「XANADU ザナドゥ ドラゴンスレイヤー伝説」 あこがれのマイコン あこがれのXANADU

■監督:梅澤淳稔
■1988年
■50分

 

80年代中坊だった頃。
もうホントにホントに「マイコン」が欲しくて欲しくて!
若い方は「マイコンってなあに?」と思われるかもしれない。「マイコン」とはつまり皆さんのお部屋にもきっとあるであろう「パソコン」のことである。

 

しかし高性能のマイコンは、当時の中学生にとって高かった。とにかく絶望的に高かった。みんなのお部屋にめったになかった。
PC-8801、PC-9801、FM-7、MZー2000…
そして歴史的名作シューティングゲーム「ゼビウス」のナスカの地上絵を再現できたほどの超高性能を誇ったマイコン界のスーパースター・X1!

 

どれも泣きたくなるぐらい高かった。
「コツコツためていつかワシもマイコンを…」とも思ったが自分の微々たる小遣いではゴールを宇宙の果てぐらい遠く感じた。マイホーム購入を夢見て、給与明細を見て絶望するサラリーマンの気分を中学生にして味わっていた。

 

なぜそんなにマイコンが欲しかったか?
もちろんゲームがやりたかったのである!
「ハイドライド」「ブラックオニキス」「夢幻の心臓」などなど…ウワサは聞くがもちろん一度もやったことはない、すこぶる楽しげな大ヒットゲームたち。
「マイコンがあればコレが遊べるんじゃああ!魅惑のファンタジー世界へ旅立てるんじゃああ!」
…と、それらの情報が載っていた雑誌「ベーシックマガジン」、通称「ベーマガ」を毎号、宝物の地図を見つめる冒険者の顔でむさぼり読んでいた。

 

その頃「ハイドライド」と人気を二分していた、すごいゲームがあった。
青と黄色、あえてのたった2色で描かれた細密な中世の銅版画のように雰囲気たっぷりの背景。
その背景効果ですこぶる色が映え、際立つ小っこいキャラ&デカかっこいいボスキャラ。
何やら英語表記されているデータがかもし出す大人っぽい雰囲気…
子供心に並々ならぬカリスマ的センスを感じた。
様々な機種に移植されまくり、ベーマガの誌面もそのゲームの情報で埋め尽くされ、ページがなんかもう青黄色っぽくなってることも多かった。
80年代マイコンゲーム界隈を熱狂させた作品。それが「XANADU ザナドゥ」である。

 

 

「マイコンがあれば、このザナドゥができるのか…」
ワクワク胸ときめかし、そしてマイコンの値段を見てまた絶望するのであった。
あこがれのマイコン。あこがれのザナドゥ。

 

 

このOVAは、80年代マイコンゲーム界のカリスマ「ザナドゥ」のアニメ化作品である。
…と言っても、正確にはゲームを都築和彦さんがマンガ化した「ザナドゥ ドラゴンスレイヤー伝説」が原作。
このマンガ版はゲームの「ザナドゥ」を都築さんのパワフルな画力でフリーダムに改変し、サービスたっぷりに美少女&カッチョいいメカも登場!ジャンル分けするならいわゆるみんな大好き「普通の私が異世界で勇者になっちゃいましたモノ」の王道を行く作品。

 

ゆえにそれを下敷きとしたこのOVAも、ゲームのあの突き放したようなクールなカッコ良さとはまたまったく違う、非常に親しみやすい作品になっている。

 

 

伝説の剣でラスボスを倒すという冒険ストーリーのデフォルトに、80年代っぽいお色気、スプラッター、ギャグなどをほどよく装備!ハイテクメカでファンタジー世界の敵キャラたちにかいしんのいちげきを加えまくる会心のクライマックスを経て、めでたしめでたし大団円を迎えるさわやかザナドゥだ。

 

 

 

  • オススメ度…45/100
  • 無料動画の配信…Youtube
  • 有料動画の配信…なし
  • ソフトのレンタル…なし
  • ソフトの販売…中古のVHSがたまにあるぐらい