『装甲騎兵ボトムズ レッドショルダードキュメント 野望のルーツ』 血と炎の赤いドキュメント

■監督:高橋良輔
■1988年
■56分

 

輝く超合金!…ではなく錆びた鉄のニオイがするシブいロボットアニメ「装甲騎兵ボトムズ」。
テレビ放映後に製作されたOVAシリーズの第3弾にして、時系列的には一番最初。
王蟲の群れぐらい赤怖い吸血部隊「レッドショルダー」の、そしてキリコのルーツが描かれた、血と炎の赤いドキュメント。

 

 

転属先の惑星でキリコは他の兵士たちと共に、適正テストと称した「生か死か?」のふるい分けガチンコバトルをやらされる。
生き延びたキリコは恐るべき伝説の部隊「レッドショルダー」に配属。
しかし、そこでも鑑別所に入りたての矢吹ジョーぐらい酷い集団リンチを受ける。
実は黒幕はレッドショルダーの生みの親、ペールゼン。

 

 

「キリコはどんな状況でも死なない人間《異能生存体》ではないか?」と推測した彼は「無敵部隊作り」という中2感満点な己の野望のため、あの手この手で試していたのだった。
本当にキリコはミスター・アンブレイカブルなのか?
ペールゼンが仕掛けるさらなる地獄が襲いかかる!

 

ザ・ラストレッドショルダーのあの人たちも登場

 

冒頭から終わりまで、随所で繰り広げられるATバトルがとにかく凄まじい。
ジェットストリームアタックも真っ青な華麗な連携で、敵ATたちをアッと言う間に爆炎に包むレッドショルダーの恐るべき吸血部隊っぷり。
ミリオタ魂、プラモ少年魂にグサッと刺さるパイルバンカー装着&発射の細かい描写。
搭乗者の銃創から吹き出し、固く握った操縦桿からしたたる血の生々しさなどなど…
ディテールにまでこだわりを感じる迫力の戦場描写にむせる!

 

 

もちろんバトルだけでなく、キャラクターの絵も美しい。
特にキリコ。
「その回の作画監督によってキャラの顔がなんか全然ちゃう」という「80年代アニメあるある」はボトムズも例外ではなく、もちろんそれぞれ魅力があるが、私的には本作がベストキリコである。とにかく凛々しい顔つき!

 

 

それもそのはず、おそらくボトムズ史上最高に美しい本作の作画を監督なさったのは、キャラクターデザインの塩山紀生(しおやま のりお)さんなのである。
『無敵鋼人ダイターン3』『太陽の牙ダグラム』『機甲界ガリアン』そして『装甲騎兵ボトムズ』…
自分の大好きなたくさんのロボットアニメの中で、塩山さんの独特な力強い線で描かれたキャラクターたちが、いつもワイルドに、時に繊細に躍動していた。
2017年に塩山さんが火事で亡くなられたニュースを聞いた時は耳を疑った。今でもどこか信じられない、信じたくない気持ちだ。

 

塩山さんのキャラクターデザイナー、アニメーターとしての圧倒的な力量がフルパワーで炸裂している本作。
激しい戦いの果て。
ラストには『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』の「ゲンドウのリツコ殺害シーン」とも並ぶ、アニメ史に名を残す、セリフが無音の素晴らしい口パクシーンが待っている。
キリコは果たして何と言ったのか?
ペールゼンと共に刮目するべし!

 

 

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どこか人間性の欠落した主人公、使い捨ての消耗品として描かれるロボット兵器……本作品は、多くのロボットアニメとも異なる構造を持つ、リアルロボットアニメ。百年戦争の末期、謎の作戦に参加した兵士キリコは、最高機密の素体を目撃し、軍から追われる身となる。地獄のような日々の向こうにキリコはなにを見るのか?(C)サンライズ