■監督:飯田つとむ(のちに飯田馬之助に改名)
・誕生編 (1987年 50分)
・妖鳥シレーヌ編 (1990年 57分)
永井豪先生の神がかり的な名作「デビルマン」のアニメ化。
ただし、原作の途中まで(ちょうど半分ぐらい)
私は、この永井豪先生の最高傑作「デビルマン」が「永遠のナンバー1マンガ」である。
これは絶対にゆるがない。
デビルマン以上のマンガ体験は、この先も絶対に無いと断言できる。
何しろ、小学校1年の時に、この作品を読んでしまったので、衝撃はハンパじゃなかった。
胸を引き裂かれた。
うなされた。
夢中になった。
完全にとり憑かれた。
私は、天然パーマで、髪の毛が伸びてくると、図のように襟足がハネ上がってくるのだが、これは「子供の頃、デビルマンにとり憑かれたため」だと思う。 ↓
「原作を忠実にOVA化!」のニュースを聞いた時は、歓喜で震えた。
発売日を一日千秋の思いでジリジリと待ち続けた。
そして、待ちに待ったその日。
レンタルではなく、VHSのビデオを新聞配達のバイト代で購入。
ついに観ることのできた作品のクオリティは、「最高」であった。
多くのデビルマンファンが、「誕生編」「妖鳥シレーヌ編」共に、大満足したのではないだろうか?
私は、ある部分では、原作を超えていると思った。
それは「妖鳥シレーヌ編」の、明がシレーヌの前で変身するシーン。
そこでシレーヌがハッとしてつぶやく「ある一言」と、それに続く仕草で、作品にグッと深みが出ているのだ。
そして、このシーンは原作には無い。
さらにOVA版シレーヌは、困った女の人みたいに徹底的にストーキングしてくる恐怖の鉄の爪だけじゃなく「エネルギーを集中して核爆発を起こす超能力」を持っており、デビルマン抹殺のため街を一つ焼き払ったりするのである!お姉さま怖い!しかしシレーヌ!それでも、血まみれでも君は美しい!
とにかくキャラクターの描き方はとても丁寧で魅力的だ。
例えば合体前の明くん。
「昭和不良にチェーンとかパチンコで血みどろリンチされてもウサたんを守る!」という、キャラクターの優しさを表現するために小動物を使った、宮崎駿さん流のナウシカメソッドで、ありがちな手法ではあるけれど充分な魅力が出ていた。臆病なだけでなく、内に秘めた確かな優しさ、意志の強さが感じられた。
これならサタンにも美樹ちゃんにもそりゃ愛されるってものだし、地獄の野獣・勇者アモンとの心相撲にも勝利可能!
シレーヌのダイナマイトボディと対照的なロリ体形の美樹ちゃんも悶絶必至のかわいさ。
声優初挑戦だった特撮ヒロイン・高野槇(こうやまき)じゅんさんの初々しさがタマラン!「この美樹ちゃんがラストでああなっちゃうのだろうか…」と原作を知ってる人は心底心配になること間違いなし。
川井憲次さんの音楽も最高。
サントラを買って、ヘビーローテーションで聞き込んだ。
特に「最終戦争のテーマ」は、そんじょそこらのプログレなど裸足で逃げ出す壮大さ。
作画も素晴らしかった。
シレーヌの体当たりを受け止めて、ベロンとすりむける足の裏。
腕を引きちぎられる時に、ビンビン!と音を立てて切れる筋繊維。
思わずハッとするディテールが満載。
画面から才気がほとばしっている!
この傑作OVAの監督は飯田つとむさん(後に馬之助さんに改名)
宮崎駿さんの元で「ナウシカ」や「ラピュタ」の助監督をなさっていた方である。
飯田さんも「デビルマン」を読んで人生を変えられた方らしい。
学生時代に、自主制作で、「デビルマン」のアニメ化を試みたことがあるとのこと。
デビルマンOVA化の企画が立ち上がったことを聞き「自分にやらせて欲しい」と売り込みに行かれたそうだ。(ちなみに本作で明くんが初めて変身するシーンは、学生時代に作った俺ジナルデビルマンと同じだそうである)
やはり、偉大な原作モノは、このぐらい、その作品を愛している人がやらないと、ダメだと思った。
飯田さんは、49歳の若さで肺がんで亡くなられてしまった。(弔辞を読まれたのは宮崎駿さんである)
本作は最高の未完の神話となってしまった。飯田さんの監督で完結編まで観たかった。
ひたすら残念でならない。
- オススメ度…100/100
- 無料動画の配信…Youtube、FC2動画(2作ともあり)
- 有料動画の配信…ビデオマーケット、バンダイチャンネル、Amazonビデオ
- ソフトのレンタル…なし
- ソフトの販売…DVD、Blu-ray あり
■これから原作を読んでみよう!…という方はこちらの余計なおせっかいな記事をぜひ!↓
■私のデビルマンへの愛と憎悪のアーマゲドンを描いたファミ漫(ファミコンの漫画)もよろしければぜひ!↓
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■もうひとつのバルス
「怪談新耳袋」でホラーファンにはおなじみの木原浩勝さんは「天空の城ラピュタ」の制作進行をなさっていた。
当時の現場の熱が伝わってくる読み応えのある青春回顧録。飯田つとむさんの思い出も語られており涙。↓