『湘南爆走族4 ハリケーン・ライダーズ』さわやかな感動の大波に飲み込まれる名作!

■監督:西沢信孝
■1988年
■50分

 

80年代ヤンキーブームの最大の起爆剤となった『湘爆』!
マンガの大ヒット、実写映画化と、さまざまなメディアを瞬く間に席巻したこの最強の走り屋たちはOVA界も爆走!90年代にかけて12本もの作品が作られた。
「どれもハズレなし!」な脅威の見応えを誇るこのシリーズ。
その中でも4本目『湘南爆走族4 ハリケーン・ライダーズ』の完成度はビッグスウェルもビックリのものすごい高さ!名作である。

 

 

待ちに待った夏が来た!
海ではしゃぐ江口たち湘南爆走族だったが、聖二という熱血サーファーともめてしまう。
「俺は弱虫が嫌いだ!暴走族はツルまなきゃ何もできない弱虫だ!だが俺はちがう!」と江口たちをなじる聖二。

 

 

彼はこの季節に一度、湘南海岸にやってくるサーファー殺しの超大波ビッグスウェルに、たった1人挑もうとしていたのだった。
去年のチャレンジ失敗と大ケガのトラウマに苦しむ聖二を冷たくあざ笑うかのように、ついにせまり来るビッグスウェル…

 

 

果たして聖二は自分に、ビッグスウェルに勝てるのか?
そして江口のとった行動とは?

 

 

ストーリーの骨子となるのは、湘爆ブレイク前夜、2巻収録の「ビッグスウェルに乗れ!」である。
あのさわやかサマー神回に(湘爆が道ゆくカップルをひやかしてるのは個人的にちょっとモヤモヤしたが)、「桜井の後輩がステッカーをもらいにくる話」「江口の部費使い込み事件」「津山さんのブルマがまぶしい鉄棒居残り」などなど、ファン思わずニンマリなエピソードをたっぷりプラス!見どころ見応え満タン!

 

 

湘爆の醍醐味であるギャグとシリアスがバランスよく組み合わされた巧みな構成と、原作をよりドラマチックに盛り上げるオリジナルアレンジがすばらしい。
さすが、『マジンガーZ 対 暗黒大将軍』の超ベテラン監督、西沢信孝さんである。
本作では脚本も自ら書かれた、アニメ界にそびえる鉄の城の頼もしい手腕がロケットパンチのごとく強く胸を打つ!

 

今回もアバンタイトルからいい。
オーストラリア産カルト終末ホラー『ザ・ラスト・ウェーブ』も真っ青な、ビッグスウェルの圧倒的な禍々しさがすごい。

 

 

そんな恐るべきビッグスウェルに乗る乗らないで葛藤する聖二の姿が原作より深く細かく描かれており、物語に大きなうねりをもたらす。
演じた古谷徹さんも、ガンダムに乗る乗らないで駄々こねてる時のアムロばりのさすがの名演!

 

 

いじけて逃げかけた聖二のハートに火をつけようとする江口と、リーダーの行動を静かにサポートする湘爆メンバーがシブい。ビリヤードを一撃で決めるシーンの江口のカッコよさよ!
OVA版湘爆名物「バイクが空を飛ぶ」シーンの高揚感は『1/5 LONELY NIGHT』のクライマックスクラス!

 

 

聖二の挑戦を恋人やサーファー仲間だけでなく、街の人々、警察、湘爆メンバー、津山さんや民さんなどなど、湘南じゅうのみんなが見守るシチュエーションも、最高の大団円への完璧な舞台作りだ。
便乗波乗りちゃっかりチャレンジする権田もチャーミング!

 

 

永遠のナンバー1夏うたシンガー杉山清貴さんのさわやかな歌声に乗せて繰り広げられるクライマックスはひたすら圧巻。誰もが感動の大波に飲み込まれるだろう!

 

 

そしてその波は、夏の終わりの夕暮れのような切なく懐かしく愛しい情緒を残して去っていく。
江口と津山さん2人のシルエット。まるで影絵芝居のような2人の会話が胸に沁みるこのこだわりの凝ったエンディング。最後まですべてすばらしい。

 

作画スタッフも超豪華でビックリ!

 

2人をさすがの声優スキルで演じられた塩沢兼人さんも鶴ひろみさんも、もう旅立たれてしまった。
しかし作品と感動はこうしてこれからもずっと残り続ける。

 

 

湘南グラフィティ 1 (ヒットコミックス)
少年画報社
湘爆のスピンオフ。全2巻。江口たちと同じ時代、場所で青春を過ごす、ツッパリではないフツー男子たちの日常