■監督:平林淳 渡部英雄
■1987年
■58分
日本で知らぬ者はいない大泥棒『ルパン三世』の生みの親、モンキー・パンチ先生が原作&キャラクターデザインのSFアドベンチャーアクション!
時は22世紀。
世界では衛星の墜落や、スペースシャトルの爆破など、イスラム国も真っ青の凶悪テロが多発。
その影にはいつも「ミスターX」の存在があった。
近づく者には死あるのみ!恐るべき「ミスターX」とはいったい何者なのか?
プライベート・アイズ新聞社の記者コンビ、ヨーコとビートが謎を追い、未来都市シャンバラ・シティを駆けめぐる!
「モンキー・パンチ先生がキャラクターデザインをした」という以外、予備知識一切なしで観た。
ルパン的アクションものかと思ってたら、冒頭からパワードスーツなどがガンガン登場するSFだったのでビックリ。
ある人物の惨殺とスペースシャトルの爆破、匿名の情報提供者からの電話…
謎めいたアバンタイトルに続き、編集長が主役の2人ヨーコ&ビートに「ミスターXをスクープしてこい!」とGOサイン!
走り出した2人がストップモーション、バーンと画面に『スクーパーズ』!そしてミュージック!
タイトルの出方が粋でカッコいい。
序盤で明らかになるビートの「アレ」は「え!?君、そうだったの!?」とナメてたミスターX軍団と同様、まんまとやられた。
劇中、何度か展開するこのビートのバトルシーンは音楽もちゃんと「わかってるタイミング」でかかり、ヒーローものの「よっ!待ってました」感に満ちておりワクワク。普段のナンパなキャラ設定も効いている。
ジェットコースターの上というスリリングなシチュエーションでの戦いや、ハーピーやキメラとの対モンスター戦、ファンタジー世界に迷い込んだようなソードアクションから、足場がドンドン崩れていく宮崎アニメみたいなハラハラ脱出シーンまであり、サービス盛りだくさん。
モンキー・パンチ先生テイストな、ちょいエロな隠し部屋の入り方など、ディテールにもニヤリなアイディアがほどこされており飽きさせない。
また、当時はまだ珍しかったCGをセルアニメと合成して作られた「ネットワークに侵入してプログラムを破壊する」という先取りサイバーパンクな不思議なシーンがある。
これは、早くからマンガ製作にコンピューターを導入し、「デジタルマンガ協会」の設立もなさったモンキー・パンチ先生がこの作品でもっともやりたかったことなのかもしれない。
…と、このように様々なアイディアを凝らし、ヒーロー&ヒロインが活躍するアクション・アドベンチャーに必要なお決まりも非常にていねいに押さえた作品。
ミスターXとの決着はつかず「つづく感ハンパないが つづきはない!」という80年代OVAのお決まりまでていねいに押さえてしまっているが、それも何かイカす!