■監督:波多正美
■1986年
■78分
少女マンガ界に本格SFファンタジーの風を送り、近年ではかわいい動物モノでも大活躍の佐々木淳子先生の代表作をアニメ化。
平凡な女子高生の那由他(なゆた)はある日、頭に輪(ジャルン)をはめた謎のエスパー少年・キロと出会う。
そして、UFOでやってくる謎の怪人軍団「アザドー」と「地下エスパーたち」との、はるか昔から歴史の裏で続けられてきた壮絶で壮大なスケールの戦いに巻き込まれていく。
「アザドー」とはいったい何者なのか?
頭にはめることで超能力が覚醒する輪(ジャルン)の秘密とは?
那由他を慕っていた少年キロは、なぜ人類を裏切りアザドーたちに寝返ったのか?
戦いの果てに那由他が知ることになる驚愕の真実とは…?
平凡な日常から始まった物語は、数々の謎をはらみつつ日本を巡り、時をさかのぼり、宇宙に飛び出し、最終的に太陽系の最果て冥王星へ。
そしてさらにその先へと進んだ、部屋にポスターで飾りたい美しい幻想アートのような、あの驚愕の見開きラストページまで…
単行本わずか3巻にもかかわらず「那由他ちゃんがセーラー服を着とった頃がなんだか懐かしいわい…」と思うほど「ホンマに遠くまで来たもんだ感」がハンパない佐々木先生の原作。ほぼあの通りにストーリーは進む。
しかし1本のアニメ作品に収めるにあたり、切らねばならなかった描写、キャラクターもあり、最強ロリータエスパー・ディーなどは出てこない。
個人的には「那由他の恐竜召喚」はちょっとアニメで観てみたかった気もするが、切ったのは英断だとも思う。
しかし、色々切っても、それでも通常のOVAのフォーマット「約50分」をはみ出し、上映時間は78分ほど。OVAというよりも1本のアニメ映画のような見応え。
出崎統さんとのコンビで『あしたのジョー』や『エースをねらえ!』など、数々の名作を作られてきた杉野昭夫さんがキャラクターデザインを担当されており、時々ハッとするほど美しい「キメ絵」を観ることができる。
キレの良い軽快なアクションで魅せるアバンタイトルも見事。
声優陣も豪華。
眼鏡男子好きの女子のみなさんはきっとたまらん、連載当時「あのシーン」の回を読んで、個人的にお葬式をするファンの子がいたという力石級の人気キャラ・リョータローは古川登志夫さん。
長髪のビジュアル系エスパーに美しく成長したキロを凛々しく演じたのは神谷明さんである。
吉田理保子さんが演じたソズも、原作同様3千歳とは思えぬ麗しさだ。
また、人間社会にアザドーのダミーが紛れ込んでいるというゼイリブいシーン。(もちろんこちらのほうが先)
エスパーの目で視るとダミーたちは緑色の皮膚をしている。
完全に余談ですが、これ、ひと昔まえに、的場浩司さんや石坂浩二さんがテレビでお話され「私も見た!」と目撃情報が続発し、オカルト好きの間で話題になった、皮膚が緑色だという「ゴム人間」のことをちょっと思い出した。(もちろんこちらのほうが先)
「ゴム人間」はともかく、そんなこんなでこの作品、私は非常に面白く観た。
しかし、ラストで「ある存在」によって明かされる物語の謎、壮大なスケールの真実が、じっくりセリフを読み込めるマンガとは違い、聞き取りつつ飲み込んでいくのがちょっと大変かもしれない。
また原作者の佐々木淳子先生は、ツイッターで次のような不満をもらしておられた。
ありがとございます。
当時の評判は、あまり良くなかったのですが…
香港に住んでいた友人がTVで頻繁にやっていたと言っておりました。
あと「すべてが無であったころ」が「すべてがあったころ」になってたのが残念でした。(;´Д`)— 佐々木淳子 (@sasakijunko_web) July 8, 2019
私も観直してみたのですが、確かに間違っている。
たった二文字だが意味がちょっと通らなくなるかも…?なので、これは確かにミスなのだろう。
作品の完成度に関して当時も賛否別れたらしいのだが、しかし私はなかなか見応えのある力作だと思います!
- オススメ度…78/100
- 無料動画の配信…Youtube
- 有料動画の配信…なし
- ソフトのレンタル…なし
- ソフトの販売…中古のVHSがたまに…ない!UFOぐらい見かけない
- 佐々木淳子先生の公式サイトです↓作品紹介はもちろん、コラム、美しいイラストも満載!