『スーパーマリオブラザーズ』 困惑必至!スーパー変てこマリオ

■監督:菊田武勝
■1989年
■各話13分

 

80年代の爆発的なファミコンブームの起爆剤!
テレビゲームの代名詞!
当時、とんでもない社会現象となり「世界一売れたゲーム」としてギネスにも載っている、我らが『スーパーマリオブラザーズ』。

 

「人気があるのは何でもアニメにしてしまえ~い!」な貪欲スピリット全開だった80年代OVA界が、この世界一の人気のあるヒゲおやじを放っておくはずがない!当然と言えば当然のOVA化。

 

…というワケで本作は「クッパに囚われたピーチ姫をマリオが助けに行く」というゲームのストーリーを忠実にアニメ化!…したワケではなく、なぜか日本の昔話『ももたろう』『いっすんぼうし』や童話『しらゆき姫』をスーパーマリオワールドと強引に合体!
不正操作で発動するあの奇怪なバグ「256面」も真っ青のヘンテコ作品になっている。

 

まず最初の『ももたろう編』。
ピーチ姫がおじいさん、おばあさんと暮らしているのだが、この老夫婦がカメなのである。
「カメは…マリオの世界では敵じゃなかったっけ…?」
と、もうこのスタートでちょっと「ん?」となる。

 

 

そしてピーチ姫はとどこおりなくクッパにさらわれ、途方にくれた老夫婦タートルズがションボリしていると、大きな桃が川上からどんぶらこと流れて……こず、なぜか流れ星となって空から飛来!その中からマリオ爆誕!生まれた時からヒゲ!

 

 

たたみかけるような「ん?」な展開に観てるほうは大混乱。
しかし沢田敏子さんの「おじいちゃんとおばあちゃんは、赤ちゃんにマリオと名づけて育てることにしました。」というお母さんのようにこの上なく優しいナレーションと、亀に育てられスクスク育つマリオのかわいいイラストで強引にクリア!次のステージへ。

 

 

成長したマリオはピーチ姫を救うべくクッパの城へ向かうのだが、おばあちゃんはお弁当を、そしておじいちゃんは強力な銃をマリオにプレゼント!ファイヤーマリオならぬガンマリオ。フラワーなんか知らん。

 

 

クッパ城に向かう道中、なかまをパーティーに加えるのだが、『ももたろう』だけに犬、猿、キジ!…じゃなくて全員カメ!
その時に仲魔にあげるおばあちゃんのお弁当の中身は『ももたろう』だけにきびだんご!…じゃなくてキノコ!

 

 

ちなみにマリオ役はなんと古谷徹さん!
旅路の途中「♪ほんだらった~ほいほい らんら らんら ら~ん♪」と、桃太郎ともマリオとも何の関係もないヤケクソのようなオリジナルソングを熱唱!
クライマックスの対決では、マグネットコーティングが完了したガンダムの速度でクイックに動きつつジジイにもらった銃を撃ちまくり、ニュータイプばりの強さでクッパをあっさり撃破!

 

 

続く『いっすんぼうし編』ではまたしてもマリオは流星にのって飛来!
ぼくらの知ってるお話の通り針の剣を持ち、おわんの船で旅立つのだがこれがなぜか何とジェットホバリング機能付き!
まさかのスーパーハイテクで水上での危機を難なく回避!ぼくらの知ってる『いっすんぼうし』とやっぱ違う!
『しらゆきひめ編』の格ゲーの乱入ばりに伏線皆無な、唐突すぎるルイージの登場も必見!

 

 

Youtubeのコメント欄が「これは何なんだ?」「どうなっとるんだ?」「誰か説明してくれ!」と阿鼻叫喚の地獄絵図になっている。
しかしそれも無理もない。
スーマリと童話というチビッ子大好きコンテンツを強引にミックスさせた結果、両者の要素が激しくせめぎあい、作品的バグが大量発生!
観てて頭の中が「はてなブロック」でいっぱいになること間違いなしのスーパー変てこマリオブラザーズです!