■監督:高橋良輔
■1986年
■55分
第1話で「終戦」して最終話で「開戦」するという、普通とは一味違うシブいSFロボットアニメ「装甲騎兵ボトムズ」。そのOVA第2弾である。
時系列的には、最終話でキリコとフィアナがコールドスリープに入る前の話となる。
かつて「吸血部隊」と呼ばれ、恐れられたレッドショルダー。
彼らにコテンパンにやられた過去を持つ男・ニーバ。
「恨み骨髄!レッドショルダーに復讐する!」という炎のさだめをメラメラ背負いサイボーグ手術!
上官を万力のごとき怪力で絞め殺して部隊の主権を奪ったり、ヂヂリウム切れでグッタリのフィアナをさらったり、人間的には欠陥がありすぎるパーフェクトソルジャーにリボーン!戦いはあきたキリコにバトリングを挑む!
しかし、決戦でニーバが乗り込むマシンとは…?
今…ATもアッと驚くビッグ極まりない相手とのビッグバトルが始まった!
クライマックスの異例なバトリングは、大金かけたドン底野郎の大観衆同様、もちろん大興奮!
しかし個人的には中盤、キリコとル・シャッコが苦しむフィアナのためにヂヂリウムを確保すべく黙々と基地への潜入を行うシーンが一番面白かった。
キリコもル・シャッコも、アストラギウス銀河で一二を争う寡黙な男。
その2人だけで出かけたもんだから、とにかく道中えんえん全然しゃべらない。
高所から落ちそうになったり、濁流に飲まれたり、どんなピンチになっても全然しゃべらない。
お互いにソッと手を差しのべ、助け合い、黙々と目的地に向かうのである。
危険な潜入シーンというより、何だか男2人の「ヂヂリウム採りピクニック」を見てるような、ほほえましい気分になった。炎のニオイしみついたボトムズ・ワールドに、ブロマンスの風がさわやかに吹き抜けた気すらした。
その沈黙の好巨漢ル・シャッコが乗る人気度抜群のAT「ベルゼルガ」が大活躍するクライマックスは前述した通りもちろん大興奮!
おなじみココナ、バニラ、ゴウトの仲良しトリオもこのビッグバトルに参加!
荒んだ世界に生まれ育ち、汚い仕事にも手を染め、けっして善人とは言えなかった彼らが、キリコのために共に戦う姿に胸を打たれる。
エンディングのほほえましさも、他のロボットアニメと比べて暗く異色なボトムズ・ワールドにおいては、異色のホッコリ加減でイイ感じ。
「ああ…これが…キリコが眠りにつく前のあのセリフにつながっていくんだなあ…」…とジーンと感動。
ナヌ!
「あのセリフってなあに?バトリング、ヂヂリウム、レッドショルダーってなあに?そもそもボトムズってなあに?」ですと!?
そんな方はテレビ放映された本編をぜひ!
たったの4クール全52話!