「Marionette -マリオネット- BOØWY」 セオリーどおりじゃとてもたまらないぜ!

■監督:北久保弘之(Marionetteのアニメパートのみ)
■1987年
■3分50秒

BOØWYを知ったのは中学の時。イケてないドンヨリ男子にとって、ゲボ吐くぐらい嫌な学校イベントの一つ「遠足」か何かで、車酔いでホントにゲボ吐きそうになってるバスの中だった。

「魚が陸で生きれんように、ワシには学校生活なんか無理なんじゃ~」と蒼い顔で嘆きつつ、こみ上げる吐き気を何とか抑えるべく、新鮮な空気を吸おうと窓を開けて酸欠の魚みたいに口をパクパクさせてる私の耳に、乾いた風にかき消されず、クラスの誰かがかけた「B・BLUE」が聞こえてきたのである。

この「もう一度笑ってよ」と、TO THE BOYS&GIRLSに向けて歌われた名曲のあまりのカッチョ良さに私はニッコリ大興奮!酔いも忘れて鼻息荒く隣の席のH君にこう言った。
「いや~、ヒデキは久しぶりにバリええ歌もろうたね~!」と!
そう!この時、アホな私は氷室京介さんの歌声を西城秀樹さんと勘違いしたのである。

「何言いよんね!スエちゃん!BOØWYよ!BOØWY!知らんのね!?」
とH君に教えてもらい、そこからはもう夢中。
「B・BLUE」が収録されているアルバム「BEAT EMOTION」はもちろん、過去のアルバムにさかのぼり、レコードをすべてレンタルしてテープにダビング!ラジカセで聞きまくった。
中でもデビューアルバム「MORAL」の過激なパンクっぽさにはビックリ!

人の不幸は大好きサ
あいつが自殺したって時も 俺はニヤッと笑っちまった
祭り気分が大好きなのサ
ただの野次馬根性だけサ
だけどその場に出たら決まりきった顔をしてるのサ
神妙な顔の下の含み笑いは隠し通して

…という、思い当たるふしがありすぎる歌詞もグサッと衝撃だった。
自分という人間の心の弱さ、汚さ、真の道徳の無さをここまでストレートに表現されてしまった歌はBOØWYの「MORAL」とブランキージェットシティの「ディズニーランドへ」をおいて他に知らない。しかし音楽をそんなに知らないので私が知らないだけで他にもいっぱいあるのかもしれない!

ビデオレンタル屋に並んでいたライブビデオ「GIGS CASE OF BOØWY」全4巻も観まくった。
特にお気に入りだったのは2巻。
「WORKING MAN」のラストが「B・BLUE」の前奏につながるアイディアに度肝を抜かれ、終わると見せかけて高橋まことさんの怒涛のドラムで何度も演奏が再開されるラストナンバー「ON MY BEAT」に完全にシビれてしまった。
高くてビデオが買えなかったので、何度も何度も借り、よく考えたら買ったほうが安上がりなぐらいだった。

それまでアニソンしか聞いてこなかった私に「バンドって…ロックって何てカッチョええんじゃ!」と気づかせてくれたバンド。それがBOØWYだった。
当時、私と同じように「BOØWYでロックに目覚めた!」という子は多かったと思う。

そして、人気絶頂でのあの解散である。
好きになったとたんに解散してしまいションボリしていると父が「一番人気がある時に解散するゆうんは、こんならあ賢いわい。(こいつらは賢い)」と言ったのを今でもなぜか覚えている。

解散後、「SINGLES」というベストアルバムが発売されることになり、近所のレコード店で予約!

CDはもちろん、予約特典のポスターがどうしても欲しかったのである。
私はBOØWYのみなさん、特にやはり氷室京介さんのカッコ良さには女性ファンもビックリなぐらい完全にメロメロになってしまっており「ああ…あの麗しい氷室さんやメンバーのお姿を、ついに部屋に飾れるんじゃ…いったいどんなポスターじゃろうか…?」と、ワクワク待った。
そして発売日。
ついに手にしたポスターは、CDジャケットのデザインと同じで「BOØWY」ロゴの真ん中の「Ø」という空集合記号がドーン!と力いっぱいバカでかく描かれただけの、メンバーのお姿はどこにもない、街中とか学校の廊下に貼ったら不良にラクガキされて変なマークに魔改造されそうなタイプの、まさかにもほどがある、特典を手にしたのにCLOUDY HEARTなデザインであった。こりゃ何?↓

そんなこんなで今回、紹介するのはそのBOØWYの大ヒット曲「Marionetteーマリオネット-」のプロモーションビデオである。
当時、アニメ雑誌、たしかアニメージュに「ロックバンド・BOØWYの新曲のプロモーションビデオをガイナックスが製作!」という記事が、その1シーンらしきこのようなカットと共に掲載されていた。↓

この記事を読んだ時はホントに驚いた。
「BOØWYとアニメ」って何となく「ツッパリと漫研部員」ぐらい世界が違うような気がしていたのだ。
「いったいどんなプロモーションビデオなのだろう?観たい!」と思いつつ、私はこの作品をなかなか観ることができなかった。

その頃、広島では深夜に「ミュージックトマトJAPAN」という、アーティストのPVを流す番組が放送されており「今週は流れるかも…」と眠い目をこすりチェックするも全然めぐり会えず。
また、黒柳徹子さん司会の音楽番組「ザ・ベストテン」で、何週にも渡り「Marionetteーマリオネット-」がランキング1位を独占していた時のこと。
BOØWYのみなさんは当然というべきか…出演しなかった。
しかし「もしかしたら今週は…いや、出なくても代わりにガイナックスが作ったというプロモーションビデオが流れるかもしれない!」とわずかな期待を抱きつつ毎週チェック。しかし願いはかなわず、Frustrationもてあますことに。
結局、見れたのはだいぶ後になってからだと思う。

作品の内容は、BOØWYの演奏シーンに、ガイナックスが作ったアニメパートが挿入されるという構成。
北久保弘之さんが監督したこのアニメパートは、ディストピア感極まりないMAD CITYで、氷室京介さんっぽい男が手錠をかけられたまま、体制側の追手から逃走するというもの。
個人を縛り、抑えつけ、操ろうとする社会への反逆を叫ぶ「Marionetteーマリオネット-」という歌のイメージを、SF・幻想的な世界観で、荒々しくも美しく見事にビジュアル化している。
まさかの意外な「BOØWY ミーツ ガイナ」は大成功だったと思う。やっぱりモノを創るってこうじゃなきゃ!セオリーどうりじゃとてもたまらないぜ!

  • オススメ度…85/100
  • 無料動画の配信…Youtube
  • 有料動画の配信…なし
  • ソフトのレンタル…なし
  • ソフトの販売…DVD、中古のVHS
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