■監督:大畑晃一
■1989年
■43分
80年代初頭から様々な作品の監督やメカデザインを担当、昨今では《新幹線変形ロボ シンカリオン》の絵コンテのオファーを受け、長き時を経ても決して錆びつかぬ鋼鉄のスーパーロボット魂でチビッ子たちを毎週ワクワクさせている大畑晃一さん。
そんな頼もしいアニメ界の装鬼兵こと大畑さんが監督したSF・オカルト・サイバーパンク・ロボット・アクション・バイオレンスOVA。
2019年のメガロポリス。
犯罪がはびこるスラムの無血清浄化を願う誠実な青年ジョンは、邪教徒たちにさらわれ、破壊の神・サルドーと同化させられてしまう。
禍々しく巨大な魔の姿と化した彼は街を大破壊!軍隊を蹴ちらし、演説中の市長を素手で握りつぶしたり、キングコングもドン引きの大暴れ。
そしてコントロールを失った恐るべきその破壊の手は、ついに愛する人にまで向けられようとしていた…
洋泉社さんから出版された《アニメ秘宝 オールタイム・ベスト・アニメーション》という本がある。
世界一信頼できる映画雑誌《映画秘宝》の関係者や、アニメの現場などで活躍しておられる方々が、おのおのマイベストアニメを選出。誌面せましと作品へのあふれる想いを語られた、非常に濃く、興味深い、どの年齢層のアニメファンにも激しくオススメの読み応え満点な1冊。(ちなみに巻頭に掲載された〈映画秘宝編集部が選ぶ殿堂入りアニメ10本〉は、他のベスト選出企画などではありえないタイトルも並ぶ、モノ凄い結果となっている。特に1位にはビックリ!)
この本のスペシャル・インタビューコーナーに、ヘンテコ映画コレクターとしても名高く、《世界トホホ映画劇場》という本まで出しておられる、我らが大畑晃一さんが登場!
あのパクリアニメ史にそびえる くろがねの城《テコンV》がおとなしく感じられるような堂々たるパチもん作品や、超レアな〈日本でソフト化して欲しい海外アニメ10本〉を情熱たっぷりに大紹介!
そしてご自身が今、手がけておられる《シンカリオン》のロボット戦闘シーンについてたずねられ、こう語っておられる。
作品全体の方向性については、監督は親と子で安心して視られるアニメという視点に立って指示を出していると思います。
それに対して僕はちょっとだけロボットのシーンでドキッとさせようと思っています。(中略)例えば石川賢版『ゲッターロボ』みたいなヒーロー性のあるパワフルなバイオレンス、戦いのなかに怒りや恐怖が感じられるようなカットを、世界観を壊さないレベルで入れようと。
要は子供のなかにある蛮性に訴えかけるようなものです。
そんな大畑さんが《聖獣機サイガード -CYBERNETICS・GUARDIAN-》を監督なさったのは、未成年者の喫煙や真っ赤な切り株が真っ黒に塗りつぶされたりすることのない、まだアニメ界が健全な無法地帯だった80年代。しかもさらに何でもありのOVA。
ゆえに大畑さんの中に宿る石川賢スピリットが抑えつけられることなく真っ赤に燃えてダイナミックにゲッタースパーク!派手な血しぶきから首チョンパまでパワフルなバイオレンスが次々飛び出すうれしい作りになっている。
特に中盤にある主人公・ジョンの変身は、内に秘めた熱くたぎる蛮性が肉体を突き破ってマグマのごとく吹き出し、身も心も飲み込み、人を鬼へと変えていく、凄まじい迫力にあふれた禍々しい名シーンだ。
またクライマックスではロボタイマンもサービスたっぷりにきちんとセット。
随所に流れるジャパンメタルバンド《 TRASH GANG》の歌も鋼鉄のスーパーロボット魂に火をつける!
そうそう!何を隠そうトマホークもガン ガン ガン ガンと炸裂するゾ!
- オススメ度…65/100
- 無料動画の配信…Youtube
- 有料動画の配信…なし
- ソフトのレンタル…なし
- ソフトの販売…DVDあり!(高い!)中古のVHS