかわいい後輩ひかるが、ちょっとした勘違いをきっかけに恭介にゾッコン!押しかけ彼女状態でベッタリ!
恭介とまどかはお互いに明らかに魅かれつつも、ピュアで一途なひかるを傷つけることはできず「優しい彼氏」「妹分思いのお姉さん」を演じることに。
かくしてめでたく完成した、油断したらすぐに壊れてしまうこのスリリングな黄金の恋のトライアングルを、日本中の少年たちがみんなドキドキハラハラ見守ることになったのだった。
バレンタイン、夏休み、海水浴、キャンプ、体育祭、文化祭、冬休み、クリスマスなどなど…ありとあらゆる青春イベントを徹底的に網羅しつつ、基本的に一話完結方式で毎回胸キュンなオチがつくストーリーテリングがお見事。
しかし!
本作の最大の魅力は、何と言ってもやはり!
「女の子たちがとんでもなく衝撃的に可愛かった!」ということだろう。
特にヒロインの鮎川まどかさんである。
彼女にドキドキしなかった少年は、若年性インポのかわいそうなヤツ以外、当時の日本に存在しない。
学校のクラスには「黒板消し係」とか「保健係」とかいろんな係があると思うが、当時私は「少年ジャンプ係」を担当していたことがあった。
月曜の朝「少年ジャンプ」を登校の途中で買って行き、それをクラスの男子で回し読みするのである。
何話目だったか忘れたが、まどかさんが巻頭4色カラーで真っ赤なビキニ姿を披露した回があった。
そしてそのジャンプがいつも通りクラス中を回り巡って私の元へ返ってきた時は、魅惑のお宝水着ページが、何者かによってゴッソリ切り取られていたのである!おのれ誰だ!そういうことするけしからんヤツは!家に帰ってワシが切り取ろうと思ってたのに!
そんなチェリーロードな小話はともかく、『きまぐれオレンジ☆ロード あの日にかえりたい』は、正確にはOVAではない。劇場公開作品である。
しかし「69分」というOVAフォーマットな短めの作品であるのと、何よりもかなりの衝撃作なので、ここで少し紹介させて頂く。
何が衝撃かって、原作やテレビアニメ版の「明るいラブコメ要素」がほぼ皆無なシリアス…というより、ほとんど暗黒メロドラマみたいになっているのである。
特に途中の路上で繰り広げられる、『きまぐれオレンジ☆ロード』ならぬ『血まみれレッド☆ロード』な恭介とひかるのつかみ合いの修羅場のエグさときたらもう…き…きつい!
原作者のまつもと泉先生が苦言を呈されたことでも有名。
しかし、先生がおっしゃった通り「パラレルワールド的な世界」として、本作単体としてみれば、非常に見応えがある作品だと思う。
- オススメ度…78/100
- 無料動画の配信…youtube
- 有料動画の配信…なし
- ソフトのレンタル…なし
- ソフトの販売…中古のVHS 海外版DVD
※まつもと泉先生のご冥福を心よりお祈り申し上げます
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