■監督:前田真宏(アニメパートのみ)
■1989年
■55分
誰がなんと言おうと日本で1番カッコいいバンドだったBOØWY。
体育祭のフォークダンスで回って来た女子の方が『ET』のポスターぐらいピンポイントでしか手をつないでくれない、誰がなんと言おうと日本で1番カッコわるい高校生だった私ももちろん夢中で聞いていたこのバンドが人気絶頂で解散した時のこと。
「メンバーの皆さんは今後いったいどうするのか?」
その動向を、まだ解散の哀しみの涙も乾かぬ日本中のファンたちが固唾を飲んで見守る…必要はまったくないぐらい皆さんすぐにアクティブに新たな音楽活動を始められた。
ボーカルの氷室京介さんに続き、ギターの布袋寅泰さんも解散と同年にソロアルバム『GUITARHYTHM』をリリース。これは衝撃だった。
全部、英語の歌詞。
寺山修司さんの舞台の宣伝美術も多く手がけた宇野亜喜良さんによるジャケット。
『AKIRA』みたいにチューブがニュルニュル生えたサイバーなデザインの衣装。
そして「ギター1本で人生を切り開いていくんだ!」という決意を感じさせるような、布袋さんの俺ジナル造語、初めて聞く言葉『GUITARHYTHM』。
白虎社との衝撃の共演もそうだが、この頃の布袋さんには、新しい物を生み出すべく、マニアック、アバンギャルド、アングラな世界をガンガン取り込んで融合しようとするような情熱にあふれていたように思う。そして私はそこに強く魅かれたのだった。
翌年、全曲を映像化したビデオもリリースされた。
懐かしい赤と青のセロファンの3Dメガネが付属しており、何曲かは飛び出す布袋さんを観ることができるという攻めた作り。
また、私の大好きな映画『鉄男Ⅱ』のエンディングテーマに使われた『MATERIALS』という曲では、甲羅が白黒ギタリズム模様のカメに乗って布袋さんが竜宮城に行き、乙姫さまを守って怪物と戦うという浦島太郎物語が『鉄男Ⅱ』もビックリのコマ撮りクレイアニメーションで展開!
そして下記の曲ではアニメーションが使われており、BOØWYの『Marionetto』と同じく、ガイナックスが手がけている。
- LEGEND OF FUTURE
- C’MON EVERYBODY
- DANCING WITH THE MOONLIGHT
- A DAY IN AUTUMN
近年では『マッドマックス 怒りのデス・ロード』でジョージ・ミラーに抜擢され、トゲトゲカーたちのデザインを担当した前田真宏さんが監督。
他にも『エヴァ』の摩砂雪さん、『トップをねらえ!』の最高にアガる「ガンバスター合体シーン」を手がけた合田浩章さんなど、豪華スタッフが参加。
劇団イヌカレーを思わせるような幕が開き始まる1曲目『LEGEND OF FUTURE』では、キービジュアルにもなっている布袋モデルのギターをぶらさげた薔薇がボロボロの姿で荒野をさまよい、蜃気楼の果てに見つけたものは…という物語がオーケストレーションが感動的なメロディと共に展開。
ここからの2曲目、布袋さんだけでなく色んな人にカバーされてるエブリバディ大好きな『C’MON EVERYBODY』への入り方は、アルバム同様、何度聞いても見てもアガる!
布袋さんの演奏シーンとアニメが合成された『DANCING WITH THE MOONLIGH』では、ギターが鳥になり、美女になり、海に潜り…という爆発したイマジネーションが自由に広がっていくような映像が展開。曲の良さともスパークして、月明かりの下で踊り出す街と同様、あなたの体も揺れること間違いなし。
そしてラストの『 A DAY IN AUTUMN』では、歌詞を優しくなぞるような、切なく胸を打つ物語が描かれている。
各動画配信サイトでは一部しか見れないし、DVDはちと高くなってしまっているのですが、布袋寅泰さんとガイナックスのこの記念すべきセッションをぜひ!