「To-y」 宇多丸さんもご指摘!《あの手法》は実写版BECKよりこちらが先

■監督:浜津守
■1987年 ■55分

TO-Y

少年サンデーに連載していた上条敦士先生の「Toーy」は、センス抜群にとんがっていて、かつ何だか深みもありげで、大人気で、それなのに媚びない、カッコいいロックみたいなマンガだった。カッコ悪い私も毎週欠かさず読んでいた。

 

たまげたのは何と言っても終盤、有名な「ニヤとの別れのシーン」である。あの伝説の見開きページの2連打!子供心に「こういう人を天才って言うのかな…?」と思った。

 

「To-y」はアニメ化して面白い作品にするのは正直かなり難しいマンガだったと思う。
しかし、奪われてしまったGIGをゲリラで敢行!客や仲間が戻ってくる!…という、なかなかアガるクライマックスをキチンと用意し、55分という短い時間で、1本の作品としてカチッとまとめている。そのあざやかな脚本を担当したのは、ベテラン橋本以蔵さん。
絵も、今観ても驚くほど褪せることなく非常に美しい。作画監督は恩田尚之さんである。豪華だ。

 

声優陣も豪華で、まずToーy役は塩沢兼人さん。ピッタリ。
ニヤ役はレベッカのボーカル、NOKKOさんを起用。ムチャクチャうまいし、ピッタリ。
今回、この記事を書くにあたり本作を久しぶりに見直したのだが、ベースのイザミの声になんか聞き覚えが…
「このカッコよすぎるダミ声は誰だろう…?」
とエンドロールをチェックしてビックリ。山田辰夫さんであった。どうりで!ハートをビンビン弾かれまくるはずだ。

 

音楽にはPSY・S、Barbeeboys、THE STREET SLIDERSなど、当時の人気バンドを起用。
ちなみに「BECK」の実写版映画で、主人公の「奇跡のボーカル」を表現するため、あえて○○を入れないという手法を取り、「前代未聞の演出をしています」と宣伝していた。
しかし、この手法を使った作品というのは、宇多丸さんが指摘なさっていた通り、80年代にすでにあったのである。
それがこのOVAである。

 

  • オススメ度…60/100
  • 無料動画の配信…Youtube(ブロックされてて見れない)、Dailymotion
  • 有料動画の配信…なし
  • ソフトのレンタル…なし
  • ソフトの販売…なし(たまにVHSの中古があるかも)